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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

楠の天板一枚仕上がる
角材の製材もなんとかできて、今日一日で天板を一枚仕上げた。
厚さ100mm長さ2000mmの一枚板はさすがに重い。その分狂いは少なくて加工は楽なのだが、なんとも取り回しが悪くて。
あとこれを4枚仕上げることを思うと、腰と膝が今にも泣き言を言いそうだ。

家具屋になって体型ががらっと変わった。写真をやってた時にも重いカメラバッグをかついで運ぶことはあったのだが、体は今と違ってひょろひょろで、体重はあのころから10kgくらい増えた。
太ももや尻に肉が付き、胸板は厚くなり、上腕の太さは倍くらい、腰の周りには脂肪も付いた(それは歳のせい)。
重いものを持つのは昔から苦手ではなかったけれど、材木や家具を持ち上げて運ぶなんてことはなかったわけで、そのリアルな重さに苦しむこともあり、また酔いしれることもある。
この職業に就いてから、先輩や大工さんや材木屋さんが運ぶのを見たり手伝ったりして、それにはやはりコツというか技術があることに気付かされた。今となっては当たり前の、設計や加工と等しく、木工には取り回しや運搬という作業が伴うことを知っている。
家具製作におけるデザインや、ダイナミックな加工作業に憧れる人たちは、えてしてこれを知らない。
ただいろんな木を持ち上げてみるというワークショップも面白いかもね。

中島君にも責任あるよこれは

僕の弟弟子にあたる、hibi furnitureの小八木君と上村君の個展を見に行って来た。彼等は独立してからこれで3回目(4回目?)の個展をしていて、えらいなあと思う。
僕らのようにオーダーメイドの仕事をしながら個展をするのって、すごいエネルギーと集中力が必要で、確かに彼等は僕より若いのだけど、それを言い訳にはしたくない。
毎年、今年はやる、と心に決めてはいるが。未だ実現しない。
個展をすることがすべてではないけど、そこを通らないと何も始まらないような、まだ何も始まってないような感覚がある。
まだ始めてないからね、みたいな甘えもあるような気がするし。

それを見た後、プロップスのみんなで集まって打ち上げがあった。
そこで僕の工場を建ててくれた、大工の中島君と話をしていて面白いのがあって、これはまた講義のネタにさせてもらおうと思った。のだがこの話、僕自身にもがつんとくる内容で、この分だとまた個展は先にのびそう。
いやいっそやらない主義ってことにする?なんじゃそら。

大学の授業で、スツールを作り始めた。
もちろん、木工の技術を体験させるための実習なのだが、やっぱり、そうやっぱり、僕としては技術だけを教えるのはつまらなくて、毎回木工とは関係ありそうでないような話を授業の始めの30分喋らせてもらっている。
今日は「センスと個性」について。かつての専門学校での僕を知っている人には分かるだろう、講義と称して好き勝手喋るあの無駄話。
木工を習いに来た学生には迷惑で退屈な話だろうか、一緒に授業に入ってくださっている准教授の先生も面食らっているだろうか。
スツールを作ることにまったく関係ないように思えて、僕としては必ず結果に影響を及ぼすと思って話しているんだけど、風が吹いたら桶屋が儲かる、みたいな話なのでいつかクレームが出そうな気もする。
ま、そんときはそんときで。

難しい年代の学生だと悩んでないで、逆にこちらからこんがらがらせてやろうかと、楽しんでいる。

楠の角材
車に積んでいた楠は、下ろすのもひと苦労で、板材は台車を駆使してなんとか雨のかからないところに積み直した。変なひねり方をしたのか、左の背筋が痛い。
作業は角材から始めようと思って、今日は腐ってたところや、虫食ってたところ、割れてたところを切り取ってみた。するとさすが楠。強烈な匂いで工場が充満した。マスクをしていても鼻を突き刺すこの匂いは、僕にはタイガーバームにしか思えない。これで工場にいる虫たちは退散してくれるだろうか。
これから数日この匂いと格闘することになるのだけど。

