Feed on
Posts
Comments

SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

好きで不安でたのしい


今日は午後から大学の授業だった。
昨日この村の秋祭りでだんじりを引き回し体中が痛い。夜は興奮して、酒も飲んでいたしハイテンションだったけどそれの反動で朝から意識がどんよりしていた。
バイクの整備工場となっている工場を片付けねば仕事にならない、という大義名分でオーバーホールの終わったキャブを取り付け仕上げの組み立てをした。さて走ってくれるかどうか。
エンジンをかけてみる。かかる。ここまではいつもどおり。故障したときもアイドリングは正常だった。
回転が安定するとアイドリングの回転数が少し高めになっていた。おそるおそるスロットルをひねる。
バウーン…トコトコトコトコ…
お、いいんじゃない?前よりレスポンスが良くなってる気がする。アイドリングが高いのも回復の証か、アイドルスクリューを戻して回転数を正常値に合わせる。結構回さなければならなかったので、故障前からやっぱりつまり始めていたんだな。
意識は完全に戻ってきた。こうなったらやっぱり試運転しないと。そそくさと準備をし、いつものリフレッシュコースへと向かった。
すっかり調子は良くなっていたし、体感としてはわずかな違いだけど少しトルクも増した気がするというか、ハイスロで濃い感じがして振動もちょっと気になる荒削りな感じになった。前は抑制されてマイルドになってたんだな。これがノーマルなのか。おもしろいなあ。

もう少し乗りたい気分を次回にと持ち越し、授業の準備をして大学へと向かった。
今日は角材への墨付けとのこぎりの練習をした。
横引き縦引き。本番ではほぞによる接合をしてもらうので、この作業の精度は強度にかかわるところ。と説明しつつも本当はこの優れた日本の両刃鋸という道具を楽しんでもらいたかった。
木を切る道具として当たり前ののこぎりではあるが、大陸から渡って日本で完成されたといっても良い鋸は実は精密な加工によって様々な工夫が詰め込まれている、世界一の性能を持った鋸なのだ。
だから本物を使うと切るのが楽しいし、気持ちいい。
それにはもちろんある程度技術的な上達が必要ではあるが、繰り返し練習しているうちに体が覚え何も意識せずすかっと切れるようになっている。
道具と人の体がそのようにできているんだと気付ければまた面白い。
ある学生が「あたしのこぎりすきかも」と言い、それはよかったと思い、
ある学生は「もうだめえ、ほんとに椅子作れるのかなあ」と言い、それもまた良い感じ方だと思った。


依頼を受けた家具の修理中、作業が着色塗装に入り何度か重ね塗りするので乾燥待ちの時間ができた。
先日のバイク故障の記事を読んだ知り合いから「ツーリングに行こうと思ってたのに」などとメールが入る。
待ちきれず、仕事と平行して修理に取りかかった。今工場はその塗装コーナーをのぞけばバイク屋さんみたいになっている。

SRXのタンクは裏に予備コックが付いていて、ガソリンを抜かなくても外せるはずが、そのコックをオフにしたとたんだばだば漏れ出してあわや大惨事になるところだった。デザインを優先したバイクなのでエアクリを開けるにもタンクを外さないといけない事への配慮なのだけれど、壊れていたら仕方ない。素直にガソリンは抜いた。
こいつを買ったバイク屋も教えておいてくれよと思う。
今まで機嫌良く走っていたのに、いろいろ問題を抱えていたんだなあ。安かった理由が分かりはじめた。だとしてもこうして隅々まで理解できるとまた愛着が湧くということもある。

故障の原因はいくつか予想されたが、一番有力なのはキャブだろうと思う。いやキャブであってほしい。
そう願ってオーバーホールを始めた。仕事が終わってからだったので作業は深夜に及んだ。
分解し始めて気付いたのが、この前にいじった人の仕事の粗さだった。特にドレンボルトやホースのつなぎ目、また最悪なのはフロート室にもコーキングがしてあったのだ。それが内側にはみ出てガソリンでふやけて豆腐みたいにぶよぶよになっている。
燃料漏れがひどかったってこと?パッキンやガスケットは?
納車整備でキャブはオーバーホールするっていわれたけど、これをしたのはあのバイク屋さんなのか。それともやってなくて前オーナーのしわざか。
とにかくフロートチャンバーにこびり付いているぶよぶよのコーキング剤を取り除き洗いまくった。ノズルやジェットも洗油に浸けてはエアで吹くを繰り返した。
なんか納得いかないけど、こいつが原因であることを願う。

