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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

くらげの森へようこそ


予定していた数の半分になったけど、とりあえず完成した。
これから搬入だ。

いよいよ本日より個展が始まります。

ふんわりくらげパン


パン屋に転向しました。新作が焼き上がりました。

自分でも驚くくらいみるみるできていく「くらげスツール」。
普段の仕事では悩みながら苦しみながら歯ぎしりしながら作っているのに、なんなんだこのペースは。僕は実はフリーハンド向きなのか。
企画として成功するかは別として、苦がない。不思議な感覚。
こないだの話からすると、不特定の人に気持ちを伝える方が向いているのか、ただ楽なだけか。
個展とはいろいろ得るものがあるんだな。
あ、個展だと思うと気が重くなってきた。やめよう考えるのは。

やっぱり車検のないバイクで満足できるかどうかなんだよな、人生って。

「SIGNの家具展」4/28-30開催

いよいよ近付いてまいりました。初個展。
製作日誌を御覧の方はこの状況をご理解いただいているとは思いますが、たいへん差し迫っております。
どれほどのことをお見せできるか分かりませんが、とにかくやれるだけのことはやります。
日程はGWの初日からとなっておりますが、ご都合付く方はぜひご高覧くださいませ。

なお、初日28日の18時より、ささやかながらオープニングパーティーを(本当はするつもりなかったのですが、師匠が「やらなあかん」と言うので)する予定です。
余興大歓迎ですので、わいわいやりましょう。

場所:zoo second space 大阪市東成区東小橋1-18-4 tel/06-7492-7247
・JR環状線[玉造駅]東出口から南へ徒歩3分
・お車でお越しの際は、近くにコインパーキングあり

大きな地図で見る


テーブルの塗装も終わり、すかさず次の作品へ。
残された一週間で作るものは「くらげスツール」に決めた。
こないだひらめいた個展のテーマ「フリーハンド」といえば、去年の震災後茨城県笠間市で開催された陶炎祭に出品したスツールを思い出した。
被災地で開催されるイベントにいったい何を持っていけばいいのかと考えて作ったものだった。
テレビでも報道されたように、出店する作家のほとんどが震災で被害を受け、また買い物にくる人々も被災して交通手段やライフラインが寸断され食料の調達さえままならない生活を経験した人々だった。
ただ普通に買い物ができることが幸せだと、イベントに来たあるお客さんが言っていた。
そんなところに、そんな人たちに家具を作るということで自分の思いをどれだけ伝えられるのか。
とげとげしい自己主張はいらない、売る気満々の商売っけも不似合いに思われた。
気持ちがそのまま形になればと、図面も引かずただ手が動くままにと思って作ったのが「くらげ」だった。

それが個展の作品として、SIGNの家具としてふさわしいかはわからない。やってみて、理由は後付けだ。
ひらめきを信じてみる。

教室を抜け出して


テーブルは一回目の塗装までできた。けっして早くはないけど、これだけの作り込みをしてこのペースなら悪くはない。
しかしこれがこの時期、この状況でなければ。
あと一週間か。

午前中脚部の組み立てをして接着が固まるまでの時間を使って宝塚へ走る。先生に会いに。
何のために行くのか自分でも曖昧になっていた。
あまりにも強引で無茶な偶然により、会えると決まった時はいろんなことを考えた。
もう一生会えないと思っていたから。それだけのことを僕はしてきたんだと思っていたから。
謝ること、言い訳、また頼ってしまうのではないか、見栄を張りかっこつけたい。
そういったものがこの数カ月のうちに消えていった。仕事や作品制作に追われ、ドタバタしているうちに。
そういう時間が必要だったのかもしれない。だけど、会って何を話していいのかもわからなくなり、とりあえず話のネタにと教え子たちの作品を数冊持って行くことにした。
結果的にはそれらを見せることはなかった。
一緒に食事をしながら、それはとても幸せな時間だった。
恩師と写真教育について語り合う。それだけが。ほかの考えていたことなど流れ去っていたおかげで、それだけが。
先生が大学で教鞭を執ることになった経緯から、その教育方針をあらためて聞き、それに共感し、自分がしてきたことの再確認をし、裏付けを得た。こんなところにあったのかと。できることなら、教員時代に先生と話すことができたなら、あの頃の僕はどれだけ心強かっただろう。
先生とこんな話をするなんて、学生時代は想像も出来なかった。僕は先生の教え子として間違ったことをしていなかった、それがわかっただけでよかった。
でもそれがなぜ今なのかはわからない。
僕はもう写真界からは遠ざかり、木工家であり、初の個展を間近に控えている。事実上の作家デビュー。
「家具屋だけど写真のことを分かってる、それでいいじゃないか」と先生は言った。
やり続けていればその先にきっと何かある、と。
茶話会はやめるなってことか。
先生は80歳で現役。そう思えばまだまだ先は長い。
また会えると思い続けても、別れたときに終わっている物語もあり、終わったはずだと思っていても続いている物語もある。
先生は別れ際に言った。「また会おう。」
工場に戻り、作業の続きをした。