もし、タイガーバームが大好きな人がいたら、今SIGNへ来るとめまいがするほど吸えますよ。
お土産にのこぎりのひき粉なんてどうですか。

楠の板
午前中、天理にある箱屋又衛門という家具屋さんへ行って来た。家具屋といってもうちのような製造業ではなく、販売が専門の本当の家具屋さん。おもにネット販売をされていて、日本全国、海外のメーカーからも仕入れて売っておられる。
八代目となる若い社長とは、この業界で知り合ったのではなく、音楽好きの彼とアースデイのイベントでたまたま出会ったのが最初だった。
その後ブログにも書いた、彼がアメリカ人の友人をうちへ連れて来たりしたこともあった。
今回彼のところに行ったのは、写真を教えて欲しいということだった。彼の商売は、商品を写真に撮ってサイト上でカタログを作ることをまずしなければならなくて、倉庫の片隅に写場を作ってみたものの、なかなかうまく撮れないのでアドバイスしてくれないかと。
知識もなくうまく撮るのは難しいのは当たり前だけど、そこまでやってみようというのが素晴らしい。写場はシンプルだったけどちゃんと作ってあった。
ライティングをちょっといじらせてもらって、ホワイトバランスと焦点距離のことを説明した。それだけで随分変わったと思うんだけど、照明機材の内容からするとそれで精一杯かな。照明も自作する?なんて。
写真の話が終わったら、楽しみにしていたコーヒーの時間。彼はかなりのコーヒー好きで、自分で焙煎にも挑戦するマニアだった。そしてエスプレッソにこだわっている。そこだ。やっぱり。
これ以上話し出すと何のサイトか分からなくなるので、コーヒーのことは彼のブログを読んでいただくということで。とにかくいただいたコーヒーは、コーヒーのうまいところを凝縮した薬だった。それを舐めるように味わうのである。ああ、うちでもこんなのいれたいなあ。
それを飲みながら仕事の話もちょっとして、そこを出たのは昼過ぎだった。

それから京都の木津へ向かった。以前子供部屋のリフォームをさせていただいた方からの紹介で、楠の一枚板がたくさんあるので、それを天板に仕上げて欲しいと頼まれていて、それを引き取りに。
最近は材木屋さんがそういうことをしてくれたりするのだが、紹介をしてくれた方が僕を推薦してくれたのだった。手作業ですることを考えると、見るからに大変そうな量だけど、先方とお会いすると、やっぱり心がないといけない仕事のにおいがする。10年くらい誰も引き受けてくれなくて放置されていたらしく、そうか、僕に回って来たのだなと感じた。
にしても一枚が100kgくらいあるんじゃないかというくらい重くて、気前良く引き受けたもののどうしよ。年末まで仕事はあるのに、腰は大丈夫かな。整骨院予約してから仕事にとりかかろうかと思ったり。

作品一覧/ダイニングカテゴリーに、「ちよこおばあちゃんのテーブル」をアップしました。

SIGNの写真茶話会8

製作日誌はこの記事の下にあります

写真茶話会のお知らせです。

12月5日(土)
13:00〜16:00 表現講座 参加費2000円(定員7名)現在予約6名

今回時間を短縮、参加費も2000円に。そのわけはYuasa brand milk にて。特別企画があります。

予約、ご質問はメールにてお願いします。
sign.norioyuasa@gmail.com
写真茶話会ってなに?という方、教室のご案内を御覧ください。

おばあちゃんのテーブル納品待ち展示中
おばあちゃんのテーブルにワックスがけをし、ただいま乾燥中。この段階で七分艶くらい。もう少し艶を出したいから、もう一回は上塗りをしようかな。
ちっちゃいテーブルだけど、たたずまいに雰囲気があっていい感じ。気に入ってくれるだろうか。

もう一回のワックス塗装が乾くまで、納品待ち展示中です。

おばあちゃんのテーブル着色塗装
カラーワックスで着色塗装までできた、おばあちゃんのテーブル。
やっぱり旋盤を使わなくて正解だった。
いくらスケッチや図面でイメージしていても、それが適切かどうかは出来上がってみないとわからない。かといってやり直しや修正は、そうそうできるものではない。

フルオーダーで一点ものの家具を作るというのは、こんなにも挑戦的なものだとは思ってなかった。
シリーズ化したラインナップがあってそこから選んでもらう受注生産が、オーダーメイドだと思われていることが多い。メールでの問い合わせでも、「HPにのってる、〜が欲しい」というケースが今までにもいくつかあった。そういうのも仕事としてはありがたいのだが、僕がやってることはそうではない。だから、いつからか値段を書くのをやめた。いずれ、すべての価格を消去しようと思っている。

ただ、それがどこまで続けられるかが問題だ。ひと月に一点しか作れない時だってある。そんな商売成り立たない。オーダーメイドに価値を感じてくれるお客さんがそんなにいるのかどうかも、今までずっとやってこれたのも不思議なくらいだ。
しかし、その人のためにと考えて作ったものが、出来上がって手渡す時に、その意味を感じて目の前で喜んでもらえる職業なんて、なかなかない。
来年から少しやり方を変えようと計画はしているけど、振り返ってみれば、フルオーダーは面白い。やっぱり捨て難い。
だってこのテーブル、おばあちゃんのテーブルに見えるもんなあ。