オーバーホールしながらまたこの純正のキャブレターに感心していた。
普通に考えればツインキャブなんだからフラットバルブをダブルで使えばシンプルで効率は断然いいはずなのに、わざわざ「面白い」と言わせるためのアイデアがいっぱい詰まってて、まるで哭いて満貫上がるよりリーのみでも多面待ちでウラドラ期待しているようなキャブなのだ。

キャブオーバーホールが終わったのは午前1時過ぎだった。

サンバーは広い、世間は狭い


この姿を見て思わず「かっこいい!」と言ってしまった。まさかサンバーとSRXのコラボが実現するなんて。
車にバイクが乗ってる姿ってコース走りに行くみたいでドキドキする。しかも軽バンに乗るとは思ってなかった。
この可能性は今後いろいろ利用できそうだ。
それは戸隠から来た人が同じサンバーバンに、なんと最も大柄の部類だと思われるBMWのGSを積んで来られたのを見ていたからできたこと。それを見てなかったらやろうとは思わなかっただろう。まるでボトルシップのように「どこからいれたの?」と言わずにはいられないその収まり様はマジカルだった。

なんてのんきなことを言ってる場合じゃないか。
なんとかデポ場所から拾ってきたものの、今このバイクは走らないんだから。

ちょっと落ち着いたら分解整備しよう。見ればバイクも車も工場も銀色ばっかだ。


そしてもうひとつ昨日から継続するお話。
ピックアップの後、午後から昨日問い合わせのあった新規のお客さんのところへ打ち合わせに行ってきた。
田原本の駅前にある写真館だった。
昔ながらの古い写真館だったが、今まで経営されていたおじいさんから代が変わり息子さんそしてお孫さんへと、これから三代に渡って引き継いでいこうというお話だった。
僕も写真が関わると他人事ではない気がしてきて、つい余計なことまで話を膨らませてしまった。いつものことといえばいつものことだけど。
また偶然と言うか、今のご主人である息子さんは僕が勤めていた専門学校の卒業生で講師もされていたとか。僕が当時学校でお世話になった写真学科長の教え子であるらしく、先生の名前が出てきてまた懐かしかった。
もとはと言えばその方の奥さんがSIGNのホームページを見つけて下さったことから始まり、重なる偶然に奥さんが驚かれていた。
現在日芸の写真学科に通うその方の息子さんが今月末帰省されたら、今度はSIGNで打ち合わせしましょうということになった。

軽やかに象は山を登る


今日はいろんなことがあって、その中にはトラブルもあって、楽しいこともあって、いろんな人と会って話もして。

早朝、戸隠にいるはずの人が倉敷から電話をしてきたところから不思議な一日が始まった。
今日あった出来事。
・懐かしい型のサンバーに象のようなバイクが積まれていた。
・あのコーヒーをその人と二人で味わった。
・職業とお金について話し、考えた。
・奈良の道を象のようなバイクと一緒に走った。
・その象のようなバイクに僕も乗らせてもらったが、衝撃的に軽快だった。
・僕のバイクに他の人が乗りガンガン走るのを初めて見た。
・僕のバイクが走らなくなった。事故もなく怪我もなく、ただ原因不明でバイクだけが壊れた。
・壊れたバイクを置き去りにした。
・帰ると留守電に新規のお客さんから伝言が入っていた。今日こちらへ来たいという。
・昨日問い合わせの修理の依頼のあったお客さんのところに向かい、遅刻してさらに道に迷いさらに到着が遅れた。
・お客さんには会えず、代理の人から家具だけ引き取った。
・工場に帰り「お母さんの仕事机」と積み替え、納品に行こうと思ったら電話の人が訪ねてきた。
・最初のSIGNの工場があった田原本に住む写真に関わるお仕事の方で、当麻の福祉施設にも関係があるというどこか重なる縁。
・「お母さんの仕事机」を納品しに行き、大変喜ばれた。

トラブルはあったけどダメージは少なく、バイクが走らないというのになぜか絶望感もなく、接点のない何人かの人と会いながらトータルでひとつの出来事のような、今日が終わる今となってもまだ寝起きのようなぼんやりとした感覚だ。
黒いサンバーに象をのせて戸隠に帰って行った人が言うには「こういう話の裏には何かが用意されている」らしい。
お金がないので自分でバイクを拾いに行き、自分で直すしかないのに。