夜9時までかかって脚4本の削り出しが終わった。
これで明日少し時間が作れる。

脚部の組み立てが終わったらちょっと宝塚まで、ある写真展を見に行こうと思う。
僕の大学の恩師が主宰する写真の会のグループ展。
先生とはもう何年会ってないだろう。去年久しぶりに連絡をとってからやっと会う機会ができたのだ。
連絡をしたときには色々話したいこともあったけど、今は何を話していいかわからない。
先生の顔を見たら帰ってこよう。それでいいや。


天板の加工も終わり、面取りと仕上げ研磨まで。これで天板は完成だ。
明日から脚を作る、旋盤作業。
SIGNのオリジナルテーブルとして、旋盤の加工はぜひとも入れたいところ。さあ、回すぞ。

それにしてもこの天板の形は、二度目なのになんだかこなれた感じがする。
これが運命の出会い?なのか。
とても気に入っている。
長方形ではなく、円形でも楕円形でもない変形の部類でありながら、スタンダードな存在感がありしかもオリジナルな味もある。
型など作っていないのでひとつひとつが手作業でのフリーハンド削り出し。なので二度と同じものは作れない。
このカーブは揺らいでいるのだ。
このパターンでこれから何台このテーブルを作ることになるかわからないけど、その第一号に早く会いたい。

僕がイメージした船底とは


できあがると多分裏から眺めることはないと思う。テーブルをそんなふうに楽しむ人もいないだろう。
しかし裏面を加工するときには裏から見た感じを意識しているのは不思議。

船底をイメージした形状は実際に使用する際には見た目に薄く軽く、椅子にかけたとき足が入れやすく、幕板がないので足を組んでも何にもぶつからないので不思議な使用感がある。まるで天板が浮かんでいるかのような。
そして中央が膨らんだ断面は構造的に垂れに対する強度がある。
天板の形は例の樽型。「奥様は魔女」のテーブルで採用したあのゆるやかなカーブは、デザイン第一案から考えていたものだった。
一瞬、目の錯覚かと思わせるような曲線は、使用する際はほとんど気にならないが、この裏面の船底と同じく無意識に働きかけて、やわらかくかろやかな印象を与えてくれる。
あまり時間はかけていられないけど、明日もう一日天板と格闘しよう。

天板の加工


ナラ材の天板の厚みは40ミリ。結構迫力がある。
そしてその天板に大胆にもこんな加工を加える。ちょっともったいないけど作品だからこそできることで、こんな挑戦的な加工はオーダーメイドだとやはり敬遠される。
これがもたらす効果は、後ほどお楽しみにということで。

そもそも天板に大きな加工を施すことは、タブー視されているかのようだ。
ほとんどの木工家具ではエッジの加工にとどまり、シンプルデザインの流行とあいまって、誰の作品も天板は直方体を基本とするものが多い。耳付き一枚板民芸調は別として。
円や楕円というのもあるが、やっぱり裏面を彫り込むようなことはあまり見ない。
削って減らして歩留まりを気にすることもあるだろう、大事な木材だし。
デザイン的なバランスも難しいし、加工も失敗したら天板がパア。挑戦する気がなければ。
その後の脚部の変更があった場合に平らな方が融通がきく。その場合穴さえも空けたくないんだろうけど、はたして変更することってあるのだろうか。しかし、一般的にテーブルのデザインに凝る場合は天板よりも脚部のほうかもしれない。
アリ桟反り止めを重要視する人もいる。でも反りのメカニズムを考えればなくてもいいケースも考えられ、逆に下手に裏面に補強を入れることで大きく反ることもある。

とまあ色んな意味でリスクがある天板加工ではあるけど、それをやっちゃおうと思った瞬間に、テーブルという機能性や耐久性を最重要視されデザインに幅のない「台」としての家具に、ちょっと可能性を感じ始めた。

