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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

誰の真似をしてるのか


写真館に納めるスツールの座板を加工している。例によってヤスリでごりごりと。
材はタモの柾目だから立体的に削ってもきれいな縞模様になる。
手作業で削る贅沢さはあるけど、やはり時間と筋力のいる仕事だ。師匠なら機械を使えと言うだろうか。サンダーでぶわーっといけえ、とか。まあやっちゃいたい気持ちはあるけど、曲面にも動的なものと静的なものがある気がして、くらげスツールならぶわーっといくところだがここは静かにいきたい。
仕上がりでどこまで違いが出るかは出来上がってみないとわからない。

今回のスツールは最近のSIGNの家具の傾向でもある部材の造形で見せるタイプだと言えるかもしれない。
そんなにたいしたことをしているわけではないが、スタンダードな接合と構造で作り上げる職人的な仕事ではないということ。
今はそういう作り方を自然に選んでいるようだし、そのほうがのめりこめるということに気付きはじめた。
使う人が分解までして部材の造形を楽しむことなんてありえない。強度や耐久性を考えればスタンダードに勝るものはないだろう。またシンプルでリーズナブルを求める時代性にももう少し歩調を合わせた方が商売としてもいいはずで、どこを切っても僕の作る家具が誰かに勝っている気がしない。
その家具と向き合うことに集中したいので、ジグや型板を作ることにも時間を割くことがためらわれ、板一枚一枚に墨付けをする。もう一度同じものを作ることなど考えないようになってきた。

しかしいつかは、たったひとつの家具を、それしか作らないような家具屋になりたいとも思うんだ。

学内スツール展で採点した


奈良県の香芝市にある畿央大学で授業をさせてもらうようになって4年になる。
そこの人間環境デザイン学科一回生の後期の授業「立体表現」において、今年はハイスツールを課題として制作した。
授業の主旨としてはデザインを学ぶ学生に実際に手道具を使っての家具作りを体験させるというものなのだが、僕の意見もかなり受け入れてもらえ、作品にはそれぞれのアレンジを加えられるようにした。
今年のテーマは「ハイスツール」だった。
ユーザーを自分に設定し、サイズや用途を考える。その時「ハイ」とはいったいどれくらいの高さなのか。また用途に合わせた機能性とルックスを含めた自分のためのデザインも、その後自分で使うことを思えば愛せる形でなければならない。形を考えることは使う人を思うこと。
そんな話をした。
しかし、基本この授業は木工の技術指導が目的なのでその枠をはみ出すわけにはいかない。よって与える材料には規格を設け、部材の接合は「ほぞ組み」であることとした。
その制限の範囲でどれだけのことができるかという挑戦が、結果としてこの授業の面白さにもなっている。

いろいろ七転八倒の場面もあったが、こうして作品が並ぶとそこそこ見られるものになっており、どれとして同じものがなく個性的で、思い描いた成果がまさに目の前にあった。
今まで自分の作品に没頭していた彼等も20脚の中の1脚として自分のスツールを見た時に、自分の作品に対する愛おしさとまた他の作品との違いに気付いてくれるだろう。

そのスツールたちを紹介する。




そして今年はこの大学で初めて教えた学生が4回生になっていて、その卒業制作も少し手伝った。

ダリの絵に出てくるテーブルを再現するという作品。

並ぶときっと美しい


スツールの脚が6本できた。これで半分だ。
完成すると一脚4本ずつとなり、それぞれ荷重を支えるために離されるのだから、組み立て前でないとこんなふうに並んだ姿は見られない。当たり前だけど。
同じ形が並んだ姿はきれいだな。

大学の補習授業から腰がずっと痛い。今日の旋盤作業もつらかった。うつむいた同じ姿勢で繊細な作業というのが一番良くないとは思いつつ、集中している間はいいのだけど気が付くと固まっている。痛みをこらえつつ一度のばしてまた向かうの繰り返しで、いつもより時間がかかってしまった。
今日一日でこれだけしか削れなかった。
明日はその大学へ作品の採点に行くことになった。彼等が作ったハイスツールたちは授業の成果報告として学内のある場所に展示してある。まだ僕は全ての作品が並んだ姿を見ていなかったので楽しみだ。本当なら教室でそれぞれの言葉を聞きながら眺めたかったが。
新年度が始まるまで展示してあるということなので、彼等も何度となくその学内展を見ることだろう。自分の愛おしい作品と友達の作品との違いを見て、多分何かを感じてくれるだろう。そう願いたい。
今度こそ写真を撮ってこの製作日誌にアップしようと思う。