さてさて


塗装前までできた。ピアノみたい。
やっぱりやりすぎた。
明日は茶話会のためここで中断。工場の掃除と授業の準備をする。

しかし明日朝からSaltさんのバイクが納車で一緒に行くことになった。その足でSIGNで茶話会だけど、バイクを目の前に3人で写真の話できるだろうか。


以前保育所で木工教室をさせていただいた時に参加していた子どものお母さんから依頼があった。
仕事机を作ってほしいということだった。
そのお母さんは靴下にかかわる内職をしておられて、今作業台として使っているのは子ども用の脚の折り畳める小さなテーブルらしく、天板の面積が足りないのはもちろん折畳式の脚も低くて多分不安定なんだろう。
ある日保育所の駐車場で呼び止められ、「こういうものが欲しいんですけど、作れますか?」と申し訳なさそうに訪ねられた。自作を試みたのだが加工が難しくて断念したらしい。そして、僕のことを思い出したということだった。
「簡単に作ってもらっていいんですが、おいくらくらいかかりますか?」と聞かれ、即答できない。
これは仕事か?いや違うんじゃないか?しかし気を回し過ぎると失礼になるかも。どうする。
「その大きさでその作りなら3万円くらいでしょうか。」
僕としては低めに言ったつもりだった。だけど。
「ああ、やっぱりそんなにするんですね。」
そのお母さんの表情が恥ずかしそうに少しこわばった。ああやばいちょっとまって。
「いや、作り方次第で値段は調整できますから、だいたい予算はどれくらいでお考えですか?それに合うように考えますから。」
「すみません、ちょっと考えさせて下さい。」
と、その時はそれで、予算を検討してもらうことと絵を描いて寸法を書き込んでもらうことをお願いして別れた。
その後、一週間ほど連絡はなく会う機会もなかった。

ふたたび道で呼び止められたときには、そのお母さんの手にノートの一片があった。そこには簡単な図面と寸法が書き込まれていた。娘さんも一緒だった。というより娘さんが付き添うかのようで。
それを差出し、「こういうものなんですけど、1万5千円から2万円くらいでできますか?」
「わかりました。考えてみます。」
よかったと思った。注文してくれさえすれば。
「最悪2万円でもいいですから…」
!最悪?あー、
「1万5千円でいいですよ。大丈夫なんとかします。」言っちゃった。

というわけで、いろいろ工夫しながら作っています。


今朝銀行へ行った帰りにちょっと気になっていた店をのぞいてみた。SIGNの近くでこの夏にオープンした「珈琲工場」という名前の珈琲豆の店。バイクでよく走る竹内峠の入り口にあり、いつか行ってみようと思っていた。

こだわるほどではないけれど、僕はコーヒーが好きで、SIGNに来るお客さんに出したり写真茶話会でもコーヒーはなくてはならない。しかし、なかなかいい豆が手に入らず自分でも納得のいくものを出せることは少なかった。
コーヒーに関して知識があるとか経験があるとかではないのだが、昔とあるコーヒー屋さんで飲んだ一杯がとてもおいしくて、それ以来その味を追い求めつつコーヒーにハマっているということなのだ。
その店は大阪の森ノ宮にあり行こうと思えば行ける距離ではあったが、大阪から奈良に引っ越して来てからは足が遠のいてしまった。
コーヒーのおいしさはやはり鮮度であって、豆の鮮度、焙煎してからの時間、挽いてからの時間も関係する。たとえ高級な豆やブレンドであっても、時間が経つとがっかりするような味になってしまう。だからいい豆だからとまとめ買いするのは間違いで、いつもおいしいコーヒーを飲むためには1〜2週間で飲みきる量の焙煎したての豆を買える環境が必要なんだと思う。
ずっとそんな自家焙煎の店が近くにあったらなあと思っていた。
と思っていたらすごく近くにできたのだ。

