あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です
SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力
世界の果てで小銭をかせぐ
2010 年 6 月 18 日 by SIGN
バイクの修理が上がってきたのに梅雨入り。
雨が降る前に届けようと、バイク屋さんが頑張ってくれたのにも関わらず。
そこのバイク屋さんはメカニックの人が独りでやっているところで、ハーレーの専門店だ。
結構頑固な人だが、腕は確かで、とにかく信頼できるので、奈良に来て紹介されてからはずっとそこにお世話になっている。ハーレーなんてバイクは時折思いもしないトラブルで悩まされるバイクで、またいろんな欲求をかき立てる魔性でもある。そんな悩みに無口な人が、一言二言適切なアドバイスをくれたことが、僕のバイクをいい方向で育てられている要因になっている。
音とパワーのバランスが難しい直管マフラーの自慢の音は、ここで調整してもらったおかげなのだ。
といっても、ここ3年ご無沙汰してたわけだが。
久しぶりに会って懐かしかった。僕も僕のバイクも覚えていてくれた。
それに修理と車検まで、順番すっ飛ばして仕上げてくれて。
前の社長が言うにはこの人、気に入らない客のバイクは触りもしないらしい。順番がどんどん後回しになって、なだめすかして仕事させなきゃいけない、とぼやいていた。
僕の周りにはこういう格好いいプロが多く、いつもそんな人たちに助けられている気がする。
今日、納品に行っている時に、いつもお世話になっている機械屋さんが、プレナ—の修理をしてくれていた。すごくいい人で、腕がいい。
他にも、塗料屋さん、材木屋さん、ガラス屋さん、建築デザイナー、ペインター、大工さん、植木屋さん、小学校の先生、etc.
建築デザイナーの堤さんが、そういう人たちのことを「ブレーン」と呼んでいた。
僕達のような、組織ではなく個人同士でつながっている職業においては、お互いがブレーンだと。
というわけで、バイクの修理代と機械の修理代を稼ぐため、細かい仕事をこなしている。
テーブルの再塗装、写真屋さんのプレゼン用トレイ、
難しい仕事ばかりが仕事じゃないと、目的があれば立ち向かえるのだ。
「美容室あんずのオープンシェルフ」をアップしました
2010 年 6 月 14 日 by SIGN
作品一覧/人が集まるところ カテゴリーに、「美容室あんずのオープンシェルフ」をアップしました。
屋久杉テーブルのお色直し
2010 年 6 月 8 日 by SIGN
シェルフを納めた美容師さんの紹介で、その美容室のお客さんの家のローテーブルをお化粧直しする事になった。
その奥さんの話では、30年そのお家で愛用されてきたものらしい。うづくりで浮き出た木目には年月を経た汚れがたまり、ところどころ深い傷もあった。
塗装を剥がし、できる範囲で傷を削り落とし、再塗装するつもり。
そうしてまたこれから使い続けられるこのテーブルは幸せだなあと思う。
美容室のオープンシェルフを納品してきた。
設置も無事納まり、お客さんにも大変喜んでいただけた。
あの美容室にいる姿を、その美容師さんとお話ししながら二人で眺め、コーヒーを入れてくださったりしている間独りで眺め。
間違いなくこれは僕が作ったのだが、なぜか不思議な感じがした。いったい僕は何を作ったのだろう、と。
今回ひとつの家具を作る上で、いろんなことをその形の中に書き込んだ。それについてはまた、作品リストにアップする際に詳しく語る事にしようと思う。
ただこの家具を評価するのに、その書き込んだ物語は誰かに読まれる事があるのだろうか。