本棚の納品をして


オールメイプルの本棚を納品してきた。
お客さんの協力もあって心配された搬入も問題なく無事終わり、転倒防止の金具も壁に取り付けた。
メイプルの色合いが白い壁によく似合って、シンプルで直線的平面的なデザインながら優しい雰囲気がする。
製作中ご主人には工場で見ていただいていた本棚だったが、実際に家に納まるとまた印象が変わり、奥さんとお二人で設置作業中も歓声が絶えなかった。作業中二階に避難していた子どもたちからも、終わってからお許しが出て見にくると「すごーい」と声が上がる。
喜んでもらえて良かった。伝わってよかった。
こだわりの脚付きというデザインを除けば、棚板の可変機能もないシンプルな本棚。そこに込めた思いは何によって伝わったのか。
詳細は後日、作品コンテンツにて。

工場に帰ってからそのお客さんからメールが届いた。
今日の納品を偶然見かけたという、以前うちでミニカホンの木工教室をされたお客さんから声をかけられたと。
その後も製作日誌のブログを見てくださっていたらしく、今日の本棚の納品も知っておられ、多分偶然出くわしたのだろうとは思うけど、ちょっとすごい話。けっしてSIGNが有名なのではないし。


個展に出展するテーブルを作り始めた。このテーブルは以前お客さんのためにデザインしたテーブルだった。
その後希望を聞きながらいろいろ手直しをして納めたものの、自分としては第一案も捨て難く、オリジナルのテーブルとして作りたいと思った。僕から最初に出たものだから。
まずはテーブル。家具展なんだからそれがないと格好が付かない。それ以外はその後考えよう。

明日は本棚の納品だ。
かなり重いのでお客さんに搬入を手伝っていただくことになった。無事設置できることを祈って。

棚板にトラ模様


本棚の塗装が終わり、週末納品することになった。
シンプルなデザインではあるが、無垢板の存在感や質感を楽しめるものとなった。やはり塗装はがらりと印象を変える。
SIGNの家具はずっとオイルフィニッシュで仕上げをしてきたが、使用する塗料は色々な物を試してきた。一口に天然塗料と言ってもあらゆるメーカーからたくさんの種類の塗料が販売されており、どれもそれぞれ主張するところが違う。
もちろん塗装法も仕上がりも様々。人体に害の少ない自然派ということで、その成分に気を使うのはもちろんだけど、説明書通りの塗り方では思い通りにいかないこともあり、自分に合った使いこなしができるかどうかも大事なところ。
デザインもさることながら、最終的な光沢や手触りで印象は変わってくるし、塗料そのものの耐久性やメンテナンス性も重要。納品してからはお客さんがすることだから。
今使っている塗料はずっとお世話になっている塗料屋さんのオリジナルで、大手メーカーのものをいろいろ試して結局これに落ち着いた。
塗装法を工夫すれば同じ塗料で仕上がりをコントロールできるし、耐久性もあって気に入っている。

午前中塗った塗料の乾燥を待っていると、学生時代の友人が20年ぶりに訪ねてきた。
うれしくて舞い上がって自分の話ばっかりしてしまった。
再び会えるなんて奇跡みたいな彼と、夕方まで話をしたけどまだ足りなくて、また近々会おうと言って別れた。


背板を取り付け壁ができた。これ以上くっつける物はないのでこれ以上重くなることはない。よし。

あとは引いた線に向かって飛び込むのみ。これを納めればいよいよ作品制作に入る。
残された時間は2週間か。何ができるだろう。「なんでもできるやろ」師匠の声が聞こえてきそう。
結局個展に関して何も計画できなかった。今もまだ頭の中は真っ白だ。
だけどごちゃごちゃ考えてる時間はない。そうやって追いつめるために、この流れがあったのだろうか。
「流れのままに作りなさい」個展開催が決まったときに師匠に言われたのだが、その時何が流れなのか、それを探し、自分が何をしたいのか、それを考えていたけどさっぱり見つからず今に至り、「流れのままに」とは流れを探すことではなく今までの経験を信じて体が動くままに作ることしか、ない。
家具でそんなことできるのか。瞬間的に吐き出すような作り方がはたしてできるのか。ただ幼稚な物になりはしないか。いやもし幼稚なのであれば僕の個性が幼稚なのだ。
計画性でごまかせるような余裕はもうない。
初の個展開催への不安よりも、自分の体が動くかどうかだ。

オーバードライブ


この製作日誌を購読されている方の中には、サディスティックに楽しみにされているかもしれない今回の「やり過ぎポイント」のひとつになるだろう、背板。
化粧合板などではない、オールメイプルと呼ぶにふさわしく背板も無垢の削りだしなのだ。突き合わせは相欠きで重なっており動く仕組み。かなり重い家具になるので、がっちり固まっているよりしなって揺れてもらおうという考え。耐震とかよくわからないけど、がたがた歩いて倒れてくるよりその場でグニャグニャしてたほうがイメージ怖くない気がする。