朝9時過ぎだったけど店は開いていたのでバイクを止めておそるおそる入ってみると、店の中は意外とすっきりした感じだった。入り口を入ってすぐに3種類のミル、最新式のロースター。そしてたくさんの種類の豆が樽に入って陳列してあり、それはどれも生の豆だった。これは望んでいたものではないか。
奥の方でご主人が仕事をしておられて、声をかけるとじろりと睨まれた。なに?怪しいものと思われた?
一応客だということを伝えると、開店は10時からでまだ釜が暖まってない、と言われた。僕は弁解っぽくこの店がずっと気になっていたこと、焙煎したての豆が買えるところを近所で探していたことを言うと、「あんた先生か?学生ではなさそうやけど」と唐突な切り返し。どこを見てそう思ったんだろう。作業服姿でバイクに乗ってコーヒー屋さんに来ているのに。この人、ただ者ではない感じ。
とにかく出直してくるということで、一旦工場に戻って午前中仕事をした。

午後からもう一度訪ねてみた。今度はちゃんと豆を買うぞ。さっき帰り際にこれ読んで勉強しておいでと渡されたパンフレットのようなものには、すべて注文があってから焙煎しますと書いてある。期待が膨らむ。
しかし店に入るとまずはかけなさいと椅子を勧められ、ご主人は立ったままで、まるで授業を受けるような態勢になり、自然に僕の思いを語らされる雰囲気に。
その後ご主人が「ぼくは誰にでも話をするわけではないが…」と60歳を過ぎてからここ奈良に来て店を開いた理由を聞かせてくれた。
「自分はコーヒーのことしかわからん」というご主人は、それまでもその関係の会社に勤めておられ、また個人のお店も大阪でされていたらしい。そのお話は一人の男の職業にまつわる身の上話ではあったが、ご主人が意識していたのかわからないけど、僕に向けられた、いや今の僕を見透かされたような言葉がいくつも含まれ、いったいコーヒーの話なのかなんなのか。振り返ればかなりハイレベルなコーヒーの話なんだけど。
そして偶然というか、その大阪のお店は僕が教員時代に住んでいた針中野にあったという。
そして気が付けばあっというまに2時間が過ぎていた。

とにかくコーヒーに関してはかなり、というか必要以上に信頼のおけるお店だということはわかったので、最後に注文させてもらうと、「明日取りにおいで、その時間に仕上げとくから。割り込みを入れられるほどまだまだそんな格じゃない。しかし、大変なやつが来たもんや。」みたいな言い種で、終止、何が見えてるんだろうと思うこともあり。
これが、僕が待ち望んでいたコーヒー屋さん?なんだろうか。

明日その豆をもらいにいきます。今度の写真茶話会で出すつもりです。

友人のためにする骨折りは


近所に住む知り合いから頼まれ、現在使用中のテーブルを座卓にも使えるよう短い脚を作った。
もともとは材木屋さんで購入したというケヤキ一枚板の耳付き天板に、同じような天板から切り落とした耳(端材)を加工した脚がボルトで付いていた。
僕なら絶対にやらないような仕事だと思った。しかしこうして取り付け部分を共用するように作ればテーブルの高さは使用に応じて変更できる。耳付き天板はテーブルよりもむしろ座卓に似合うと思う。
材の指定はなかったし、在庫でこれくらいの厚みが楠しかなかったのでそれにした。どっしりと和風な感じでいいかな。

話をしていて、角材を切ってボルトを角に45°で取り付けるくらいのことなら30分でできると思ったんだけど、在庫の角材は太さにばらつきがあり、結局大きめの材から切り出して削るところから始まって、45°のボルトも取り付けのためのジグを調整したり、また磨き出したらやっぱ手触りも気になり、すると面取りもぴしっと通ってないと気に入らなくて、仕上げて塗装まで結局1日かかってしまった。
その乾燥中に彼から電話があり、高さを低めに変更してほしいということで朝からちょっとだけ作業のつもりが、さらに塗装も重ね塗りして仕上げた。

夏の花火のバイトに誘ってくれた花火師で、村の自警団の仲間でもあり、いろいろ世話になっている。ということが、そのように。

今日は大学の最初の授業だった。
はりきりすぎてしゃべりすぎた。
ちょっと疲れた。
教壇に立つとなんであんなにしゃべれるんだろうと自分でも不思議。
授業は楽しい。
じっくり時間をかけられるなら伝えたいことはたくさんある。だけどやっぱり作ることを楽しんでもらおう。それが一番。