それは依頼者にのみ伝わればいい事なのだろうか。
僕がその場で語らなければ、細部に込めた思いは未解読の遺伝子のように、膨大で無意味な情報としてさまよう事になるのかもしれない。
モードに対する相対的評価ではなく、依頼者による絶対的評価に挑戦するという、いつの間にやら大変な事になっている。
出会いがありいずれ別れる時が来るのなら、最初にさよならを言おうという素直な心には衝撃を受けた。
人は取り繕いを用いて長引かせ、上手く関係を持とうとするのだと、その時感じた。
とりあえず今年の夏は走れるということ
2010 年 6 月 6 日 by SIGN
今日、2年放置していたバイクを緊急入院させた。
久しぶりにタンクを開けて覗いたら血の気が引いた。すぐに馴染みのバイク屋へ電話をして引き取りに来てもらったのだ。
それを待つ間、汚れを洗い落とし、ちょこちょこいじっていたら、もう止まらない。
修理と車検をお願いした。
これが破滅の始まりか、それとも。
「美容室のオープンシェルフ」完成、納品待ち展示中
2010 年 6 月 2 日 by SIGN
納品の日取りが6月7日(月)になりましたので、それまでの間、展示させていただく許可をいただきました。
SIGNの家具はオーダーメイドなので、基本的に在庫というのはありません。
一点ものの家具は納品すると手もとにはなくなってしまいます。
どういう家具を作っているのか、実物を御覧いただくのが一番であるとは理解しつつも、なかなかお見せする機会もなく。
そこで、御依頼いただいたお客さまの了解を得て、完成から納品日までに時間がある場合に限り、工場にて展示公開しています。
オーダーメイド家具を検討されている方、SIGNの家具を見てみたいという方、この機会にいかがですか。
外出していることもありますので、お越しになる際は、あらかじめ電話かメールでご連絡下さい。
そんな在庫情報を更新しました
クラフトフェアへ行けない
2010 年 5 月 29 日 by SIGN
長野県松本市で毎年行われているイベント「松本クラフトフェア」へ、ずっと行こうと計画していたのだが、仕事に区切りが付かず今回は断念する事にした。
今年は本日29日(土)と30日(日)の二日間。
行きたかったのはこのイベント自体に興味があった事と、今年は僕の妹夫婦が出展しているからだった。
妹は茨城県笠間市で、夫婦で陶芸家をやっている。二人で「鴨工房」という名前で活動していて、最近関東では徐々に知名度が上がっているらしい。すっかり抜かれてしまった感じ。
確かに最近の彼等の作品は、伝統工芸の中から一歩進んだ独創性が感じられるようになってきたと、素人の僕でも思う。ただ独創性だけを求めているのではなく、基盤がしっかりしていて、かつ新しく軽やかで、気負わず日常で活躍してくれそうな器たちだから人気があるのだろう。
人気と言えば、今回は色んな器のほかに、イベント毎に売り切れてしまうというミニカーも用意しているらしい。かなりマニアックな車から軽トラまで、なんと焼き物でできた可愛いミニカー。
夏に会うまでいくつか残しておいてもらおう。
今日、シェルフに使うために注文していたガラスが仕上がってきた。
8段ある棚の内、1段がガラス棚なのだ。
いつもお世話になっているガラス屋さんに、値段も聞かず希望を言って注文したので、いくらかかるか内心どきどきしていた。やっぱり、いい仕事して欲しいということもあって。
一段だけのガラス棚にはもちろん意味が込められていて、とても重要な部分であり、木部をこれだけ手間をかけて作っているのにガラスは安物というわけにはいかない。
それなりにいい値段していたが、最高の仕上がりだった。
