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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

アンの赤毛


この家具が、パーテイションというカテゴリーでいいのかわからないが、当初の打ち合わせで依頼者の方とそう呼んだことから、あえて言葉を探すことなくずっとそれで通すつもり。
そもそもオーダーメイドなのだから、一般的に手に入らないものを作るのが僕の仕事なのだ。呼び方もうまく既成のものにあてはまらないこともある。
それに今回はパーテイションというものとして優れたものを作ろうというより、僕の中には別の目標が存在するからだ。

細長い板を並べて板塀風になり、窓にはステンドグラスを入れる。
赤みがかったオレンジのマホガニーに、縦のストライプが入ったようなデザインは、美容室にちなんだ髪の毛をイメージしている。

詳しいことはまた作品リストにコンテンツとしてアップする時に書こうと思うが、僕はこの家具で「赤毛のアン」を描こうとしているのだ。
アンの髪の毛はくせ毛だったのだろうか。暴れやすいマホガニーでこの長さの直線と平面を出すのには苦労した。

そんなことは、見よ

今日は大学で木工の授業だった。
年明け初めての授業で、ラスト2回。作業はみんな順調に仕上げに入っているのでまずはひと安心。

今日はとても寒くて、でも仕上げのサンディングで10台のオービタルサンダーがフル回転していたので粉じんがすごくて、エアコンはつけられず密室で息がつまりそうになっていた。
僕は防塵マスクを持っていたけど、サンダーの音がうるさいから指導する時には外して大声で喋るので、結局あってもなくてもという感じ。
あれだけマスクは必要と言っていたのに、持ってきているやつは半分くらいで、かわいそうにイケメン君の鼻の穴は真っ白で、モードな女の子の服は埃だらけだった。
いい加減わかってくれよと思うけど、それでも作業を一生懸命やっている姿を見ると、この授業は彼等のためにあるのだなと思う。
やっと直接僕に担当の先生の通訳なしで質問するようになってきた。

先日の出張茶話会から一転、木工の授業は力技だと思う。

そして今日は、例の学生がそれぞれの授業を評価するアンケートの日だった。
授業開始後の数分間、そのために時間を取り、その数分後のてんやわんやが想像すらできないような静寂があった。冷ややかな。
そんなシステムはいつからできたんだろう。先生の、手応えを感じる感覚はいつから信用されなくなったのか。もしくは自信をなくしてしまったのか。

若い彼等は僕をどう評価するのか。

なんだこれマホガニー!


壁の下地となるフレームが組み上がった。
ここまでの作業で感じたこのマホガニーという材の素晴らしさ。

高級材と言われ値段の高い材料の条件というのは、ひとつは希少種であることがあげられる。産地が限られ、生産量も少なく、絶滅が危惧され伐採にも制限がかけられている樹種は当然高い。昔はそんなでもなかった木も、乱伐などで数が減り、今後の育成もあまり見込めないものはどんどん値段が上がっていく。
今や木材全体にそういった傾向が見られるから、値段の高い樹種が必ずしも性能のいい材であるとは言い難い。
しかし、ずっと昔から家具や木工品の材料に用いられ、高級材として扱われている材については、その性能もやはりその理由であると再認識した。
マホガニーはすごい。初めて使ってみて感じた。
その良さは実は作り手が認めるところであると。
交錯木理であるため、木目が湾曲しているところはかなり暴れやすく、応力が抜けた途端べろべろに曲がる波打つ。しかし細かく砕けやすい木繊維は逆目が起きにくく、摩擦係数が高いのか鉋の刃もかかりやすい。ヤスリをあてると微粉末になって削れ、表面はなめらかに仕上がる。なめらかなので手触りは硬く感じるが、性質としては柔らかいほうで、比重も軽い。
まさに、どんな形にでも加工できそうな気がする材なのだ。
机の天板には向かないけど、重厚なデザインの脚ものでも軽量に仕上げることができそうだ。