男の数が20人中6人って驚いた。

EBR


台風が真上を通過しながら開催された「白神(しらが)工務店商品説明会」だった。
そこに作品をいくつか展示させてもらったのだが、やはり客足がのびず今回は何も売れなかった。
しかしそれで何も収穫はなかったのかというとそうではなく、外に出ていけば必ず出会いがあるもので、普通に家具屋をしていては出会えないような何人かの人に会うことができた。
地盤調査改良のスペシャリスト、保険屋さん、エステティシャン、和菓子屋さん、小学生の男子数名、どなたも印象深かったけど何よりこのイベントに招待して下さった工務店の代表である白神大介氏はバイク乗りだということが判明した。それが今回一番の収穫であったと言えるだろう。

前日の夜、搬入と展示作業の際、白神氏の着ているTシャツのロゴにどこか見覚えのある「馬」の絵が描かれていた。
文字を読むと「ERIK BUELL RACING」。え、これは復活したビューエルの新しいロゴマークじゃ?「馬」じゃなくて「ペガサス」だった。なんでこんなの持ってんの?オリジナル?まさか。
作業中だったし会うのは二度目だし、どのタイミングで声をかけようか迷いつつ他の用事で引っ張っておいて訪ねてみた。
「ビューエル乗ってるんですか?」聞いたとたんに表情が変わった。
「え、ビューエル知ってるんですか?」
その後の話はご想像にお任せするとして、そのTシャツはエリックが復活を記念して製作し、なんと本人が要人や知り合いに手渡しで配ったという超レアなTシャツだった。日本には数枚しか上陸していないと言う。
白神氏はサーキットにも通う本気ライダーだったのだ。

子どもたちのプレイコーナーと化していた。暇だったので僕も一緒に遊んで(もらって)いた。

くらげのコーヒーテーブル


今日は一日で何ができるかタイムトライアルをした。
週末こちらに家具を展示させていただくことになり、在庫でよいということだったが何か一つでも新作を持っていこうと思っていたら結局時間は一日しか残っていなかった。
というわけで朝から材料を見繕い、図面もスケッチもなしで作り始めたのだった。
くらげスツールをまた並べることもあり、こないだ納品したくらげデスクの流れもあって机状のものにしようと考えた。
なんとか夕方までに塗装前まででき、夕食後塗装して完成したのがこのコーヒーテーブル。イージーチェアやソファのそばにおいて使用するミニテーブルだ。
計算してないので加重に対するバランスは悪いけど、逆にそれが妙な形になっている。脚の角度はもう少し開いていてもよかったかな。
値段はそうだな、一日だから2万円以下?

今までにも時々一日タイムトライアルはやっていて、カホンとか子ども用ロッキングチェアとかついついパネル材に手を出してしまうけど、今回は無垢。天板はナラ一枚板、脚はブナ、天板裏の接合部材はタモというごちゃまぜな感じ。脚はナラのほうがよかったんだけど適当な材がなかった。
しかし旋盤まで回して商品としては正式にラインナップしてもいいくらいのレベルになっている。旋盤加工が早くなってきたからできたことだなあ。
楕円や円形や変形の天板にも対応できる構造だから、もう少しバランスを練り直してまた作ってみよう。


予備も含めて200本できた。出来上がってしまえばそれはやっぱり角材で、その工程など考えもしない消費者の目には何のことはない束ねて売ってある工業製品にしか見えないんだろう。
木材において高い精度を出すためには、手作業に近い加工とロスを厭わない材の使い方が必要となり、またそれを授業を行う僕自身がやるという意味もある。
これから建築家やデザイナーを目指そうという学生たちだからこそ、素材となる木材の原点までイメージさせてみたい。木材は板材や角材ではなくそれは誰かの手によるもので、もとはどこかに生えていた木だ。生えていたということは生きていたということで、その生命活動ゆえの構造を人が利用しているわけで、決して人が作り出せるものではない。
そして、作るということはその素材と格闘することであると、初日のオリエンテーションではそんな話をしようと思っている。

夕方、いつもより早い時間にひと区切りついたのでバイクを眺めながらたばこでも吸おうと表に出てみると、斜光線を浴びてカッコつけてるやつがいた。

写真を撮ってFBにアップしつつ、どうしようかなあと考えていたら友人から「行っちゃえば?笑」のコメントが。と思ったら次々にコメント書き込みがあり、その反応の早さに、この時間に彼等は仕事してないのか?と思いつつ、ぱぱーっと片付けて走り出してしまった。
この夕陽の光を楽しむべく東へ一直線、バイパスを走れば5分で奈良盆地を横断できる。
飛鳥で一枚写真を撮ってタイミングを見計らい、今度は夕陽に向かって逆光の中を走るのだ。至福の5分間。
このバイパスはそのために作られたといっても過言ではない。

アソコカラキマシタ

もっとやってもいい?


