みゆきちゃんの姿見
W400×H1400
材質:ブラックチェリー
塗装:天然オイル、ワックス
ストーリー
残念なことがあった。
それはこの姿見を直接彼女に手渡せなかったこと。
オーダーメイド家具を作る上で、僕が一番大事にしているところを成し遂げられなかった原因は、もちろん僕にあるのだが、なぜそうでなければならなかったのかは、もう追求のしようがない。
この鏡は、彼女のお父さんからの注文だった。
他県の大学に通う彼女は今年3年生。今まで片道2時間の道のりを通学していたのだが、これから研究などで遅くなる日が増えることもあり、往復4時間のロスを省くことと効率を考えて、大学の近くで一人暮らしを始めることにした。
娘を一人暮らしさせる父親の決断も、きっと何より悲観的な妄想を断ち切るのに大変だったろうし、逆に一人の人間として成長していく娘のことをどこまでも応援したいという気持ちもあっただろう。そして娘のそういう意志を自分の誇りと思い、送り出す気持ちも。
そんな想いのこもったプレゼントだった。