現役最後の仕事となったガラステーブルを鎌倉に納品してきた。
テーブルが仕上がったのは3月末であったが、納品先である鎌倉のマンションをリフォーム中ということで、その完成と引っ越しのタイミングでお願いしますと言われていた。
3ヶ月という時間をかけて少しずつ指導員という仕事が体に馴染んできたところだったから、久しぶりの家具の仕事に少し懐かしさも感じる。こだわり続けてきた直接納品も、この仕事におけるひとつの楽しみであったのだと改めて思う。
サンバーに家具をのせて長距離走り、日本全国どこへでも、なんてあまりにもリスキーでしかも運送費として片道の交通費しかもらわないで日当すら取らないなんて、どう考えてもおかしなことをしていたもんだ。
別に仕事に縛られていたわけではなかったけれど、きっと旅をしたかったんだろう。そんな旅もこれで当分することはないと思うと、どこかに立ち寄ったりするよりはただこの距離を感じながら走り続けることにした。
往復1,100km。その程度ではあったが、気持ちは砂漠を横断する小さなバイク、もしくは銀河系の中心を目指して飛ぶ宇宙探査船の孤独。
納品は午前中、10時頃を希望されていたので、前日の夜12時に出発して行けるところまで行き、途中のSAで仮眠しようと思っていた。
写真は足柄SAだが、これは給油に立ち寄った時に撮ったもので、本当は日本坂SAで力つきた。出発したその日は午前に講義、午後から実習で疲れていたからか、前回川崎に納品した時に仮眠した足柄まで辿り着けなかった。
そして初めての鎌倉。茅ヶ崎、湘南、江ノ島。
神戸より田舎で神戸よりあか抜けてる感じ。関東に沖縄を持ってきた感じ。
そんな鎌倉の山の手の住宅街。細い坂道を登りきったところにそのマンションがあった。その場所はそこまでの状況からは想像できない広さがあり、マンションの一軒一軒も大きく、お客さんのおうちは3階だったが2階があった。
すごい、こんなところがあるなんて。
玄関を入り、2階のリビングに案内されテーブルの天板と脚部を二回に分けて運び入れた。
今日が引き渡しということで、まだ洗い屋さんが作業をしていたり、設計士か不動産屋と思われる人たちとお客さんのご家族に見守られながら組み立て作業をする。なんだかその状況に緊張してしまい、ローズウッドの床に汗がしたたる。
いつもであれば、ここで少しというか時間が許すかぎりお話をするところなのだが、お客さんにとっては今日は家の引き渡しがメインであり、ちょっとタイミングが悪かったか。
テーブルを前にみんなで記念写真を撮ることになり、それはテーブルの記念なのか今日のための記念撮影に僕が入れてもらったのか、その写真は不動産屋か設計事務所のホームページに使われるということだった。
そしてみんなに見送られながら、それで退散することにした。
マンションの入り口まで送ってくださった依頼者であるご主人と歩きながら少し話をした。
僕より二つ年上で、船舶関係の会社で仕事をされていて、退職金でこのマンションを購入されたのだという。
え?その歳で、と思ったらそれを察し、「役員になったので、」と説明してくださった。
もともと千葉に住んでいて、鎌倉に住みたくて物件を探していたらこのマンションに出会い一目惚れだったという。そんなチャンスがあったとしてもそのお金がなければ不可能な話であり、またそのお金を手放す気がなければ手に入れることはできない。
僕にとって現役最後の仕事に、今までも色んな世界を見せてもらった仕事ではあったけど、これも見よということだったのだろうか。
帰りの道はまた海岸線を走り、なかなか進まない渋滞も、ゆっくり走りたい僕にはちょうど良かった。
汗で濡れたTシャツに海風が気持ちよかった。
帰りの高速で右前輪がパンクし、SAで修理中のサンバーも笑ってるみたいに見える。
んー、たしかにサンバー笑ってますね。
こんどはバイクで走りたいですね。
お疲れさま。
何の床だと思っていたんですが、なるほどなるほど
ワシントン条約があってブラジル産でなくとも、ゴクリですね、、
「気持ちは砂漠を横断する小さなバイク、もしくは銀河系の中心を目指して飛ぶ宇宙探査船」
何だか、人事ではない様な気分になってきました、、私もそれで行ってみようー
ラッキーさん
笑ってるでしょ。かわいいやつ。
バイクが旅の道具でなくなって久しい。また長距離ツーリング出来るのはいつの日のことか。
車でしたがとりあえず日帰り1000kmオーバーでした。
電気屋さん
すごいですよ床のすべてがローズウッド、階段まで。100平米超えてるのでは。
行ってみよー、って気持ちだけでなく、電気屋さんだとほんとに行ってしまいそうですね。
次回、宇宙の果てのどこかでお会いしましょう。
23で結婚するまで、茅ヶ崎の一つ先の平塚ってところに住んでました
湘南はどんだけドライブしたことか
今の旦那とね
田舎で、垢抜けてて、関東に沖縄を持ってきたって
まあ面白いこと言いますね
でも、そんな感じかも
ちょっと分かります
それにしても、自分で配達っていう
日本でも稀なことなさってたんですね
拘り中の拘りですね
これぞ、本当のオリジナルですね
作品の素晴らしさに目を見張りました
素晴らしい腕を
これからは、指導に向けられるわけですか
そかそか、
人生は旅だからね
また、何処に行き着くか
分からないですね
まこさん
そうですね、まだまだわからないぜって言い続けたいです。
今は日々指導の難しさに挑戦しています。
だけど、確かに僕にある機能を使っている気がしています。