おばあちゃんのテーブルをはぎ合わせはり合わせ
朝から雨で一日降ってた。晴れてれば自然光で明るい工場も今日は薄暗く、電灯をつけて作業。雨音にノラジョーンズが合っていた。
木屑を燃やしてストーブと天井の遮熱のテストをすると、それだけでぼんやりと暖かく、なかなかいい感じ。

ナラ材を製材し、おばあちゃんのテーブルの天板をはぎ合わせ、脚の角材をはり合わせる。
最近、角材が欲しい時に、はり合わせて作ることが多い。
無垢材にこだわるならここは無垢の角材を使うべきなのだろうか。しかし、微妙な太さが欲しい時とか、長さが欲しい時とか、一本だけ欲しい時には作る方がいいこともある。
強度を考えると無垢の方がいいのだろうか。最近は接着剤も性能のいい物があり、木と木の融合性が高く、しっかり圧力をかければかなりの強度が出せるので一概にそうとも言えない。伸縮変形の方向さえ間違わなければ、割れることもないだろうと思う。割れや反りに関しては無垢の方が危険性は高いだろうし。
最大の違いは見た目だろう。それなら絶対に無垢の方がいいんだけど、今回は着色もするので目立たなくはなるはず。

RIDERチェアから始めたこのはり合わせの応用は、すっかり僕の中では当たり前になってきている。人によっては、集成材とかいって軽んじる人もいるけど、僕にとっては無駄が少なくコントローラブルで、発想に自由を与えてくれる技法のひとつ。
言いたい人には言わしとけって感じ。使って集成材にしか見えないものしか作れない人は使わなければいいってこと。

結局このテーブルには旋盤は使わないことにした。すごく回したい衝動にかられたが、シンプルなスタイルとエッジの線がポイントなので、今回は我慢。

ワンクッション

写真茶話会疲れでブログ更新してなかった。
その間に一件納品、ちょっと手直し、取りかかった「おばあちゃんのテーブル」の図面を書いたりがあって、今日は久しぶりにCRAFTの堤さんが訪ねてくれた。
相変わらず堤さんは忙しそう。いつもなら話が尽きるまで話し込むのだが、今日は時間制限つきで、すぐに次の用件へ向かわれた。

僕の付きの悪い使い捨てライターをあざ笑って最近手に入れた5つ星のイムコジュニアを自慢し、僕のいれたマンデリンモカブレンドを一杯飲んで。

工場の屋根裏
今日予定していた大学の補習授業が中止になり、午後から時間が空いたので、前からやろうと思っていた天井の断熱をしてみた。
これも大学効果だな。これをやろうと思ったのはこの工場を建てた頃だった。理想建築工舎CRAFTさんから、アストロフォイルという遮熱材の端切れをたくさんもらって、いつかやりたい、次の夏までには、が過ぎ、寒くなるまでに、が過ぎ、とうとう2年め。いつも何かと忙しく、自分のペースで仕事していると、こういうことは後回しになってしまう。大学に振り回されてるおかげでこれができたというわけだ。

で、このアストロフォイル。遮熱効果は抜群で、今までも薪ストーブの背面には張ってあり、その効果は実証済み。ストーブをかなり壁に近付けて設置をしても壁にはほとんど熱がいかない。ということは、天井に張れば、夏は屋根からの熱を外へ反射し、冬は屋根裏にたまるストーブの熱を室内に反射するはず。燃料節約になるかな、実験するのが楽しみだ。

作品一覧/そばにあると楽しいカテゴリーに、「雲と龍を祀る刀架け」をアップしました。

毎年、今日は暑い日だった

プロップスフェスティバル5に行ってきた。
今年は出展しないということもあってか、気が楽で、ほとんど客として純粋に楽しめたような気がする。
ああ、こんな楽しいお祭りだったんだと、最近の即売イベントとは違う空気の澄み方というか、あらためて感じさせてもらった。
兄弟弟子や、ZOO永田さんを慕って集まった、文字どおり家族親戚のような仲間が開く手作りのイベントだからこそ、その雰囲気にひたって、そこにいるだけで気持ち良く、時が過ぎるのを忘れてしまうのだ。
だけどやっぱり参加した方がもっと楽しかったんだろうなとも思ったけど。

以下の写真は若干3歳のカメラマンにルポしてもらいました。
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「いやいやそういう仕事ですから」