しかし、どこまで計算できない男なのか。でも、いい本棚になりそう。
少ない回転数でたくさん車軸を回し続けるしかない。

そのとき君も同じように


午前中小学校の入学式に出席、満開の桜のもと自分が入学するみたいで嬉しくなった。
僕はやっぱり学校が好きで教室が好きで、何があろうと、これからそこでの生活が始まる彼等がうらやましい。
しかしもう一度あのときめきと迷いの日々を生きたいかと言われると、それはない。取り返しがつかないからこそ大切に思える記憶があるような気がする。
ある人に僕は、先生に一番向いてない人間だと言われたことがある。

午後から本棚の棚板を取り付けた。

明日ひげを剃ろう


昨日は茶話会だったのでその分日曜日だけど仕事をした。
この本棚は作業台からはみ出る大きさなので床で組み立てることにした。
完成すればかなりの重さになるのでその方がいいと思う。
脚を取り付け、枠組みができたとき、その中で寝転びたくなりしばし休憩。少し疲れがたまってきている。


お客さんの強い要望があった「脚付き」の本棚だから、そのデザインのキモとなる部分にはこだわりたかった。
メイプルという材だからという必然性も形には反映させたい。
軟質の材や割けやすい材では不可能な尖った形状。理屈でいうと二本でアーチ構造となり、荷重を分散させ、てこの原理でコジを効かせる。そういった機能をシンプルな線で、というわけ。
自分で書いた図面であっても、精度高くこの形状に加工するのに燃えてしまい、またもや頑張れ町工場してしまった。
時間ないって言ってるのに。ああ。

学生時代の友人で漫画家の、きらたかしの「単車野郎」を読んだ。めちゃくちゃ面白いんだけど、奴の鈍くささには共感してしまう悲しさ。俺もおんなじやで。

板に刃物を入れる瞬間


午前中側板に棚板をはめ込む溝を加工した。
メイプルだけに棚板自体にそこそこ重量があり、またそれにのせる物が本ということもあり、しっかりした荷重対策として棚板をはめ込むことにした。といっても大入れではなく胴突きのある「さね」のような加工をして差し込もうと思う。
その後来客があり一時中断。
午後からはこの本棚の依頼者の方がお仕事中に時間を作って様子を見に来てくださった。
京都府の方で大阪で仕事をしておられるようだが、こうしてわざわざ製作過程を見に来られるのだから、色々と今までの工程を説明させていただく。差し入れもいただいた。
この方の熱心さが伝わってくる。
すべての仕事において、遠方の方もいるし、基本的に日曜日は作業をしていないので、製作過程を実際に見ていただくケースは少ない。そのため、製作日誌を公開しているのはお客さんに進行状況をお知らせする意味もある。
この方はもちろん製作日誌も御覧になりながら、生でも見るために訪ねて来られた。オーダーメイドを存分に楽しむように。
あるお客さんから、出来上がっていく様子をホームページで見るのは楽しみでどきどきする、と言われたことがあった。それも価値なんだなあと思う。
僕が何を考えながら作っているのかも。

その方が帰ってから脚を接合する穴を地板に空けた。


本棚の部材となる板がやっとできた。ところどころメイプルらしい杢も出ている。
元の材料から都合10ミリ削り、プレナーを通した回数は200回を超えただろうか。ちょっと時間かかり過ぎだけど、少しずつ力を抜いてやりながらきれいに厚みと平面の出た板はやっつけでしたものより安定すると信じて。
仕入れた材の中に奥行き分の幅を一枚でいけるものが、ちょうど側面の2枚分とれたので、贅沢にも両側は一枚板とし、天地と棚板は2枚はぎにした。
今日はその板はぎと厚みの削り出し、寸法切りまで。明日から接合などの加工に入る。

作業をしながら、このおかしな天気に奇妙な感覚を覚える。
いくらニュースで気象の状況を科学的に説明されても、窓から見える景色や光や、唸る空や、壁や屋根を打つ雨音を聞いていると、どうにも気持ちが悪い。
風がものすごく強くなったり弱くなったり、日差しが暑いほど晴れたり曇ったり、晴れながら雨が降ったり雷も鳴るし、降る雨も10mおきに吹き降りの方向が違い、風があっちこっちから吹いてくる。
それで寒いのかと思ったら蒸し暑かったり。
黄砂のせいか夕方はあたり一面まっ黄っ黄だし。
気象を制御する装置のどこかが壊れたのではないだろうかと、テレビの天気予報士の話を無視してする妄想のほうがリアリティーを感じたりもする。