どんな材でも性質を知って使いこなすことが大切だけど、マホガニーを常用できる木工家は幸せだと思う。
長野県で見た、とある木工家さんは、一生分のマホガニーを在庫していると言っていた。その時は、なんだお金持ちか、と思ったけど、木工家として生涯を終える覚悟があるなら、全財産はたいても借金してでも自分が使いたい材を一生分手に入れる価値はあるのかもと、今は思う。

最初の一太刀


今回使用する材はマホガニー。高級材としてよく知られている材で、家具はもちろんギターの材料としても使われることがある。
去年この家具の依頼者の方からチケットをいただき、とあるコンサートホールへ行った時には、壁材にマホガニーが使用されていたので驚いた。それに行く前にこの家具にはマホガニーを使用することは決まっていたからだった。
音響に関する特性がいい材なのか、偶然にも依頼者の材のご希望と音楽好きが絡まった不思議な一致だった。

一部の装飾を除いて、このパーテーションのほとんどをマホガニーで作る。壁の下地までマホガニーという贅沢さ。壁を作るということは大工仕事のようだけど、僕が作るのだからこれは家具なのだ。

木取りの一番最初のひと太刀で、間違いなくそれがマホガニーであることが証明された。
まるで赤土のような切りくず。市場でよく出回っている南洋材の類似品とは違うほとんど無臭ともいえるかすかな香り。表面の硬さに違和感を感じるほどの比重の軽さ。内部まで黒い導管。
お客さんの要望や、運よく安く手に入ったことがなければ、こんな材めったに使うことはない。

少し残しといて一台だけマホボディーカホン作ろうかと思ったり。

家具屋だぜ


やっと書き上がった、美容室のパーテイション他の図面。
注文をいただいた時は全然いけると思っていたのに、なんなら図面なしでも作れるかとも思っていたのに、いろいろなものが見えてくると、それがただ材料を選んで形にして終わりとはいかないことに気付く。
なんだか知らないけど、仕方ない。見えてしまったら無視できない。お客さんに、そうですか?と聞くとやっぱりそうだ、実はそうだというので、設計では数字以外のところで悩むことになる。
めんどくさいなら無視すればいいのに。
スケッチ、図面、スケッチ、図面、鉛筆、消しゴム、鉛筆、消しゴム。

僕の生活苦の打開策は、設計デザインをタダでしないことだと7年目にして気付いた。

僕らはみんな知っている

今日はこの村のとんど祭りだった。
それを運営する自警団の副団長という立場だったからか、この祭りが終わってやっと一年が終わったような気がする。

背景にどんなことがあったとしても、地域の祭りはあったほうが豊かだと思うし、住民の結束や災害時の対応訓練だという意味もある。
名前や肩書き上のことしか知らない人の前には、僕の実体はない。協力したり、ときに遠慮なく対立したりする中にその人の存在が露になることもある。
ぶつかりあうこともまた存在確認なんだと感じる。そんなつながりのほうが断ち切りにくい事も知っている。
知れば必ず動機が生まれる。僕は今、僕を知る人が住んでいる土地に住んでいる。

ユアサるトップランナー

今日は朝から図面と格闘していると、その家具の依頼者から電話があり、一部デザイン変更のご注文。それに対する違和感を解決するためにまた考え込むことになるのに、言われっぱなしでは納得できず受けて立つ感じだから、結局断れない。
また少し考えるところが出来て、作業開始はまたずれ込む見込み。

そして午後からそれに頭を悩ませていると、一人来客があった。
風草木から紹介があって、うちで木工教室を受講したいという女性だった。職業はリハビリとかの作業療法士、だったかな、また先生だ。
作りたいものは本棚兼用ベンチ。
箱形のベンチなので初心者向けにパネル材を使って作りましょうということになり、いきなりだったけど図面と木取り表の宿題を出した。2月くらいからスタートする予定。
仕事も急がなきゃいけないのに、なんのためらいもなく受け入れてしまった。2月からは大学の授業もなくなるし、まあなんとかなるか。

最近の自分のやみくもな行動が、自分でも分からなくなってきた。
知り合いから冗談半分で「ユアサる」と言われることも、ここまで度が過ぎるとなんかの病気かとも思ってしまう。
誰か説明できる人がいたら診断してもらいたいよ。

来週は出張茶話会。それを考えていると西光に言われた表現大学のことがちらついたりもする。綾さん覚えてるかな、とか。
いやいやありえない!