独り暮らしをするおばあちゃんからテーブルの注文があり、採寸と打ち合わせをしてきた。
「生きてるうちに作ってね」と冗談まじりに言われながら、少しお待たせしてしまった。このペース、どうにかせねば。
イメージは今日ひらめいたのだが、ここで旋盤を使うか、使わないか迷うところ。最近の流れからすると、回したい気もするけど、もう少しよく考えよう。

キーワードは「俳句」。

師匠の永田さんの友達で、ピアノの調律師であり、ピアノの塗装もし木工もし、ドラマーでもあるジローさんがカホンを買いに来てくれた。
こないだ参加したジャズライブのイベントで、ほとんどのドラマーがカホンを使っていたのを見て僕を思い出してくれたそうだ。最近カホンは楽器として定着してきている。うまい人が叩くと、ほんとにすごいもんね。
そして、SIGNカホンはほかのカホンの音とはちょっと違うので、手前味噌だけど。

ジローさんとは毎年、プロップスで顔を合わせていて、うちのカホンにもアドバイスをくれたりしていた。木工もされるので、自分で作られても、とは思うのだが、何度もSIGNカホンを見て触ってもらってるので、これをこの値段で作ることの大サービスを理解してくださっている。
今度31日のプロップスフェスティバルでは、ジローさんは木工でも出展され、ライブにも出演される。
今日はその出展作品の製材も、SIGNの工場でしていかれた。

この仕事を始めてから、”おもろい人”にしか出会わない。

SIGNの写真茶話会7

製作日誌はこの記事の下にあります

ひと月空いてお待たせしました。茶話会7やります。

11月7日(土)
10:00〜12:00 基礎講座 (定員7名)現在予約1名
13:00〜17:00 表現講座 (定員7名)現在予約5名 ゲスト1名

内容についてはYuasa Brand Milkで発表しています。
写真茶話会って何?という方、教室のご案内を御覧ください。

参加予約、ご質問はメールにてお願いします。
sign.norioyuasa@gmail.com

今年もプロップスフェスティバルが開催されます。
プロップスフェスティバルとは、僕の家具の師匠であるZOO永田さんが主催するイベントで、物づくりの人々が集まって展示販売のブースがあったり、ライブがあったりする屋外イベントです。
今回僕は都合により出展はしませんが、僕らのような木工家具が目の前でたくさん見れて、安く購入できるチャンスでもあります。
当日僕もいますので見つけて声をかけてみてくださいね。
props_festival5

木製ベンチバイス
壁面ハンガーの納品が来週になり、仕事もひと段落したので、以前からやりたかった作業台の改良をしてみた。

最近の作業で、特に摩擦系作業でよく使うようになったバイス。今までは小さなバイスを作業台に2台クランプして、材料の形に合わせて固定していたのだが、作業性が悪く、もう少し大きなバイスを買おうか、自作しようか迷っていた。ホームセンターやネットでもいろいろ探してはみたが、なかなか思うような物がなく、やはり自作するしかない。

で、出来上がったバイスがこれだ。
パイプクランプとしてはちょっと使いづらかったIRWINのクランプを活用した木製ベンチバイス。
締め付け自体はパイプクランプなので、いくらでも自由が効き、材料の厚みに合わせてパイプの長さを調節して、厚み500まではさめるようにした。パイプを交換すればそれ以上でも可能、といってもそんなケースは少ないだろうけど、組み立てとか張り合わせ、はぎ合わせにも使えるかも。組み立てた椅子を宙に浮かせて、なんてことも可能なのだ。
全幅は作業台の幅で1040あり、パイプからパイプまでは900あるので、幅の広い物でも広い範囲でクランプ出来る。さらに2か所でクランプするため、角度をつけた締め付けも可能。
そして本体がパイプクランプなので、簡単に分解、取り外しが出来るのも便利。特にIRWINはハンドル側がワンタッチで外せるので、邪魔になる時は外して作業もさほど面倒ではない。
作業台の天板とツラになっているジョーは何かと便利そう。手前のジョーは持ち上げると5〜6ミリ上がるので、鉋がけの時にも役立ちそうだ。
早く使ってみたいな。

このバイスを取り付けるにあたって、ついでに天板もひと皮削った。4年分の傷と汚れと。
生まれ変わった作業台。道具はやはり増え続ける。

壁面ハンガー、塗装乾燥中
木工旋盤による旋盤作業というと、あまり精度の高い加工は難しいようなイメージがある。単純なスピンドルであっても、曲線や曲面は意匠の意味もあるが、やってみてわかるその理由が「逃げ」なのだ。
「逃げ」とは木工の用語で、誤差の分を余裕を持たせて控えて工作することで、逃避という意味ではない。
バイトによって手作業で何本も棒を作ってると、どうしても誤差が出る。それを目立たなくするための意味もあるということ。だから様々なジグが考案されるんだろう。