写真館のスツールの脚の加工に入った。頭の中でイメージはできているが実際に作りながら微調整をしていくつもり。
この脚も削りながらスケッチの段階よりシャープな感じにしようと思った。

昨日は大学の補習授業で、今年度最後の授業だった。
補習授業と言いながらクラスの9割が参加するという、それだけ聞けばほとんど計画ミスの失敗授業だった。
朝10時から開始して夜の11時まで、時間にすれば約一か月分授業を延長したことになる。
それで一応全員が作品を完成させ提出することができたのだが、電動工具を使ういくつかの危険な作業を僕が補助することが前提の課題だったので、全ての制作に関わり、感覚として一日で18脚のスツールを仕上げたような疲労感があった。
実際終わった時には体はバキバキで、腕も腰も曲がったまま痛くて動かせないような状態だった。
なによりその疲労感に輪をかけたのはこれが補習授業であって、完成した学生から次々にいなくなり、最後の一人と一緒に片づけをして終わりで、合評もないし最後のシメの話もできず今年の学生とはこれでお別れということだった。
半年に渡って一脚のスツールをデザインして自分の手で作るという授業に込めた思いを、作品を前にして完成の喜びとともに伝えるはずが。
技術指導として雇われているのだからそこは余計なことかもしれない。だけど半年つき合ってきて距離も近付いてきたところで、ここだっという瞬間がある。
アルバイト教員はいやだ。

学生のがたがたのスツールを見過ぎたせいか、自分の作る脚がきれいに見えた。

作り”ながら”


写真館スツールの材料を準備した。構造もデザインもシンプルでいくことにして、少し厚めの材から削り出す立体感で勝負。
タモの柾目をはぎ合わせて座板にする。削り込んだ時にきっときれいだと思う。
そして脚の材はテーブルと共通のメイプルにした。色身の違いによるコントラストもあるが、収縮率の違いを利用した耐久性も考えている。


はぎ合わせの待ち時間ができ、ふと昼休みに電気屋さんから誘惑のコメントが入っていたことを思い出した。
バイクを見ながら一服し、写真を撮る。趣味のことだからとアップするのを我慢していたが、もうだめだ。

ホンダVF750F 水冷DOHC/V型4気筒。実は僕が20数年前に限定解除して初めて乗った大型バイクがこのVFだった。
当時このバイクは高性能でありながら不人気で、安いナナハンというイメージだった。定価は70万円を超える値段なのに実際の店頭価格は新車で30万円台。中古だと数万円。こいつが出てからも旧モデルのCBのほうが人気でVFの存在を知らない人もいたと思う。日本人は直4が好きなのだ。
しかし本当はホンダが北米市場をターゲットとした社運をかけたプロジェクトがこのV4エンジンで、実際海外では爆発的に売れたバイクだったらしい。
ホンダV4はその後レースシーンでも大活躍し、スーパーバイク、TT-F1、耐久レースでも長い間ホンダの看板を背負っていた。そんなレース用のエンジンを積んだストリートバイクがVFだった。
迫力ある大柄な車体と240kgという重さがありながら、走り出すとその豪快なパワーとシャープな旋回力によりかなり機敏に走れる。フラットなエンジン特性は好き嫌いが別れるところだが、少々のシフトミスもアクセルを開ければどこからでも吹け上がるエンジンというのは今となっては常識的な性能でもあり、老いた体にはむしろありがたい。
当時はその性能とか味わう腕もない初心者で、わけもわからずにひと夏で乗り換えてしまった。
そして今になってまたナナハンに乗りたくなって、CB-Fも気になったけどやはり自分の時代の一台というとVFやFZやGPzであって、しかしあの頃とほとんど変わりない今の経済水準からするとあの時と同じ選択でVFとなった。VFはやっぱり今も安かった。SRXプラスアルファで買えるのが見つかったのだ。
でももう30年前のバイクなんだから当たり前かな。いくら速いっていったって今のと比べたら穏やかにさえ感じるし。誰も知らないし。
納車するまではちょっと不安だったけど、しかし乗りはじめてすぐ、惚れてしまった。こいつはいい!形もいい!パワーもちょうどいい!装備も贅沢、不人気でよかったあ。
あの時手放さずに「VF歴20年ですわ」とかいうマニアックバイク人生もアリだったかも。そうすればきっとほかのことも違った人生だったような気がする。わからんけど。

