隙間がないから始められる
2013 年 4 月 21 日 by SIGN
二段ベッドの材料をそれぞれの部材の厚みに削ると随分量が減った気がする。
もとの厚みからそれぞれ5〜15ミリ削ったことになるが、両面を平面に削ることで削る前の湾曲や反りもなくなるため積み上げたときの隙間がなくなった。
完成品しか見ることのないお客さんにとっては、この工程は想像もできないことだろうし、実はこれこそが木工家としてのプロフェッショナルな仕事だと言える気がする。
森に生えている木を伐採し運ぶのが林業家のプロの仕事であり、それを板材や角材に製材し乾燥させるまでが材木屋さんの仕事。そのおおまかな厚みや様々な幅、ざくざくの表面の材木を直線や平面や均一な厚みに削り出し、すべての角を直角にしてX×Y×Zの数式にあらわされる直方体に加工する。それが木工家がするはじめの仕事。直方体の材料を買ってくるわけではない。
僕も訓練校で初めて知った工程だったけど、たしかにそんな直方体の、直線や平面がある木など自然にはないわけだし、乾燥の段階や時間が経つにつれ変形していく木材は組み立てる直前にこの加工をしなければ、精度はもちろん美しい家具にはならない。
自分一人でやっているような木工家という人間は、そもそも人に任せるのが嫌で独りでやっているのであり、その平面がその厚みがその直角が自分の手によるものでなければ信じられないのだ。多少の誤差があったとしても、それさえも把握しつつ作業を進めるから最後に辻褄が合うとも言える。
あれだけ時間をかけて計画する図面も、結局そのとおりに作ることなんてない。木工家は繊細で神経質で几帳面でなんてただのイメージで、臨機応変にトラブル対処できるようなフレキシブルな人間のほうが向いている。
ただ、後々の工程のことを考えるとめんどくさがりの人間ほど失敗から学習し、この工程をしっかりやっておくことの重要さを知ることになる。
そのための木工機械たちが、工場の面積のほとんどを占めているのだ。
フィルムも印画紙も木材も、よく生ものと思いましたが、SIGNさんは そんな 生ものばかりの仕事をしてこられたのですね。
昨日 當麻寺の牡丹を妻と娘と見に行ってきました。
帰りに ギャラリー(らしい)によって おねりの写真を見てきました。白黒の写真で良かったです。
「らしい」に行かれたのですね。こちらにも寄って下さればよかったのに。
ヒデシローさんもギャラリーやりたくなりませんでしたか?