見た目はただの四角いガラス板。しかしその透明度や平滑性や面の仕上げという、地味ながらガラス板として当たり前の部分にクォリティーを求める事で、それは四角い板という形をした宝石になる。
引き出しも今日完成し、ひとまずすべてが揃った姿が、あっけなくそこにあった。もうこれに関して作る部分はない。
明日から塗装が始まる。そのために一度組み上げた棚板その他を分解し、初めてこのフレームを床に下ろした。作業台の上では大きくそびえ立つように見えていたのに、下ろして見ると意外と小柄な女性に思えた。
身長は2メートル30センチあるのだけれど。
塗装の準備のために、足跡がつくほど降り積もっていた木屑を掃除していたら、ぷーさんと壮馬君とクミちゃんが訪ねてきた。金魚の学校で金魚すくいしてきたそうだ。
あくせくする僕は、未熟者に思えた。
SIGNの写真茶話会13「ヨシダのワークショップ」
2010 年 5 月 25 日 by SIGN
製作日誌はこの記事の下にあります。
SIGNの写真茶話会13を開催します。
6月12日(土) ※都合により第一土曜日ではありません。
10:00〜12:00 基礎講座 (定員7名)現在予約2名
13:00〜17:00 表現講座 (定員7名)現在予約4名
写真茶話会ってなに?という方は「教室のご案内」をごらんください。
今回の内容は、Yuasa Brand Milkでも発表しています。
お問い合わせ、参加予約はメールにてお願いします。sign.norioyuasa@gmail.comまで。
棚板の仮付けをし、旋盤作業をした。
これがガラス棚を支える柱と引き出しの取っ手になる。
このデザインが、これから商品開発していこうとするSIGNのオリジナル家具のシンボルデザインにしていこうとするもの。
今回はそれを用いる初めての作品となる。初めてだからか、人見知りに似た感覚での対面となった。
旋盤の使い方、バイトの用い方を確認しながら作業を進める。まだ、この先ずっとこれを作り続けるという実感は薄いのだが、あのスケッチから浮かび上がった時の感動を、確信を信じ、このシンボルのように軸を感じさせる家具を作っていきたいと思った。
形が木に定着していくプロセス
2010 年 5 月 21 日 by SIGN
トリマービットもしかり。今回量が多いのは確かだが、刃物の消耗が激しくて。
最後はほぼ手作業の摩擦系作業でこの形に仕上げた。結局時間はかかっても、摩擦系作業で何でも作れる気がする。多分それが好きなんだろう。
棚板も切りっぱなしの状態から比べると、面取りを含むエッジの加工や仕上げ磨きまでいくと、そのものとしての存在感が増してくる。切りっぱなしの状態ではまだ変更の余地があり、可能性を含む不安定な状態といえる。しかし、さらに精密な成形加工を施すにつけ、各部に封印をするように動かしがたい物となり、存在感が出てくる。
完成が近付くにつれ、形が木に定着していくような不思議な段階だ。
安定した樹木という形から一度破壊され、基準面や均一な厚みを与えられ、これらの成形加工により新たな形を持って再生するダイナミックなプロセス。
やはりそれが木工の一番楽しいところなんだろうと思う。木工の手引書のほとんどはそれに終始していて、初めはみんなそれに憧れて始めるんだけど、どっこいそれより大切な形を求めるというプロセスがある。
どんな形でも、仕上げれば存在感が生まれるのだとしたら、形を考える責任は木工家にとって大きい気がする。
立体になる時、現れる感じ
2010 年 5 月 19 日 by SIGN
自動鉋盤も快調に仕上がり、今日は勢いで棚板の切り抜きまでいった。