古いバイクだからいつまで乗れるかわからないけど、今度はじっくり味わおう。

はじまりはフリーハンド


月曜日で大学の授業が最終のはずが、なんと課題を完成できたのは2人だけだった。昨年と作業量はほぼ同じで、むしろ作業にできるだけ時間をとるために道具のメンテナンスや授業の始めの僕の無駄話も省略しているというのに、なぜだか今年はそういう結果になってしまった。
しかしそれではいけないということで担当の先生と話し合い、もう一回補習授業として来週丸一日かけて全員完成を目指すことになった。
また、僕がこの大学で初めて教えた学生が4回生になっており、そのうちの一人の卒業制作を手伝っている。
ダリの絵画に出てくるテーブルを再現するという難解なもので、しかもその天板に絡まるとろけた時計をガラスをはめ込んで表現するというのだ。当然そんなガラスは特注になるわけで、僕がいつもお世話になっているガラス屋さんに無理を言ってお願いした。いつもややこしいお願いばっかりしているのに、快く受けてくださるのでありがたいやら申し訳ないやら。今日引き取りに行った。
しかしそのできばえたるや、さすが職人技。学生がちょちょいと描いたフリーハンドのグニャグニャな形を見事に切り抜いて仕上げてあった。
しかも安くしていただいて奥さんにはお土産までいただいて、いっぱい頭は下げたけど、こういうところに学生を連れてこなきゃと思った。

そんなこんなで今週前半は学校モードで、ようやく取りかかったスツールのデザイン。
あのカウンターテーブルを納めた写真館から頼まれている、そのテーブル用のスツールだ。
「くらげでも」というお話もあったけど、やっぱりテーブルに合わせたい。できるだけシンプルに、かつフォルムには個性を持たせたい。うーん。
材料を並べてにらみながら、時々気分転換にバイクを眺めたり。
日差しで作業台の上はあたたかい。

SIGNの写真茶話会39を開催します。
今回はあいだに空く時間が短いですがみなさん奮って御参加下さい。
午前はカメラ茶話会となっておりますが、希望者が多い場合表現講座に変更するかもしれません。

2月11日(月祝)

10:00〜12:00 基礎講座(参加費 初回2,000円)
13:00〜17:00 表現講座(参加費 2,000円、定員7名)

午前のカメラ茶話会はカメラに関する相談、自慢話などなど。希望者がいる場合は基礎講座もしたり、バイク好きが集まればバイクの話になったり。
午後の表現講座にも参加される方々でお昼ご飯を食べに行ったりします。(うどん)

表現講座はその回のテーマに沿った講義と合評による個人の作品指導です。普段撮影された写真をプリントでお持ちください。どんな写真でも何枚でもかまいません。
作品を作ることに技術のレベルは問いません。写真茶話会は誰でもいつからでも参加していただけます。
普段撮影しておられる何気ない写真から、素晴らしい作品が生まれることがあります。
その瞬間に立ち会ってみませんか。

参加を希望する方はメールにてお申し込みください。
sign@norioyuasa.com
SIGNの写真茶話会は1回ごとの参加申し込みによるものです。続けて来られても1回のみでも楽しんでいただける内容となっています。
詳しくは「教室のご案内」を御覧ください。

サイズぴったり


そして納品した火鉢の座卓。お客さんから写真が送られてきた。
奥さんの帰りが遅いとのことで、男のヒトリメシ。
僕の手を離れて物語が始まるのだ。それを見ればどんな仕事も結局良かったと思ってしまうのだから、この仕事のやりがいとも弊害とも言えるところ。よしよし、よし。

明日は茶話会。月曜日は大学の最後の授業。そしてまた次の仕事にとりかかる。

バイクはナナハン。自分のバイク歴と同じ年式の、限定解除して初めて乗ったバイクにまた乗ることにした。
自分で言うのもなんだけど、車格といいデザインといい僕に似合っていると思う。

