金山家のダイニングテーブル
W1800×D900×H730
材質:アメリカンブラックチェリー
塗装:オイル、ワックス
ストーリー
家具が好きな人というのは、生活の中での使いやすさはもちろんだが、それを使わない時のながめる楽しさも知っている。
デザインにこだわったり、統一感を考えたり、空間を構成してみたり。
これは日常にできるアートであり、自分の作った作品の中で生活するということを気付いた人達の楽しみなのだ。
誰もが自分の家ではアートディレクターになれる、ということ。
大阪で若手で活躍している、スウィングという設計事務所の方から、その方の新居のダイニングテーブルの注文をいただいた。
建築の知識はもちろん空間デザインやインテリアにも詳しい方からの注文ということで、さらに、材や寸法の指定はあったもののデザインはおまかせというのだから、こちらとしても腕の見せどころなわけだ。
また、ダイニングチェアは北欧の有名デザイナーの椅子を注文した、と、またまた燃えることを言ってくださる。
彼の設計事務所は、自然素材や無垢の木を使った日本建築の工法を用いながら、モダンで現代的な空間構成の家を作っている。
前にその設計事務所でリフォームしたマンションで家具の展示会をしたことがあった。
だから大体のイメージはこの話が来た時にはできていた。
今回も新居のマンションを自分で内装を設計したということだったので、建築、北欧、モダン、新居、大きなテーブル。デザインの材料としては充分だ。
まず、天板と脚部の構造は分離させたかった。
その間にできる空間に意味を持たせ、いろんな角度からの見え方を意識する。
そしてその見え方には日本建築のイメージも取り入れてみた。
使用の際にはなんの装飾も目に入らないが、食事を終え、リビングのソファから振り向きざま、キッチンカウンター越しに視線を上げると、風呂上がりのビールを取りに冷蔵庫へ向かう横目で、ベランダで干す洗濯物が落とす影が洗濯かごとテーブルに射し、生活の中で自然に目に入るとき、ふと、
「このテーブルこんな形してるんだ。」と、楽しんでいただければさいわい。