棚板の仕上げまではあと数工程あるが、我慢できずにフレームに乗せてみた。
この丸み、狙った以上だ。
板はぎの待ち時間を使って、ふたつの鉋盤の刃を交換するつもりが、予想以上に時間がかかってしまった。
作業を進めたい気持ちに反してこういうことをしなければならない。なかなか読めない。木工における技術とは、木を加工する技術ではなく機械や道具を操る事を指すのだと思う。それにはもちろん、道具のメンテナンスも含まれる。それができるかできないか、さらに精密な調整ができるかによって、仕事の質も変わってくる。
そしてプロとしてそれをできる限り自分でやる必要もある。
機械であれば、その仕組みを知る事で応用の幅が広がるし、トラブルの際、原因を理解すれば自分で対処できるかそうでないかの判断につながる。
この鉋盤においても、理屈で言えば、回転ドラムにセットする3本の刃をセッティングゲージを使って同じ高さにするということなのだが、機械に癖があったり、固定ボルトの締め付ける順番や強さによって誤差が出たり、なかなか思うようにいかない。0.1ミリの誤差で、大きく仕上がりに差が出てしまう。
また、木工におけるほとんどの道具類はそれほど精密に作られてはおらず、使っていく中で自分で調整し、消耗してはメンテナンスしながら癖を理解し技術によって精度を出せるようになるという、有機的ともいえる使い方を必要とする物が多い。特に日本人が作る道具には。
ギタリストが右手の爪を研ぐのと同じ。どんなに良い道具を揃えようとも、自分の右手は手首につながっている。
何度も刃を交換し、癖を理解しているつもりでも、早く作業を進めたいという焦りもあってか、この機械たちはなかなか僕が言うことを聞いてくれない。
自然に手を加えるからこそ
2010 年 5 月 13 日 by SIGN
シェルフの棚板を作ろうと手押し鉋盤をかけていたら、たちまち刃がなまってきた。その後の自動鉋盤も同じく。
ぎりぎりなんとかなったものの、明日にでも刃は交換しなくてはならない。
今回部材が多いせいもあるが、恐るべしナラ材。機械や刃物の消耗が激しい。
こういうこともあって、ナラで作られた家具は高いのかもしれない。
材木屋から仕入れた状態の板を、普通はあまり見る事はないだろう。決してホームセンターに売っている角材や板材のように加工されたものを使っているわけではない。
木は動く。加工した瞬間からかかっていた応力が抜けて変形し、その後湿度変化によって反り始める。乾燥し、安定した材でも年間1%くらいの伸縮がある。だから、あらかじめ加工された木材は変形している事が多い。
仕入れた状態の木材は、乾燥させた丸太を板にひいたもの。表面はざくざくで、雨や埃をかぶり変色し、多少反りがある。そのみすぼらしさにはどこにも高級感などないのだが、僕ら木工家が見れば、材木屋さんの山積みされた材木を見ると、宝の山を見るような憧れを感じてしまう。
それらが加工され、組み立てられ、磨かれて木製の家具になるのだ。その変化を知っている木工家こそ、木材の美しさを一番知っているのだと思う。
そんな僕らでさえ、木について知っているのはせいぜい製材された板材、または丸太あたりまでで、実際に生えている状態は知らない。
どんな土地で、どんな気候の中で育ち、どのように伐採され、製材されるまでにどのくらいの時間が過ぎるのかも。
そういうことに思いを馳せることがなければ、木製家具を作る木工家として胸を張れない気がする。
その木を思い通りに操って、別の形に変身させようというのだから。
木にとって、地面に生えている頃には想像もしなかっただろう完全な平面や、直角や、均一な厚みを出す機械の刃物が、すり減って切れなくなったというお話。
これはなんのシンボル?