今年は仕事も作品も

年が明けて色々用事を済ませてから、ちょっと長野県の尖石遺跡あたりの唐松林をモコと徘徊していました。
一週間過ぎましたが、明けましておめでとうございます。


正月に久しぶりに妹夫婦に会い、陶芸家の彼等とお互いの仕事の話をしたりして、作家として生きていくことの厳しさと希望を確認し合った。
向こうは関東を拠点にイベントや個展などをして華やかに見えても、売ることの難しさは変わらず、次の展開を少しずつ考えているようだった。

そんな彼等から、あるイベントに出展しないかと誘われた。
茨城県笠間市で毎年GWに行われているイベントで、もともとは焼き物の産地である笠間の陶器市だったのが、近年のクラフト系イベントの盛り上がりに合わせて陶芸以外の出展も受け入れ始めたという。妹夫婦はそのイベントの常連で実行委員もしており、出展者の募集に僕の名前も入れてくれたのだそうだ。
のらくらしている兄貴が妹にケツ叩かれて。情けないやら嬉しいやら。
とにかく関東でも結構規模の大きなイベントで、東京からもたくさん人が来て、一週間というロングラン。それに関西から出展するなんて。
作家としての関東進出がこんな形でスタートするとは。
そんなことより、大丈夫か、作品どうする、仕事は、ちょーっと急がなきゃな。

帰ってきたと思える場所

山口から帰り、慌ただしく飛び出したままの工場を片付ける。
数日空けただけだったのに、なぜか久しぶりな感じがして、なぜか懐かしい感じもした。
神戸での出張茶話会が開かれる小学校での下見や、帰ってから少し体調を崩したことも、僕がかつて勤めていた学校があった大阪の北加賀屋で、西光が写真展をしていたので見に行ったりしたことも関係あるのかもしれない。

僕にとって教室は力みなぎる場所であり、工場は独り落ち着く場所である。独りに戻る時、僕は誰に左右されることなく、なにも手につかない自分を認め受け入れることができる。
そういうことが、もしかしたら、これから見つかるかもしれないもうひとつの立ち位置に対して、良い影響を及ぼすのかもしれないと、半ば都合よく考えたり。
写真展を見に行った時に、西光に「写真表現大学に講師の営業したら」と言われ、ああそんなやり方もあったなと思いつつ、でもそれをやるには時間が経ち過ぎていて、それに対して尻込みする気持ちを感じれば、自らした写真への封印が完全に解けていないことも、やはり思い知ることになるのだった。

このオーダーメイド家具製作も、写真茶話会も、中心には、中心からは、なんの影響もない外周の場所でやっているような気がする。まだまだ。あえてそんなところでやっているような。
西光がそれを言った後、「営業下手やもんなあ」といって僕を笑ったことは、写真だけでなく僕のすべてに対する問題を指しているようにも思える。
この年の瀬に、気になること言いやがって。


次の仕事の図面書きと、年賀状書きで年が明けそうです。
この一年お世話になったみなさん、良いお年を。

食が解決してくれるでしょう


山口県の周防大島にある写真館に、フォトフレーム20枚を届けてきた。

塗装の終わったフレームを眺めていて、乾燥が終わったら金具を取り付け組み立てて、梱包、運送業者に依頼して発送、か。
多分それにかかる時間も半日。今からこの状態で車に積んで走っても同じ時間がかかるとしたら。
冷静に考えれば、同じなのは行きにかかる時間だけで、労力や経費のことは忘れてしまっているし、行けば帰って来なければならない。
でも僕の頭は、その時行くことしか考えられなくなっていた。
こんな状態で次の仕事の図面を書いたりなど絶対にできなかったと思う。行くことの理由や口実などは後付けでかまわなかった。

