ベスパをいじりたいか
2015 年 11 月 3 日 by SIGN
先日久しぶりに出動したパリダカも快調だったし、SRXも奇跡の一発セッティングが出てひと段落。
というわけで、そろそろベスパに取り掛かろうと工場の中のバイクの配置を変えた。
今日なんかはあちこちで文化の日にちなんだイベントが開催されているはず。
僕も去年まではプロップスフェスティバルが毎年の恒例だった。
去年10年目を迎えたプロップスフェスティバルは当初の予定どおり終了した。それぞれの色んな転機とともに。
わかっていたことだけど、なんにもないというのはまるで別の世界に来てしまった様。永田さんの工場(こうば)ももうあの場所にはなく、みんなが集う機会も場所もなくて、一年に一度お互いに刺激し合い、影響を与え合った時間や記憶は、それぞれの段階が進んで少しずつ薄れていくのだろうか。
今日何気なく訪れたいつもと変わらない休日は、以来僕の日常として定着してきたそのままの、ただ慌ただしく近所の子どもの相手をしながらバイクをいじるという、どこにも感傷などない一日だった。
さて、何から始めようか。
ラッキーさんの知り合いから譲っていただいたベスパは100。
ボディーは錆が結構きていて穴があきそうなところもある。エンジンはかからない。フロントはブレーキワイヤーが切れ、フォークもサビサビ。スロットルは固まっている。タイヤは前後とスペアまでつるつる。リアはパンクしている。
前オーナーの話ではウインカーも片方玉切れとのことだったが、そもそもエンジンがかからないので電装系は謎。クラッチも同じく。
ただ救いはキックしてクランクは回っていること。
話からすると購入されてから30年くらい経っていそうなのだが、そうするとほんとに僕の手元にあるバイクはあの頃に集中している。なんとか直して乗ってやりたい。
捨てられずに僕のところへ来たのだから。
人によっては鉄くず、人によっては形があるだけで価値があり、しかし走らせようとする者にとっては結構致命的な部分もかなりある。
フレームのないモノコックボディーは腐食で強度が落ちると危険だし、フロントサスは現状改善するには交換しかないだろう。
とろとろ走るくらいにはできたとしても、一体どれだけもつものか。
ただモチベーションはこの秀逸なスタイル。これに乗れるということに尽きる。
とにかく少しバラしてみようとフロントから取り掛かろうとして唖然とした。なんだこのバイク。さっぱりわからん。
ハンドルカバーはどのボルトを抜いても外れないし、ワイヤーやハーネスはモノコックボディーのトンネルの中。ウインカーレンズすら固まって外れず、外れたのはブレーキレバーだけ。
だめだキャブを見ようとシート下を開けると、意外とボディーの中は空間だらけ。なのにどうやって組み立てたのかわからないようなイリュージョン構造。モノコックだけにボディーは分解できないので、必ず手元が見えない作業がともない、ワイヤーハーネス類は電気工事よろしくトンネルの中を通さなければならない。
うーむ、面白い!!
独創的ではあるが単純な構造で、いじるにはベスパ職人でなければならないという、これはきっとハマるパターンな気がする。
んで、ハマるんでしょうなぁ(笑)。
ですねー。
(仕事中以外は)ベスパのことで頭がいっぱい。
早くメンテナンス本届かないかなあ。