2010 年 5 月 12 日 by SIGN
昨日頼まれた仕事を午前中にやっつけた。これを一体成形で作る意味ってあるんだろうか。
上下別々に作って柱にプスッと刺す方がいい気がする。裏からビスでも打ち込んどけば抜けないし。
四角を残せだなんて、結構スリリングな作業だった。
そういうスリルを味わわせたいのか、僕の腕を試しているのか、どっちにしたって面白がっているんだ、あの人は。
Wはカシオペア、翼の骨組み
2010 年 5 月 11 日 by SIGN
シェルフのフレームが組み上がった。
この作業中、こういう時にかぎって来客があり、あせって危うく間違えるところだった。
来客といっても顔なじみで、一人は明日香の不動産屋さん。このSIGNの場所を紹介してくれた方で、以来おつきあいがある。安い物件が天理と桜井で出たけど欲しい人おらんか、と。安いといっても中古住宅で500万円出せる友達って僕の周りにはいないなあ。
もう一人はCRAFTの堤さん。午前中、ほぞに接着剤を塗り、まさに組もうという時に電話が鳴り、あたふたと取るといつもの調子で冗談まじりでイジられ、ああもう後でかけ直しますと切り、一か所組み上げてから電話すると、要は仕事の依頼だった。
午後から材料持って来るという事だったので、それまでに組まなければ。でないと打ち合わせと称し数時間男話になることは間違いないからだ。
しかし結局間にあわず、最後のクランプは堤さんにも手伝ってもらった。結局助かったので、いい時に来てくれたとも言える。あら探しはよけいだけど。時給計算するのもやめて欲しいけど。
依頼は旋盤で柱材を加工するというものだった。玄関のシンボルになるらしい。
電話では行ってすぐできるかと言われたけど、今日のこの状態じゃ無理。明日やっときますと言って勘弁してもらった。で、その後はいつもどおり遠慮なき男話に突入した。
その間も横たわっていたフレームは、作業台に抱きつき倒れ込んでいるかのよう。やっぱりこいつは人に見える。
頭を作らなくてよかったと思う
2010 年 5 月 10 日 by SIGN
シェルフのフレームとなる部材31個の加工が終わり、組み立て前に仕上げ磨きをした。
組み立てる前にできるところは仕上げまでしておくのが僕のやり方。塗装がオイルフィニッシュなので、素地調整から磨きまでが、仕上がりや手触りを左右する。ウレタンなどでは下地塗りの段階で磨くので、そこまで慎重には木を磨かない。
今回、これを人の体だと思って作っているから、磨いている木がだんだん骨に思えてくる。色も、ペーパーがけしたナラは、肌色がかった乳白色でいよいよそれっぽい。木のブロックに細かい番手のサンドペーパーを巻き付け、丹念に摩擦作業をしていると、自分が一体何をしているのか、不思議な、ちょっとホラーな気持ちになってきた。
明日はいよいよ、この骨を組上げる。
ここ数日、とても暑くて、今日なんかすっかり夏装束で作業していた。
”装束”といっても、どんどん脱いで薄着になるだけなんだけど、Tシャツ、薄手のカーゴパンツ、素足にサンダル(漁サン)と露出していくほどに、素肌に降り積もる埃まみれ感が増していく。
べつに汚れフェチとかじゃないんだけど、窒息するほど埃が舞う工場で、木屑にまみれているのがちょっと好きだ。
去年の秋に張った屋根裏の遮熱材のおかげで、太陽が高い時は外部との温度差を感じた。でも日が傾いて壁に日差しが当たる時間帯はやっぱり暑かった。窓を開け、風が抜けていく時の気持ちよさを感じると、夏の気配。
二週間ほど前に割って用意していた薪が、ストーブのそばにまだある。
今回の部材もやや多め。収納ベンチの300個ほどではないが、50個くらいにはなるだろうか。
形というのは不思議だ。多くの木工家が家具を作るのに任されている自由の領域ではある。しかし、思い付きにまかせて手の動くままに作れば、それは定まらない形になってしまい、どんなに複雑であっても稚拙に見えてしまい、どんなに情熱的であったとしても短命で終わる。
四角形、三角形、円。単純な形ほど安定していて、長く生きる。新しい形を生み出す事はできても、それを維持させるバランスが難しい。
家具における形とは、さらに過去に作られたバランスを踏襲していく作業でもある。それは家具が芸術ではなく使われるものであるがために、人の認知に受け入れられなければならないからだ。