ケースバイケース


仕上げの塗装も終わり完成した座卓。下に火鉢を置き直接は接触しないため、真上に上がる熱気の影響は少ないと予想はしたものの、こんなに大きな穴が空いているのに補強もなくコストの関係で反り止めもないというのはちょっと心配。
最初の話ではこの穴に蓋も欲しいと言われたが、切り抜いた板は切りしろの分小さくなるから使えないので新たに作らなければならず。本体が完成してからのご相談としてある。
確かにそれらがないというのはなんとなく不完全な気もする。言われたことはしたと開き直るのか。お金がかかりますけどこうしたほうがいいですよと言うのか。でもそれもセールスマンみたいで嫌だ。
お客さんと作り手の優位性のバランスは、必ずしもお客さん優位では成り立たないのかもしれない。しかしお客さんからすればお金を出す以上、ましてやオーダーメイドなのだから絶対優位こそその価値と思われることもあるだろう。一時的に生じる主従関係もサービス業には含まれるものだ。それを家具屋になる時に考えていたかどうかだ。

昼過ぎに完成の連絡をした。

はやくてのりやすい


よし、二日でやっつけたぞ。
一回目の塗装が夕方に間に合い、乾燥中。結局耐水性に関してはゆっくり乾いて浸透しやすいオイルを下地にたっぷり塗り、仕上げに固く仕上がるワックスを塗ることにした。
それでも耐熱とかを考えるとオイル系の塗料では耐久性に限界があるので、あとは使う人のメンテナンスに任せるしかない。熱によるタモの収縮もどれくらい早く進むか想像がつかない。
デザインと機能性を優先しつつ安くあげるという課題はクリアしたものの。

座卓といいつつシーズンオフはリビングでローテーブルとしても使われる。火鉢が入ると和風な感じになるかもしれないが、天板のデザインにはモダンなイメージとアイデアで。火鉢をはさんで夫婦で向き合い、客がくれば斜めにカットした辺に座らせ自然と火鉢に向かわせる。

さて、オイルが乾くのは明日の午後になるだろうか。
明日は晴れかな、あったかいかな。バイク屋行ってこようかな。


近所の方からの依頼で座卓を作りはじめた。少し広めの天板の真ん中に火鉢の入る穴をあける。
今日は天板のはぎと、各パーツの木取りをした。
ご希望は変形の天板加工と防水性の高い塗装で、予算の中でどこまでできるか。
とにかくそのふたつが優先なので、ほかに時間はかけられない。そんな工夫というか挑戦が今回の課題だろうか。

この村の自警団の先輩からの注文で、冬の初めにいただいた話だったが年を越してしまい、「もう冬終わってまうぞ」とか言われつつ。


今日は写真館のカウンターテーブルの納品日だった。現場で組み立て設置をし、その後ご主人と奥さんと3人で椅子を持って来て座りタコ焼きを食べた。駅前に新しくできた店で買って来ていただいたのだ。
そのカウンターテーブルがあるから、そこでみんなで食事ができる。(関西以外の方、タコ焼きが食事?と言わないで)
多分今までお店をそんなふうに使われたことはなかっただろう。ただテーブルを置いただけとはいえ、まだまだこれから色んな変化があるのだろうけど、しかし明らかに何かが変わった気がする。
食事をしながら話をし、それが終わった後もお話は続き、納品に伺ったのは11時だったのにお店を出たのは午後2時を過ぎていた。
その時あった出来事とお話の内容は書かないでと奥さんに言われたので書かないが、奥さんが家具を新しくすることで変えようとしたことが少し分かった気がした。
次はこのテーブルにあわせてスツールを3脚作らせていただくことになっている。

でもこれだけは書かせてもらおうっと。
実は奥さんがSIGNに家具を頼もうと思ったきっかけはなんと、とある記事での電気屋さんのコメントを読んだから、だったのだ!
ありがとうございまーす。

私に届けられる便り


3回塗り重ねたところで塗装を終えた。さらに磨きをかけてワックスを塗り重ねれば、てかてかと光沢も出せるのだが、メイプルのシルクのような手触りはこれくらいが一番気持ちいい。
あとはお客さんが使いながら磨いているうちに艶が出てくるだろう。何年もかけて。

