朝出勤すると僕のデスクにメモが貼り付けてあった。昨日僕が帰った後、ある人から学校に電話があったみたいだ。
僕と連絡を取りたいとのこと。
一瞬、いい話かな?と思ったが、学校宛ではなくわざわざ直接話さなければならないこととは何か。もしかしたら残念な話かもしれない。
確かに、本来なら僕から電話しなければならない相手でもあった。
そういう礼儀を僕は少し面倒に思う性質がある。よくはないなと思う。
朝の朝礼が終わってから実習中に電話をしてみた。
内容はとにかく驚かされるものだった。
どこをどうすればそういう話になるのか、その直感と発想と判断には特殊能力さえ感じる。
そして聞き様によっては無責任とも思えるようなことだったが、自分の直感による判断に責任を負える人だからこそ言えることかもしれない。
それは同時に僕を悩ませる内容でもあった。
僕は今の仕事に出会った時から、舵取りを手放すことにした。だから自分の行く道に野心などなく、ここから見えるものに見せられるものに対し、ただただ丁寧に応えていくようにしようと思っていた。
しかし今回の問題に対してはどういう態度をとればいいものか。手放すということは誰かの言いなりになるということではないはず。ではあるが、機会というものに意図があるのだとすれば、この強引さにはむしろ意図があるように感じる。
今年もあとひと月ほどだというのに、問題は年を越したくはなく、少し動いてみるか。どうやったって答えを出せるのは先の話になるのだから。
そういえば、僕のベスパは車体番号から、1989年製だった。