一難対応中にまた一難
2015 年 12 月 5 日 by SIGN
もう当分ホイールに触りたくないと思うくらい、あの錆にはやられた。
多分これは放置ベスパの持病とも言えるのではないだろうか。
このホイールの構造は、ユーザーレベルでタイヤ交換をしやすくするためのアイデアだとは思うけど、新しいうちは車載工具のレンチだけでレバーも必要なくていいのだが、隙間から入る水を避けることはできないし、唯一無塗装のナットとワッシャから錆が始まってホイール内部は錆の温床。
今日は違うところをやろうと、キレの悪かったクラッチワイヤーの調整をすることにした。少しワイヤーが伸びていたから。
フロントのホイールを外してリアをジャッキアップ。裏を覗くとこんなありさま。とにかくコテコテ。
クラッチのレバー周りだけ泥を落として、ストッパーを外す。
この作業、床に寝そべって下から潜り込んでライトを照らしながらしていると、不思議な感覚がフラッシュバックしていた。
学生時代の探検部で洞窟に潜っている時みたいな。
そう思うとなんだか楽しくなってきた。
ベスパのためにワイヤーの調整に使う工具を購入した。ワイヤープライヤーとワイヤーカッター。
ベスパの操作系は、アクセル、フロントとリアのブレーキ、トランスミッション、ついでにチョークとメーターギアなど、ほとんどがワイヤーでの伝達となっていて、それらはモノコックボディーのトンネルの中に隠されている。それは外からは見えなくすることで機械の仰々しさを感じさせず、優雅なデザインを強調し、どんなユーザー層にも親しみやすくするためだと言われている。
そのコンセプトは後のスクーターにも受け継がれ、今や当たり前の構造となった。
しかし、クラッチやシフトチェンジ、フットブレーキという今のスクーターにはない機構があるためワイヤーの調整は出番が多く、いや、ベスパの整備はほぼワイヤーと言ってもいいくらい重要なのだ。
RIDEの村田くんによれば、できれば年に一度ワイヤー交換をしたほうがいいとのこと。上記の構造上伸びやすく切れやすいベスパのワイヤーは、どれがダメになっても走行に支障をきたす。実際こいつを譲り受けた時にはフロントブレーキがのびのびで機能してなくて、クラッチもキレが悪かった。
だからこんな工具を手に入れると、ベスパに本気、みたいな高揚感があったりする。
(写真右のダイソーガチャックはまた別の作業に必要なもの、お楽しみに)
クラッチの調整を終え、ついでにフロントブレーキもワイヤープライヤーで確実に調整しなおし、試しにエンジンをかけてシフトチェンジしてみた。
おお軽くなった、よしよし、と思っていたら、バツン!
ミッションワイヤーが切れた!およよ、なんてこと。ああ、
そんな時、宅配便で落札したホイールがもう届いた。早いな。
最近はすごいね。しかし、届いてしまった以上やらないわけにはいかず、切れたワイヤーはまた村田くんに注文するとして、まあやりますか。
梱包を解くと一本はやはり錆び付いていた。今までのようにひどくはないけど、やはり持病は免れないのか、結局剥がして削ってをすることに。
すでに2本が廃棄なので、このどちらかをフロントに、もうひとつをスペアにする。
状態の良いほうに新しいチューブとタイヤを装着し、それについていたタイヤ(S83!)を悪いほうに付け替え、悪いほうのタイヤは廃棄、良いほうのチューブはパンクしていたので悪いほうのチューブを残し、と入れ替えでパズルのようだった。
しかしそれによって、スペアはミシュランのチューブにミシュランのS83となり、ほとんど装飾のスペアだから見た目がカッコよくなっていい感じ。
また、新しいタイヤはノーマル3.00-10のところ90/90-10に変更したので10ミリほど太く大きくなっている。
これで本当なら試運転したいところだけど、ああワイヤー。