その乾燥中にまた奥さんが訪ねてくださった。今度は551のぶたまんと御座候をおみやげに。
ああ関西人で良かったと思う。ほおばるとかなりテンションがあがった。でもこんなにしていただくと恐縮してしまう。ちゃんとお代はいただくというのに。ありがたい。
天板の加工の様子を製作日誌で見て感激して来てしまったというのだ。そして僕が最初に言った値段が安すぎるとまで。
でもこのご時世だから安すぎるということはないと思う。知名度があればもっとつけられるのかもしれない。僕はそんなに偉くはない。値段なんてそんなもんだと思う。
この仕事をしていて儲かってる自分を想像できない。だからこそどうにかしようと考えるわけで、そのどうにかが値段を上げることだとも思えない。自分で壁を作っているのだとしても、どちらを向いても行き止まりならおのずと正しい道へ向かっているのだと思いたい。辿って来た分かれ道は振り返れば一本道だから。
そんなことを予感させることがあった。僕が今計画していることのひとつと、奥さんの娘さんが偶然つながった。といっても結果に直接つながったわけではないが、不思議と僕と奥さんのどちらにも安心感をもたらす話だった。
可能性が少しでもあるのか、と期待してしまう。早く手紙を仕上げなければ。


塗装の一回目が終わった。もうすぐ完成だ。
昼過ぎに作業が終わり、乾燥の待ち時間ができた。気温も低く乾燥には時間がかかる。仕上がりを考えるとここで焦らず丸一日はおきたい。
明日はさらに磨いて二回目の塗装をする。

昨年内納品が目標だった仕事だが、年末年始のごたごたと慌ただしく帰省したのとで年を越してしまい、すっかりのんびりムード。いかんいかん今月中になんとかあとふたつ納めたい。
そんな仕事に追われる日々にあって、実はそれ以外で計画中のことがある。ふたつ。
どちらもそれが成功してから報告しようと思う。
問題を投げて答えを待つ。
うまくいけば今年の転機となる可能性もあるが、そうするしか余裕のないところまできてしまった。
誰かにこの状況を読んで説明してほしいくらい自分ではわけが分かっていない。なぜそうするのかも。
冷静に考えてふたつのどちらもかなり可能性は低いのに。

触って伝わるか


これがその船底面。ずっと触っていたくなるカーブだ。
天板は水拭きをして乾燥中。明日仕上げ磨きをしていよいよ塗装する。

このエッジ加工でもそうだが、形を作るために人それぞれ使う道具は違うだろうと思う。
丁寧に鉋で削る人、効率を考えてジグを作り電動工具で加工する人もいるだろう。だけど僕の場合はその工程のほとんどを手によるやすりを使い、少しずつ追い込んでいくやり方が好きだ。
定規を使わず自分の平衡感覚とバランス感覚を駆使し、フリーハンドで仕上げる。そうでありながら荒くならず緻密に仕上げる美しさもあると思う。
コンピューターを使って機械加工されたものの美しさもあるが、それに張り合うつもりはない。むしろ数式に表しきれない形であるからこそ一点ものの価値があるだろう。
触れてみれば違いがわかること。人の手の跡、感触が嫌いな人でなければその情報が伝わるはず。


仮に脚をつけて当たりを見る。脚が付いている補強部材を天板と一緒に面取り加工する部分もあるため。
また、天板裏は依頼者の希望で作り込みを施すことになる。

この形、以前からSIGNの製作日誌のフォローをして下さっている方ならお気付きかもしれないが、あのダイニングテーブル「奥様は魔女」と同じ船底面を加工するのだ。
脚も同じなので、あのテーブルのL字版といってもいい。依頼者の奥さんがあのテーブルが気になるとおっしゃったのでデザインを踏襲することとなった。
電動工具は使えどほぼ手作業に近い加工によって独特の複合アールになる。幕板のない構造と相まって不思議な使用感を生むこのデザインは、いつしかSIGNの定番デザインとなるかもしれない。

SIGNの写真茶話会38を開催します。
今回は写真が表現になる瞬間のお話です。
午前はカメラ茶話会となっておりますが、希望者が多い場合表現講座に変更するかもしれません。