ならばそこに冒険はないのか。いやある。あるある。
単純な形やスタンダードなバランスを、再構成したり順列を決める作業は自動的にはできない。むしろそこに美しさを求めていくのだ。
おそらく、完全安定の形と比べると、欠陥品とも言えるようなバランスしか生まれない。でもそこに挑戦するしか、物語を書き込む余地などない気がするから。
このシェルフも単純な形だけを使って、ふくらみを出せたらなと思っている。
でも部材が多いのは当分いいや。多いのばっかりやってると、ワンピースの椅子とかやりたくなってくる。
材木を届けてくれた乾さんがまた、「ちょくちょく来させてや」と言って笑ってた。
毎月来てもらうくらいスピード上げたいと常々思ってはいるんだ。
SIGNの写真茶話会12「遠足」
2010 年 4 月 24 日 by SIGN
製作日誌はこの記事の下にあります。
5月の写真茶話会は「遠足」といたしまして、
5月15日(土)に、三重県立美術館へ「浅田政志写真展」を観にいきます。
通常の写真茶話会(第一土曜日)はありません。
募集対象は、今までに茶話会に参加された方、これから参加しようという方に限ります。
詳しくは、Yuasa Brand Milkを御覧ください。
※5/1受付終了しました。
鉛筆、消しゴム、鉛筆、消しゴム
2010 年 4 月 23 日 by SIGN
美容室のシェルフの図面ができた。
図面を書く作業というのは、頭の中で一度作る、ということだと思う。
スケッチで描いたイメージがプロットだとすれば、図面は全体のフォルム、バランス、細部のディテールをひとつずつ解決していく構築作業だといえる。
線一本引く毎に実際の工程をたどりながら、構造、強度も考慮した接合法や加工法や組み立て、仕上げに至るまでを頭の中で行うのだ。
だから、僕は図面を書くのにパソコンは使わない。紙と鉛筆、三角定規が一番いい。ドラフターや平行定規さえ使わない。引っくり返したり、並べたり、ときにばらまいたりするからだ。
そして、頭の中で立体化するのに、手で書くということは有効である気がする。
今回のシェルフは今まで作ったものの中で最も線が多く、重なり絡み合い、図面そのものが美しい。
実物に出会う日が楽しみだ。
アースデイならsouthでの壮馬君の歌がすごく良くて、買ってきたCDを朝から聞いて余韻に浸っていた。
ステージ上で壮馬君が「もし気に入ってくださったら、音を持って帰ってください」と新作のCDをセールスしていたけど、そういうことが出来る”音楽”っていいなと思う。web配信で音楽が買える時代だとは言え、そういうシステムにはない血の通った取り引きが、物を持って帰るという行為にはある気がする。
そうして手に入れたCDからは、ちゃんと壮馬君の声が聞こえる気がするのだ。
そんなことで、僕の工場には知り合いの音楽家たちのCDが増え、作業中はほとんど彼等の音楽が鳴っていることが多い。
「どんな音楽を聴くんですか?」と訪ねられたら、ジャンルではなく「友達がやってる音楽です」と、いつからか答えるようになっていた。
美容室のシェルフの最終打ち合わせに、高槻市から依頼者の方がSIGNへ訪ねてくださった。
今日で大体形は決定した。あとは細かなディテールを図面を書きながら、また作業を進めながら考えていく。
そして、ちょっとした試みで、今回の作業は依頼者からお借りしたCDをかけながらしようと思っている。これがどういう効果をもたらすだろうか。
やっぱり、ないとちょっとさびしい
2010 年 4 月 17 日 by SIGN
奈良市のカフェテラスNZが今年で5周年。今日はその記念イベントで、名古屋のプライナスがゲストでライブをするというので行ってきた。
久しぶりに会ったプライナス。僕が作ったカホンを演奏でまだ使ってくれていた。
SIGNカホン-Vの初期のモデルで、まだシリアルナンバーがないやつだ。材質はさくら。桜材で作ったのはこれ一台だけだった。
音質はというと、やはり初期の音がしていた。New-Vでかなり音が変わったから。
あのころはそれに夢中だったなあ。
明日はアースデイならsouth 2010へ行く。毎年何らかのバンドで出演していたけど、今年は無しで、でも実行委員のSaltさんにオープニングでディジュを吹いてくれと言われたので、一応ステージには立つことになった。
ディジュもかなり久しぶりなんだけど。