午前中に教材となる角材を作るため、ひたすら手押鉋盤で兼手を出す作業。やっぱり200本ってきついな。はてしない。

午後は大学へ向かい最終の打ち合わせと道具と消耗品のチェックをした。
書いていった課題のひな形図面はすんなりOKが出た。デザインをさせる時間を2回分取ってあるのだが、そこでどのように指導するかが重要となる。

この授業の定員は教室のキャパの関係で20人となっている。一人で20人教えるのも大変だけど、希望者は40人弱いたそうで、選ばれなかった学生は悔しいだろうな。どうせなら2クラスに分けてやればと思うのだが、専門学校なら当たり前なことも大学ではどうにもならないみたい。
むしろ逆だと思うんだけど。自分でカリキュラムを選択できるんだから一般教養とかぶせたっていいはずなのに。
意見できない立場の僕も少し悔しい。

大和路再発見(仮)


授業の教材で使う材料を準備している。去年これをやっている時に指を怪我して入院したのを思い出していた。
角材を200本近く加工するのに延々同じ作業が続く。
相手が素人だとは言え、材料の精度が高くなければこの授業の意味もなく、集中し過ぎるあまり自分でもなぜそうなったのか理解できないことをやってしまうことがある。
教材ということで加工賃はほぼないに等しい値段で提供するので、ここで怪我をしたらほんとに何をしているやら。気をつけないと。

ということで、本チャンの作業に入る前にちょっと早めの昼休憩で走ってきた。以前その道の入り口まで行って帰ってきていつか行こうと思っていた道だった。
奈良は変なところで、いったい誰が利用するんだというところにめちゃくちゃいい道が急にできてたりする。
どう考えても日常の足としての用途は考えられない、かと言って観光道かというとその道がつなぐ観光地にさして魅力もなく。まさにそこを走ることを楽しむ人のためにあるような道がある。
もちろん作った人はそんなこと考えてないんだろうけど、多分本気でそこに観光バスでも走らせる気なんだろうけど。その先にでっかい道の駅もできてるし。
どうしてそういう発想になるのかわからないけど、税金や国から借金してまで作ってくれた道だから、思惑とは別の使い方だけど楽しませてもらおう。
実際すごくよかったのだ。新しい道と新しいトンネルのおかげで、僕が住んでいる葛城市からは遠く感じていた旧街道の宝庫大宇陀まで気持ちのいい道を走って30〜40分で行けて、そこから南北に伸びる370号線をどっちに行っても快走できる山中道。
今回は(休憩時間だから)引き返してきたけど、今度は時間を作ってじっくり走り込みたいな。

気付かなければ罠じゃない


大学の授業の課題を考えていた。内容と方向性は打ち合わせの通り。しかしそんな自由度のあるひな形ができるかどうか。図面を書きながらアレンジの許容範囲と、まったくの素人がアレンジしても実用強度を保つ制限を自然に織り込みたいと思った。

要は資料として配付するこのひな形図面に、基礎的な構造の解説とイメージの制限を語らせたいのだ。
ああしろこうしろ、あれはだめそれはだめを極力言いたくはなくて、デザインを考えるための資料としてそれを見れば、自由とは言え構造的な制限があることに自分で気付けるように。

そんなことを考えながら図面を書いていると、逆に崩しがたい強固な比率の結界を張ったようなひな形になってしまった。
どうかな。
イメージ力の弱い学生はこれを越えられず、高さの変更のみに終わるかもしれない。しかし実用上は理想的な構造なので出来上がったものは優等生と評価されるだろう。学校には喜ばれるか。
僕が期待するのはやはり、その結界をものともせず乗り越えてむしろ使いこなす、想像を超えた表現力なのかもしれない。
自由な奴には簡単に踏み台にされてしまう、そんな快感も実は教員にはあったりする。
罠をかけるような課題の出し方は意地の悪さなのか、あの頃と変わってないなあと思った。


青いくらげデスクとスツールを納品してきた。また詳しくは作品コンテンツの方で書こうと思う。
なにより、使う本人(1歳児)に気に入ってもらえたことが一番うれしい。
そして搬入後ずっと、僕にいろいろ話しかけてきてたので多分ねぎらってくれてたのだろうと勝手に解釈している。