メイプルという材は今そんなにめちゃくちゃ高い材ではないが、市場に潤沢に流通している材でもないみたいだ。
イメージとしては高級材の部類だけど、個人的な解釈からするとそれはその加工のし辛さにあるような気がする。
板に引いてある状態でも暴れやすく、切断ごとによく動くし、削れば逆目掘れしやすく、硬く、重く。それらは職人泣かせの要素ばっかりだ。
しかし、きれいに加工し磨き上げられたメイプルの木工品は非常に美しく、独特の杢と質感を生み出す。経年変化の色合いも美しい。それが魅力。

仕入れたばかりの状態から、平面を出し均一な厚みの板にするまでに非常に気を使い、手間がかかる。ましてや今回のような平面ばっかりの家具には、仕上がってみれば何のことはないのだろうけど、実は材の性質に反するような加工ではある。
今日はすべての部材の両面を平面に削りだすために、両面から0.数ミリずつ削っていって合計5ミリ削ったところで決着した。
片面から削っていくとだんだん反ってくる。大きく切削しても同じく。それは内部に働く応力のせいだ。
この木の生えている時の状態を考えれば、横に張り出す太くて大きな枝振りを優雅に支えるために、内部には複雑に絡みまた強力に引っ張り合う力が生じているのがわかる。まさかそんな木を家具に使おうなんて。
メイプルという材の美しさが、そんな障壁を越えてでも木工品の材料としてスタンダードになった理由だろうか。


個展までひと月を切ってしまった。
もたついている場合ではないのは分かっている。しかし、作品制作にかかる前に少しでも身軽になっておきたいという気持ちもある。
本来ひとつの仕事に半年もかけていることが荷重を感じる原因ではある。そうなる前に作れるものなら作っておきたいし、最初の段階で長引くことが予想されるならそれに重心をかけたスケジュールを立てているつもり。
順番は注文の入った順が基本で、荷重に応じた時間はかかるので重いものの後の仕事はどんどん先送りになり、そこに作品制作なんて今までなかった時間を設けるとなると、要はどこに線を引くかということになる。
お客さんの立場から考えると、今まで自由にできた僕の時間がこれからはそうではなくなるのか。そんな時間の使い方をしてきたのだなと、この状況になって気付く。
今回は、この本棚を作って線を引くことにした。

いつもお世話になっている乾材木さんがメイプル材を今日届けてくれた。材木業界も厳しいのか、これが欲しい、といってすぐに手に入るひと昔前とは違い、必要な材を必要な量探すのにひと手間かかることからもそう感じる。
乾さんは問屋さんにかけ合って、十分な量を揃えてくれたけど。
木は真冬にトマトが食べられることのようにはいかない。
これから作るのはオールメイプルの脚付き本棚だ。


仕上げのワックスもほどよく乾燥し、午後から西宮まで納品に行ってきた。
今回のテーブルは自分でもいろいろ気付くことがあって、機会があればまたこういうタイプのテーブルを作ってみようと思った。
いや、個展に出展するテーブルは、図面がお蔵入りしたこのテーブルの第一案でもいいかなと思う。
お客さんもとても気に入ってくださったのでよかった。しかし、
やはり「奥様は魔女」だったのです。設置が終わってそのテーブルでコーヒーをいただきながら…
詳細は後日、作品のコンテンツにて。

SIGNの写真茶話会31「窓」

SIGNの写真茶話会31を開催します。
ありふれたタイトルではありますが、新年度ということでまた新たな気持ちでスタートです。

4月7日(土)

11:00〜12:00 カメラ茶話会(無料)
13:00〜17:00 表現講座(参加費2,000円、定員7名)

午前はカメラ茶話会となっていますが、表現講座の希望者が多い時は午前にも振り分けたいと思います。

カメラ茶話会は、カメラ自慢、腕自慢、裏技自慢など意外と技術が身につくかも。
作品そっちのけでカメラの話で盛り上がりましょう。
初心者の方にも、カメラに関する疑問質問相談に答えます。参加は無料です。

表現講座はその回のテーマに沿ったワークショップと合評による個人の作品指導です。
作品を作ることに技術のレベルは問いません。誰でもいつからでも参加していただけます。
普段撮影しておられる何気ない写真から、素晴らしい作品が生まれることがあります。
その瞬間に立ち会ってみませんか。

写真茶話会ってなに?という方は「教室のご案内」をごらんください。

お問い合わせ、参加予約はメールにてお願いします。sign@norioyuasa.comまで。
※その際、午前(カメラ茶話会)か午後(表現講座)どちらを希望されるか明記してください。どちらとも受講することもできます。

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