依頼者は僕の写真学校時代の教え子夫婦だった。彼等の家に到着し、フォトフレームを組み立て、全紙の作品を2枚入れてみた。
相変わらずいい写真撮るなあ、この男。写真館に記念写真を依頼してこんな写真を撮ってもらえたら、お客さんも幸せだ。
それを引き立てる額となって欲しい、と願う。

地元でとれた魚で鍋と刺身と、七輪で焼いたホタテのうまさに圧倒的な破壊力を感じ、夜遅くまでいろんな話をした。
やっぱり行ってよかったよ。

三時間ほど寝て、夜道をまた帰る。
これにかかった経費への言い訳としても、前から行きたかった場所へ立ち寄った。
神戸市にある小学校の通級教室。
そこの先生が写真茶話会始まって以来ずっと参加されていて、来年1月にその学校で神戸市の先生たちの自主研修のプログラムとして、出張で写真茶話会をやってもらいたいという依頼があった。
撮影を含むワークショップをしようと思っていたので、できれば現場を見ておきたかったのだ。
その先生には無理言って休日出勤をお願いして、学校を見学させていただき、内容の打ち合わせをさせてもらった。

午前8時、職員室でその先生の作った目玉焼きとコーヒーを朝食にいただいた。

サンタは悩まないのか、な


なんとか並べきった。もうほかに何もできないぞ。

今回の塗装は光沢なし。反射してキラキラさせたくなかったので、トップコートのワックスは塗らないオイルのみの仕上げにした。
太陽光に曝されて乾燥が早い可能性はあるが、「オイルぐらい塗るでー」という依頼者のメンテナンス宣言もあり、そうすることにしたのだ。

さてこれをどうやって送るかだが。
この年末の忙しい時期に、直接納品の虫がうずく。
お待ちいただいている他のお客さんのことを考えると、少しでも今年中に仕事は進めておきたいし、年末年始の自警団の活動もある。
やはり現実ではあり得ないか。


やっとここまできた。
4種類の大きさの一番小さな額は置いても使いたいので自立するようにしてほしいとのことだった。
一般的な背板に縦横兼用の脚を取り付ける方法もあったが、吊るしたり裏面利用のことも考えて、ただのつっかえ棒で立たせるようにした。
これも意外とシンプルで、挑戦的でいいと思う。
市販のものだとこれではダメだろうけど、ここは木工家の主張というか、本体を主題と考えれば余計な物は取り付けたくない。

あとは吊り金具を取り付ける準備をして、いよいよ塗装して完成だ。
20枚どこに広げようか。


アクリルなしで背板のみで支える額なので、裏にこんな工夫がある。
普通は裏面に数カ所回転式の爪をつけ、点で押さえるようになっているが、それはアクリルと背板でサンドするから平面性が保たれる仕組みだ。それなしでということだったので、考えたのが線で押さえる方法。
フレーム自体を頑丈に作り、かかる幅を広めにし、背板を挟んで裏面にも分解式のサブ的なフレームをはめ込んで押さえるようにした。
また、このフレームが店の外に向けて吊るして使用されるため、店内から見ると額の裏が見える。
この構造なら裏面にも写真を入れられるというわけ。
思惑通りにいくかは使ってみないと分からないが。

そんなこと考えてるから、パーツが増えて苦しむんだよな。
サブフレームの部材も×20で80枚。

数えられるのはいくつから

今日はフォトフレームの鉋がけと素地調整と面取りをやった。
何をするにも×20だということに実感がわいてきた。今さら?
そう、同じ物を作っていても、×20は×15にはならなかった。
あと作らなければならないパーツもいくつかあり、塗装と金具取り付けと。案外完成はステンドグラスが届くのとドンピシャかもしれない。
慣れないと数ものは読めないなあ。いや、ほかもちゃんと読めたためしはないか。