1月26日(土)

11:00〜12:00 カメラ茶話会(参加費無料)
13:00〜17:00 表現講座(参加費2,000円、定員7名)

午前のカメラ茶話会はカメラに関する相談、自慢話などなど。希望者がいる場合は基礎講座もしたり、バイク好きが集まればバイクの話になったり。
午後の表現講座にも参加される方々でお昼ご飯を食べに行ったりします。

表現講座はその回のテーマに沿った講義と合評による個人の作品指導です。普段撮影された写真をプリントでお持ちください。どんな写真でも何枚でもかまいません。
作品を作ることに技術のレベルは問いません。写真茶話会は誰でもいつからでも参加していただけます。
普段撮影しておられる何気ない写真から、素晴らしい作品が生まれることがあります。
その瞬間に立ち会ってみませんか。

参加を希望する方はメールにてお申し込みください。
sign@norioyuasa.com
SIGNの写真茶話会は1回ごとの参加申し込みによるものです。続けて来られても1回のみでも楽しんでいただける内容となっています。
詳しくは「教室のご案内」を御覧ください。

がらくたは新年に思う


雪の上を歩く。霜柱を踏みしめる。これって絶対脳にいいよなあと思いながら。

「遠」という漢字も好きだ


出来上がった脚をそれぞれペアでつないだ。細い脚で幅の狭いのが店の奥に配置する脚だ。
ねらいどおり遠近感に作用してくれることを願う。

朝から向かいの造成工事がうるさくて集中できない。音楽をかけてごまかしているものの、どうもイライラする。
他にやらなければならないこともあったので、仕事は午前中で終えた。
夕方に写真茶話会の常連メンバーであるfukuさんが訪ねてきた。借りたいものと訪ねたいことがあったらしい。
10分ほど話がしたいと言ってたのに結局30分くらい話したか。作品についてだった。
「写真と言葉」を複合的に用いた作品を作ろうと思っているらしく、写真と同じように「ことば」も採集しているという。
そういった作品についてどう思うかということと、僕にも「ひとこと」何か言葉が欲しいという。
動詞でも名詞でも何でもいいというので僕が答えた「ことば」は、「遠い」だった。

終わるとき終わらず


昨日の茶話会から一転、工場は家具モード。
旋盤作業でカウンターテーブルの脚を作っている。写真は細い方の脚だ。
塗装前のメイプルの白さがきれい。
しかし、今日の段階で脚を作っているということは塗装のことを考えるとこれは年を越しそう。年内納品が目標だったが、イレギュラーがあって数日ロスしてしまった。
とにかく急ぐしかない。

昨日の茶話会には常連のメンバーがそろい、今後の写真茶話会のことを少し話した。
この12月で4年。始めた動機は僕がもう一度写真の授業をしたかったからだった。本業の木工があるのでほぼ趣味程度に考えていたのが、次第にもっとやりたくなってきて、続けることでまたどこかで講師ができないものかと去年は知り合いの写真学校、専門学校、芸大に、恩師にと昔のつてを訪ねてみたものの、その返事はどれもあまり良いものではなかった。
現在写真を学ぼうという若者が少なくなったこともあり、どの教育機関も学科は縮小傾向で、教員も人員削減は免れず新たな募集は考えられないとのこと。
しかしそれは確かにそうなんだろうとは思うけど、本当は僕が必要とされないからだろうと思う。
写真家としてのキャリアもなく、10年近くのブランクもあるのだからしょうがない。だけどその10年の間に写真表現は変化し次のステージに入っていて、それに対応する教育を考えている人がどれだけいるのだろう。
今こそ内面に触れる授業が必要な時代だと思ってはいるが。
だとしても僕はやっぱり家具屋で、木工家である以上この道で生きていくしかなく、経済的なことを考えてももう寄り道ができない状況でもあって、よほど予想外の展開でもない限り写真に戻ることなどあり得ない。だから、プライベートでする写真講座も方向を修正する時期が来たんだと思っている。
そんな話をした。そして常連メンバーみなさんの意見も聞かせてもらった。
いきなりの話でみなさん面食らっていたようだった。だけどやっぱりあった方がいいという意見が多く、とりあえずは3月まで通常のペースで実施することとなった。4月以降はそれまでの様子を見て結論を出したいと思う。