週末は写真茶話会が来月に延期になったので、ひさしぶりにカフェテラスNZへS&Uのライブを聴きにいってきた。
もちろんお二人のボサノバを楽しみに行ったのではあったが、以前ステージ用のスツールを依頼されていたので、そのイメージづくりと採寸も兼ねて。
当初の話ではくらげスツールを改造したものでいいと言われていたのだが、なんだかそういうものではないような気がして、フルオーダーでデザインからさせていただこうと思ったのだ。
音楽を聴きながら、頭の中で形をイメージしようと集中してたので、多分ものすごくこわい顔してたんじゃないかと後から思った。しかし、そのおかげでデザインのおおまかな形が浮かび上がってきて、目の前にはステージのお二人ではなく角材や板材がスツールに加工されていく様が見えていた。
現段階では強度の確保に問題ありで、バランスをとるのも難しそうだけど、できたらちょっと面白いかもしれない。

よし、月末に向けてこまごまと片付けていこう。

SIGNの写真茶話会35を開催します。今回午前のプログラムはあやしげな、カメラ(バイク)の初心者相談室。これから写真(バイク)を楽しもうという方のための基礎講座です。

10月6日(土)

11:00〜12:00 カメラ(バイク)茶話会(無料)
13:00〜17:00 表現講座(参加費2,000円、定員7名)

表現講座はその回のテーマに沿った講義と合評による個人の作品指導です。普段撮影された写真をプリントでお持ちください。どんな写真でも何枚でもかまいません。
作品を作ることに技術のレベルは問いません。写真茶話会は誰でもいつからでも参加していただけます。
普段撮影しておられる何気ない写真から、素晴らしい作品が生まれることがあります。
その瞬間に立ち会ってみませんか。

参加を希望する方はメールにてお申し込みください。
sign@norioyuasa.com
SIGNの写真茶話会は1回ごとの参加申し込みによるものです。続けて来られても1回のみでも楽しんでいただける内容となっています。
詳しくは「教室のご案内」を御覧ください。

デザインの自由


10月から始まる大学での授業の打ち合わせに行ってきた。
奈良県のとある私立大学で、家具製作の授業をさせていただくことになってから今年で4年目。初めて僕の授業を受けた学生も今は4年生になっている。
授業や課題の内容も毎年少しずつ良くしていこうと、担当の先生と話し合いながら進めてきた。
最初は世界的に有名なデザインのスツールをコピーするという内容だったのが、昨年からそれぞれの学生がアレンジを加えられる余地を作り、材料や加工、接合法は同じでありながら自分のオリジナル作品として作れるようにした。
そして今年はさらに一歩進めて、その発想にオーダーメイドの要素を盛り込んでみることにした。
課題は当初から一貫してスツールではあるのだが、今回はハイスツールというルールを決めた。
汎用性の高い高さに限定せず、「ハイ」とはいったいどれくらいの高さなのか。その答えに一般的な数値はなく、むしろ用途に合わせた「ハイ」がある。また使用する人の体型も関係するところなので、自分をモデルにして採寸からやってもらおうと考えている。そうすることで作ることに目的意識がうまれ、作品に愛着も湧くだろうと思う。

そんな打ち合わせが終わったあと、担当の准教授の先生の研究室で四方山話から高度なデザイン論についてまでいろいろお話を聞かせていただいた。とても参考になるお話だった。いったい誰がしゃべらせているんだろうと思うくらい今の僕にはタイムリーで勇気の出るお話だったが、それを先生に言うと「今の時代においては誰にでもタイムリーで、誰でも考えていることですよ」と言われた。
自分にとって自由なデザイン、デザインにおける自由とはなんだろう。よく考えてみようと思った。

大学という教育現場はその分野に特化した普遍的な知識と最先端を、現在を見据えた教え方で教育する場所だと思う。彼等にそんな授業を提供できるだろうか。久しぶりに知的な刺激を受けた。


組み立てまでできたくらげデスク。うーん、なんかいいんじゃないの。
バランスもイメージ通り。
図面の段階では天板裏の脚の接合部材も角を丸めるつもりでいたけど、エッジを残した楕円(正確には両端が半円の小判型)にした。その効果があって全てが曲面であるよりデザイン的には引き締まって見える。
高さはやや高めで、幼児なら立って使用もでき、また成長の早い時期だからいずれは椅子なしで使われることもサイズに反映させてある。子ども用デスクからローテーブル、文机へ。彼が大人になってもその家にあるだろうか、もしくは巣立ちの時に彼とともに旅をするだろうか。
これから塗る青は、この段階のやさしいメイプルの色とは違い嫌でも印象に残る、家具としては主張の強い色だ。
その変身した姿も楽しみだな。