しかし今回必要なパーツとして、同じ寸法の円柱ペグを8本、愛機WT-300で挑戦してみた。もちろんジグを使わず、バイトとノギスだけの手作業である。すると、
意外といけるのだ。いやいやかなりの精度が出せたのだ。直径の精度や円柱の垂直線の精度は、誤差0.1ミリ以内で、このペグを刺す穴との直径のクリアランスを0.2ミリとして加工したが、十分いけてる。出し入れがとても気持ちいい。
しかも角材から始めて仕上げ磨きまで一本30分程度。実用範囲だと思う。
こういうもので量産の既製品だと、逃げは1ミリ近くとってあるものだし、そこまでやると操作感まで変わってくるので、まったくデザインの意図とは別物になってしまう。何気ない物でも精度って大事。

塗装をしてただ今乾燥中。壁面ハンガーも完成だ。納品までまた展示するつもりだけど、このでっかいの、どこに置いとこうか。

テレビ効果とは意外な

今日カホンがひとつ売れた。
ずっと前に予約をしていた人だったのだが、連絡がなくもうキャンセルかなと思っていた。作りながら売ってると、そんなケースに対応しきれないのも、カホンをやめたいと思う理由だった。今までに何度か注文後音信不通ということがあった。
その人が思い出したように買いに来られたわけとは、なんとSIGNカホンがテレビに出ていたからだという。どういうシチュエーションかははっきり分からなかったが、打面のSIGNロゴが目に入り、製作休止と売りつくしセールということもあって、連絡を入れるより先にやって来たそうだ。

5台残っていたカホンのうち、フルサイズのメイプルを選ばれた。これでメイプルは終了。残りは難ありも含め4台か。何台かは残ってもいいと思ってるので、セールは年内で終了しようかな。

旋盤作業中で酔いしれていて、なんだかぼーっとした受け答えになってしまった。
テレビで使ってたのは誰だったのだろう。

壁面ハンガー、本体できた
壁面ハンガーの本体が塗装の手前までできた。ちょっと予想よりでかいぞ。階段登れるかな。
明日は付属パーツを旋盤で作る。これが最近楽しみになってきた。
旋盤作業が楽しいというより、WT-300を使うことが楽しみで、なんだか愛車で走る気分なのだ。
そういう目で見れば、最新型の木工旋盤に比べればレトロな構造とデザインがそそるのかもしれない。
普通には動いてくれない、ちょっとしたコツがいる、というのは乗り物にもカメラにも通じる、男心をくすぐるファクターなのか。それをジグや他の電動工具と組み合わせて使うのではなく、ひたすらバイトによる加工の腕を磨くことに美学がある。WT-300とはそう感じさせる機械だ。

こんなこと書いてると、木工を知らない人にはさっぱり分からないおかしな世界に思われるのかもしれない。

明日の作業をイメージすれば、モーターが止まる前の遠心ブレーキの音が聞こえてくるようだ。

壁面ハンガー、クランプ中
この連休はこの村の秋祭りで、僕は自警団としてその準備から関わり、月初めからずっとそのモードだった。
新型インフルエンザや大型台風も、そういう立場で見守るのは不思議な気分だった。
僕が生まれたのは京都市の西のはしっこのほうで、昔ながらの祭りは僕らの世代には廃れていて馴染みがなく、18歳で大阪に出てからは目まぐるしく住まいを転々としたため、その土地の自治会や祭り行事などには縁がなかった。
しかし一時だけ、そういった世界に深く入り込んだ時期もあった。大学を卒業して助手についた写真家が出雲の神々を取材していたので、撮影するのは神事や祭りばかり。取材の交渉をするのにその土地の自治会や氏子の方々と接触する機会が多く、作品としてドキュメンタリーを取材する場合、何日も通ってその団体に溶け込む必要がある場合もあった。村社会における祭りの意義は僕なりに理解していたし、またそれは感動や憧れの対象でもあった。
その仕事を辞めてからはまた大阪へ戻り、今のこの仕事に就くまで、住むその土地に根を張るということはずっと持ち続けていた憧れではあったが、仕事が世界のすべてだったころには、それを考えることは現実的ではなかったし、思い出すあの出雲での半年間の出来事は、その他の理由で封印もしていた。

この仕事を選んで良かった理由の一つに、あの憧れが現実になってきていることがあげられるだろう。
確かに時間も手間もとられる。その報酬は目に見えない物だ。
祭りの前から取りかかっている壁面ハンガーにクランプをかけながら、窓から見える山の景色に、以前より親しみが感じられた。

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