今日はクリスマスイブで祝日にもかかわらず大学の授業はあった。
授業時間数の関係で月曜の授業は休日でも実施される。
雪がちらつく寒い中、学生は来るんだろうかと思っていたら欠席者は2名だけだった。
作業は終盤に差し掛かり、すべての学生に完成してほしいので、指導もアドバイスだけに留まらずだいぶ手助けしてしまった。
手作業によるほぞ加工など実際の仕事ではもうしなくなっている。手伝いで何十個もほぞを作っていたら修行中を思い出した。職業訓練校でもこういうのやってたなあ。と記憶をたどるのをそこでやめておけばよかったのに、単純作業を繰り返していると色々な思い出が頭をよぎる。
それに付随する嫌な思い出も、TVチャンピオンのことなんかも。
のこぎりめ。

カウンターテーブルは脚の材を角材にしてある。明日は一日旋盤作業、回すのだ。
明後日は今年最後の写真茶話会だけど。年内納品いけるかな。

そんなおり、クリスマスプレゼントにこんなものを作った。
調理台の上を泳ぐさかなの親子。
デザインは師匠のパクリだけど、用途が違うから許して下さいね。


わけあってゆっくりペースの写真館のカウンターテーブルは、今日脚の材料となる角材を張り合わせで作った。
L字型という変形のテーブルということもあり、少しアイデアを盛り込んでみた。
L字天板の長辺と短辺の幅が違うことから目の錯覚を利用し、入り口側の手前と奥の脚の太さに変化をつける。
奥にある方の脚を細く手前を太くして、実際よりも奥行きが感じられるように。
実は昨日の製作日誌の写真を見て気付いたのだ。
設置してみて実際にどれだけ効果があるかは見てみないとわからないけど、お客さんはまず入り口から店内を見渡すわけで、置く家具によってより広く見えた方がいいと思う。
現在のショーケースのカウンターより低くすることと合わさって、うまくいけばいいな。

その脚6本分をクランプし終えたところへ、依頼者の奥さんが訪ねて来られた。
なんとうれしい差し入れを持って。

葛城市に工場ができる前、SIGNは田原本町にあった。このテーブルの依頼者である写真館はその田原本にあり、僕としても打ち合わせなどでお邪魔する時にはなんだか懐かしい感じがしていた。
いただいた差し入れは、田原本にある人気のパン屋さんのカツサンドとまた地元では有名なケーキ屋さんのプリンだった。
田原本にいた頃にはよく買いに行っていたところだったし、なんだかそういう思いも加わって、めちゃくちゃうまかったなあ。

ありがとうございました。味わっていただきました。

ブーメランなら縁起物


天板のL字のコーナーは丸くカット。
今までカウンター代わりに使われていたガラスのショーケースは写真の受け渡しが主な用途だった。高さは立ってちょうどいい高さで、入り口の正面にあり、お客さんは用が済めばすぐにお帰り。だけど待ってもらう必要がある時にはそこでぼーっと待つしかなく、おかけくださいと言って座ってもらうのは証明写真用のスツールだったり。
そこでちょっとした待ち時間でもくつろいでもらうスペース確保と今まで通りのカウンターとしての機能を両立するために、テーブルくらいの高さにしてここにスツールを何脚か置きましょうということになった。
L字の内側はご主人のお仕事スペースでパソコンデスクやシェルフが並ぶ。座って仕事をしながらお客さんとも対面し、お茶でも出して談話する、なんていうイメージ。
デジタル写真だから撮影した写真をモニターで見ながらプレゼンするのは今や写真館の常識。たくさん買ってもらうためにまずは座らせないと。

1400×1800の天板をブーメランのようにぶんぶん振り回しながら(比喩)加工する。
ブーメランといえばブーメランコムスターというホイールがあったなあ。80年代半ば頃か、ホンダのバイクで。
ナナハン乗りたいなあ。電気屋さんの影響でGSも気になり出して、SRX残してツアラーと2台持ちなんていいよなあ。望みは果てしなく、でもとりあえず買うお金はないので「わらしべ長者」のように限りなくSRXと交換に近い値段のナナハン探そうかな。はあのんきだね。

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