生き返るってすばらしい
2015 年 11 月 23 日 by SIGN
キャブレターはニードルなしのフラットバルブのみで、メインジェットの周りを囲むドーナツ型のフロートにめちゃくちゃ小さなフロートバルブ、に対してこのキャブの大きさにしては大口径のパイロットスクリュー。エアクリーナーボックスはフィルターまで金属製で、カタツムリのような構造をしている。
この大きさの中に少ない部品数でシンプルに必要な機能を満たそうとしている。
これも年式によって形が違うようで、購入した本の構造とは違っていた。僕のベスパはもしかすると再生産前のものかも。車体番号どこにあるんだっけ。また調べてみよう。
パーツクリーナーとキャブクリーナーで一通り洗浄して組み立てる。
単純な作りなのであっさり終わってしまい、逆にこれでエンジンがかかるのか少し不安になる。
全部の穴を確認したが、洗浄前に詰まっている箇所は見当たらなかった。内部もそんなに汚れてなくてフィルターにゴミが溜まっていたくらい。
オーバーフローの原因も、プラグがカブりまくっているのも結局原因がつかめなかった。
とにかく通りは良くなっているはずで、2ストだから単純に割り切れない原因もあったのかもしれない。
いまだに2ストって、理屈は分かっていても、それで回ることが不思議に思えてしまう。しかも高出力。だから魅力を感じるんだろうなあ。
パワーアップって言ったって4ストみたいに部品を交換するんじゃなくて、経路を広げたり狭めたり、その壁を鏡みたいに磨いたりという、財力よりも根性みたいなところがある。
それだけに不調が出た場合、どこかが故障?っていうよりバランスを崩した原因を探るような作業になる。
とにかくそんな2スト車がうちに来てくれたことが嬉しくて、それがまたベスパってとこがまたまた。
走る前から喜んでる場合じゃない。キャブを戻す前に一応ボディーの内部も洗浄し、取り付けるワイヤー類もグリスアップ。掃除しろと提案された時は、めんどくさって思ったけど、確かに取り付けもかっちり仕事できてよかった。
タンクも取り付け、さあ問題のこれ、
最後のこれだけは見えないところで手探りの作業になる。
フューエルコックのレバーの付け根はこのベータピンで固定されていて、コック自体はタンクの裏にある。
棒の先端とコックの小さな穴を合わせてこのピンを差し込むという職人技。しかも落下させればもう一度タンクとキャブを外さなければならない。
どんなに技術があっても知識があってもベスパが好きでも、最後はこのピン。最後は平等、みたいな計らいを感じさせる。
こんなところに苦戦し、1時間以上かかってやっと差し込めた。なんとかコツを掴もうと思考錯誤した結果、僕は職人になった。
この後キャブの調整で何度かタンクを外すことになるのだが、なんの迷いもなくできるようになったのだ。
しかし、エンジンはかからず。プラグは依然カブリっぱなし。
プラグは外してキックを踏むと火花は飛んでいるし、やっぱり原因はキャブか。
で、いろいろ試したので結局何が原因かは特定できないが、ある時エンジンがかかり出し、またすぐ止まるを繰り返し、回ってる間にキャブクリーナー吹いたりプラグを交換したり、ぐわーっと回転が上がったかと思えばモゴモゴモゴと止まり、バックファイヤしたり白煙だらけになったり、プラグを掃除してはパーツクリーナーどぼどぼで戻してまたキック。ガソリンも生を足したりしてみた。
もう一度キャブを調整し直そうと思った時に思い出したのが、あの繊細さのかけらもない太いパイロットスクリュー。多分あれだと少しの誤差でかなりの差が出るかも。
キャブを調整して組み直して、何度か同じことを繰り返していると少しずつ息が長くなってきた。おおー!アイドリングしてる!
エンジンがかかったので電装系のチェック。すべて正常、よしっ。
すかさずパンクしてるリアタイヤをスペアに交換して工場の中で発進チェック、クラッチもミッションも大丈夫。ブレーキもいけそう。
うわーこれはうれしい。生き返らせるってすばらしい。
おおお、すごいすごい! リボーンしましたか。
今度の土曜日、乗せてください。m(_ _)m
やりましたよ、ぜひぜひ。
でも今にもパンクしそうなスペアタイヤで、ナンバー無しですが。へへ