やっぱり作業は1日オーバーしてしまうんだなこれが。

やりすぎてうまくなる


くらげデスクの天板加工ができた。スツールとの統一感を出すために丸みを帯びたデザインだ。
曲面の加工にはもうためらいはない。場所に応じた道具とその使い方によって丸めていく。そして磨く。
ペーパーの番手を上げる前に水拭きをした。これもどれだけの効果があるかは分からないが、やらないと気持ちが悪い。
角を残したデザインはまだ修正の余地を残してその後の変更を許容するが、曲面加工というのはまるで結界のよう。しかもフリーハンド、やってしまえばもう誰も手を加えることはできない。シンプルながらこのくらげにはそんな仕掛けもしてあるのだ。

午前中に天板は完成し、午後から脚に取りかかった。
六本脚の低めのスツールに合わせるため、このくらげのシンボルでもある脚のデザインにも統一感を持たせたい。
机の脚の長さに比率的に拡大したような形にするため、末端の直径を1.5倍にした。根元の接合部も3ミリ太くしている。図面上での予想が実際にどれだけの効果があるか、それを僕自身が確認するのも完成を待たなくてはならない。


木工旋盤WT-300も最近大活躍だ。うちにある機械の中でも一番気に入っている可愛いやつだ。くせのある旧車に乗るような楽しさがあって、とにかくいいかげんな仕事しかできない機構を使いこなす満足感がある。こんなことをいうとまた変なこだわりだと言われるんだろう。

改善


何度かのメールでのやり取りの結果、折り畳み式の脚はやめになった。
ちょっと燃えるお題ではあったが、使用するのが小さな子どもでもあるので強度を優先したのだ。
一応分解もできるデザインにはしておいた。
午前中に図面は仕上げて午後から作業を開始。半日の作業量としては順調なペースだ。
イベントでのスツールお買い上げの追加注文だから即だな、という気持ちもあり、久々のオーダーメイドに体が自然に反応して動くスピード感が気持ち良くて、またなんとなく懐かしかった。

いつまでたっても転機なんて訪れないし、お金も入ってこない。結局もとに戻される。だけど戻された場所も居心地よかったりする。
占いは当たる体質だったけど、体質改善したのかな。


こないだのイベントでくらげスツールを気に入ってくれたお客さんから、それに合わせた机を作って欲しいという注文があった。
最初は子ども用のサイズで青色で。しかしそこからさらにご希望があって、それは脚を折畳式にして欲しいということだった。
ちゃぶ台ならまだしも、椅子に座って使う高さで折畳式の脚をどこへ持っていくか。しかもくらげ脚。
今日はその構造を考えるのと金物調べと見積で、休憩時間に例のコースを走る以外に何もできなかった。

しかしSRXは今の自分にちょうどいい。どかーんはないけど結構速いよ。
ノーマルのマフラーも試してみたいなあ。構造を調べてみたら独創的なアイデアが詰まったマフラーで、あんなのはあの時代のバイクでしかできなかっただろうな。
というか今の時代では必要とされない機能でありデザインなんだな。
でもそれを知ってるとやってみたくなって、必要とされないから無くなってしまったということに気付けない。
もうその機能を愛してしまって。
誰かが使わないことを気に留めないで、自分が気に入って使うのだからそれでいいのだ。

与えられた場所にあった


アーキコープのイベントに出展したくらげスツールは好評だった。
展示の仕方が場所に合っていたのかもしれない。前回の個展の時に考えていたくらげの群れを表現することも、数やバリエーションがある程度なければならなかった。また最初の15脚から売れて数が減るとあまり売れなくなり、展示も作品の価値なのだと感じた。
そして、価格設定も。
当日オープン直前に決めた脚一本あたりの値段は、通常の価格より大幅な値下げだったけど、お客さんの反応や売れ行きを見る限りどうもそれが適正価格だった。

自分の価値は低く見積もってちょうどいい。自分が作ったものがお金に変わるだけでもゼロからプラス。
地面から手を離し、砂利をはらって前を見よう。

« Newer Posts - Older Posts »

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加