浅草に、いいギャラリー見つけた
2010 年 9 月 24 日 by SIGN
東京は浅草、雷門の近くで、この秋オープンされるギャラリーへ作品展示台を納めさせていただいた。
この作品展示台を作るのはこれで三度目になる。そして三度とも東京のギャラリーからのご注文だった。
一回一回デザインし、オーダーメイドで作っている家具屋なのだから、同じものを三回も作ればそれは立派な人気商品だ、いつのまにやら。
10台の展示台を重ねて収納できることが最も大きな利点だが、その重なった姿が美しく、それ自体が作品のような佇まいがある。
またそれぞれの展示台は大きさが違うため、並べ方で立体的な展示ができるのも面白い。
丸美京屋さんは明治から続く、日本人形の材料問屋さんだった。
地元東京はもちろん、全国の人形職人さんから注文があるという。
しかし時代とともに需要が減り、職人さんの数も減ってきていることから、ご商売も縮小せざるを得なくなってきた。
そこで、かつては商品がぎっちり詰まっていたお店の二階倉庫を改装し、アートギャラリーを作られたのだ。
店の二階をギャラリーに、というのはよく聞く話だが、ここはちょっと違う。そんな中途半端な空間利用ではない。まず初めて見た人はきっと驚かされるだろうと思う。ここにこんな立派なギャラリーが入っているなんて。
設備も揃っていて広さも十分あるし、何より周辺の情報をよく理解してデザインされているのだ。
町の雰囲気やお店のなりたち店がまえ、そして築40〜50年経つビルの趣と、新たに加えられたギャラリーという機能が、ほんとにうまく納まっている。これでこの階段や、味のあるエレベーターがまた活躍することができるというもの。
とりあえず僕の作った展示台は、ちょっとした美術館かと思わせるエントランスの前、エレベーターホールに置かれることになった。
設置した後、これからこのギャラリーを運営される、こちらのご夫妻と少しお話をした。
気さくで優しそうな奥さんと、愛想がないけど優しそうなご主人と。
40年前に買ったというミッドセンチュリー風のガラステーブルとその当時らしいデザインのウィンザーチェア。ずっとダイニングで普通に使っていたというから、家具を見抜く目もおありで?
奥さんの入れてくれたおいしいコーヒーをいただいた。
いつかここで個展をしたい。やっとそんなギャラリーに出会った気がする。浅草という場所も。
僕はやっぱり、トレンドの中心でスマートにキーを叩くより、はしっこを掴んで力任せに引っくり返したいタイプなんだと思った。
帰り際、ご主人と奥さんに、「いつになるかわかりませんが、予約しときます」とお願いしてきた。
新たな「約束の場所」ですね。
この場所に、いつかSaltさんをご招待できるようにがんばります。