家具屋に残された時間
2014 年 1 月 10 日 by SIGN
去年の夏に納品したテレビラックの続き。お客さんの都合でどうしてももう少し大きくしたいという。それに応えるのもオーダーメイドの仕事。
そもそもオーダーメイドなんてこだわりのあるお客さん相手の仕事だから、仕方がないと言うほかない。せっかく作ったものがもったいないという論理は通じず、お金をかけてでもやりたいと言われればやるしかない。
注文を受けて作るというスタイルでいる限り、これを苦悩と感じれば「オーダー」イコール「命令」であり、お金に対して従うことを受け入れるしかないのだ。
利益の追求が仕事と思える人はそこでも自分の優位性を感じられるだろう。しかしそれに興味のない人間は何をモチベーションとすればいいのか。
お金を払って家具を買う、できれば安くいいものが欲しい。これはお客さんの考え。
作り手としては、技術を売っているという感覚で、お客さんに対する思いこそがサービスだと考える。
このすれ違いはどちらかが妥協しなければ添うことがない。
また、作り手もお金を貰うことで欠けた部分を補っているのも事実。
何かいい方法はないものか。これからはこれについても学生に教えなければならないのに。
この仕事も作る作らないの話し合いで半年かかり、図面も数回書き直し、値段は材料代と経費で労働分は赤字。
こんな仕事だったら公務員が副業にしてても怒られないかもしれない。「専念」って言葉どおりの意味ではなく、お金を稼いだかが問題みたいだから。ああでもそれも僕の感覚とはズレてる。