きのう夜遅く、浅田から電話があり、こないだ大阪で会ったと思ったら、今浅田梅ふたりは青森の八戸にいるという。とある企画で一緒にポートレートを88人分撮っているのだそうだ。来年写真集になるという。
春、暖かくなったら茶話会でワークショップをしたいと言っていた。
そんな忙しいやつがほんとかよ、と思った。

角の小さな丸


フォトフレームのコーナーの補強は、「やといざね」でもよかったのだが、耐候性や木の変形を考えてビスを使うことにした。
穴を埋めるダボはもちろんフレームと同じ材料で一個一個作り、そこを象嵌風のデザインとするために色みの違う材料を埋め込んだ。

細かいところだが。

結構時間がかかっているフォトフレームだが、昨日ステンドグラス作家のVIVOさんから連絡があり、来週末に完成の予定とのこと。
ちょうどいい時期にパーテイションにも取りかかれそうだ。

それは12月だからなんです

朝からフォトフレームの作業をしていると、それに興味があるからと、パーテイションの注文をいただいている美容師さんが訪ねて来られた。

しかしフレームの話はそこそこに、パーテイションの打ち合わせも軽くして、コーヒーを飲みながら色々な話を。

お土産と言ってロングピースを一箱いただいた。
ありがたい、腰が抜けそうなくらい嬉しかった。
そのあと二人で食事に出かけ、食べながらまた色んな話を。

さてこの方、何をしに来たのでしょうか。
それを僕は噛みしめながら、午後から大学の授業で倒れる寸前までがんばりました。
ありがたい。だけど、心配をかけるようなことはもうブログに書くのはよそうと思った。


写真館のフォトフレームが組み上がった。しかしここからまだ色々工程がある。
道に面するショーウィンドーで使用されることや、ガラスやアクリルを入れない印画紙そのままで展示されることを考えると、耐久性や平面をどのように保持するかなどの工夫が必要になってきて、結局作り込んでいる。


ところで、煙草が値上がりしてから2ヶ月以上経ったけど、ついにそのショックが僕にも覆いかぶさってきた。
とりあえずわずかながらも値上がり前に買いだめした分で2ヶ月はなんとかなったが、先日それもなくなり、パイプ煙草で数日がんばってみたものの、どうにもそれも続かず、今日ワンカートン買った。
しかしそれは今まで長年愛煙してきたロングピースではなく、わかばだった。
ロングピースは一箱440円、わかばは250円。
ロングピースをワンカートン買うと、手持ちの全財産を支払うことになり、単価で190円の差は大きくて、貧乏学生時代以来ひさしぶりにわかばを買った。
煙草から見ると、驚くほどあの頃と生活水準が変わっていない。20年で経済成長なしというのは、国家で言えばすでに破綻だ。びっくりだ。

ひさしぶりのわかばの辛さを味わいつつ、またピースに戻れるようにがんばらねばと思う。

100匹目の「先生、」

ライアル・ワトソンだったか、飽和点というお話。

今日大学の授業で、一番進んでいる学生がスツールの組み立てに入った。
延々格闘してきた仕口の加工が終わり、あられ組みの擦り合わせをして、やっと目標の形になる組み立て作業は、このスツール製作で一番面白いところだろうと思う。
彼の他はみんなまだ仕口の加工を一生懸命やっていて、進み具合にかなりのばらつきがあった、と思っていたら、彼が組み上がり、はたがねで固定する頃、図ったように連鎖的に仮組み段階に進む学生が出だして、後半てんやわんやになっていた。
全部で18名を同時に一人で、ほぼ個人指導して回っているので、「先生次どうするんですか?」「先生、」「先生、」
そう呼ばれて悪い気はしないけど、その呼ばれ方には過去の響きがつきまとい、呼ばれる度に複雑な気持ちがする。
そこでは本物の先生ではないから。
昨日は僕を先生と呼ぶ元教え子たちを愛おしく感じつつ。

呼ばれているうちに飽和点がくればもしや、などと妄想をしてみたり。

木工機械事故経験者は語る


溝切りカッターは緊張する。こんな階段状の溝突きはさらに不安定で、指が吸い込まれたらまず助からない。
精度と効率を上げるために、電動工具や木工機械は使わざるを得ないのだが、木工家という優雅な響きに反して、この仕事は危険な作業が多い。

木工を教える、または教わる時に、この危険であるということを避けては通れない。そしてそれには何の補償もないし、どんな評価もされない。
そんな作業をわざわざ選んでこのデザインを作ろうとするわけだから、何かあったらすべて自分の責任なのだ。

自分の指先の数ミリ先で高速回転する溝切りカッターの夢を見そうだ。
ああ、あと半分残ってるよ。

千里中央は別世界だった


新しい仕事の打ち合わせで大阪の千里中央まで行ってきた。テーブルの注文だった。
以前お世話になった設計士さんからの紹介だった。その設計士さんのご自宅にもテーブルを納めさせていただいたことがあったのだ。
こうして話がつながっていくことがありがたい。

材のサンプルを持っていき、選んでもらったのがウォールナット。選んでもらったというより確認というべきか。そのお客さんの希望はすでにあり、色みや木目の好みはウォールナットであり、デザインは北欧風だった。
買おうか迷ったというテーブルの写真を見せていただいた。どこかで見たことあるような、北欧風のデザイン、この時、僕の中にかすかに種火のようなものが燃え上がった気がする。
北欧風のデザインが嫌いなわけではない。その写真のまま作ったっていいのかもしれない。しかし、あっちはマスプロなんだ。

予算は決まっている。その範囲でどうやってあれを越えてやろうかと、工場に帰ってぼーっと考えていたら、窓の外はすっかり暗くなっていた。気がつくと、視界には工場の天井が。
いつからこれを見ていたんだろう。

それ以外何もない額


なんと角材を作るだけで2日もかかってしまった。
最近は病的で、ビシビシの精度でこの工程をやらないと気持ちが悪くて。
作業台に積み上げられた角材はいくら重ねても隙間なくきっちり平面で、指を挟むと切れそうなくらい。でもこういうのって仕上がってみると地味で気付かれない努力なんだけどね。
でもそれが木工家が作る値打ちみたいな気がする。額屋さんは加工された材料を仕入れて組み立てるだけだから。
ウォールナット、タモ、ナラ、メイプル。数的にはナラとウォールナットが多いのだが、いろんな木を使って欲しいという要望により4種類の木で作ることにした。
硬い木ばっかりで、プレナーの刃が切れなくなってきた。もうちょっと、がんばれプレナー。

さて、溝を加工する工程で怪我をしないようにしないと。
ちょっとだけアクロバチックな溝突きをする予定。

明日は午後から新規のお客さんのところへ打ち合わせで、千里まで。

生きることと仕事は別

相変わらず厳しい月末。
写真館のフォトフレームを作り始めた。図面上では気がつかなかったのが、思った以上に材料が必要なこと。20枚って多かった。
直接納品は予算的に無理だろうな、いやまだ希望は捨ててはいけない。スピードアップでカバーできるかどうかだ。

友人が質のいいタモを安くバンドルで手に入れたと言って、少し買わないかと誘ってくれている。
そりゃあいくらでも欲しいところだけど。

ああ!元気出していこう、がんばろう。
週末はあいつらに会って元気をもらってこよう。

製作日誌はこの記事の下にあります。

SIGNの写真茶話会19を開催します。テーマは前回できなかった「画面の力」です。
12月11日(土)
10:00〜12:00 基礎講座 (定員7名)
13:00〜17:00 表現講座 (定員7名)現在予約4名

写真茶話会ってなに?という方は「教室のご案内」をごらんください。

お問い合わせ、参加予約はメールにてお願いします。sign.norioyuasa@gmail.comまで。

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