後回しにするから面倒なのだ
2013 年 11 月 18 日 by SIGN
ちょっと用事があって大阪芸大へ行ってきた。キャンパスを歩きながら、そこで自分が演じている役どころを見つめていた。
学生、OB、講師、歩きながら意識して演じている。小心者め。
この舞台に立つ現役の役者である学生たちから見ればエキストラであって、彼等の邪魔をしないように、異物と見られないように、背景に順応するように何かを演じている自分がおかしい。いったい何のために。
僕がここを大手を振って歩いていたのは20年以上前のこと。
その当時から20年前といえばビートルズやストーンズもバリバリの現役で、ジムモリソンやジミヘンだって生きていた。
そう考えるとあの頃は20年前とはものすごく過去のことのように思っていたのに、今こうして歩いているとあの頃との時間のギャップをあまり感じないのはなぜか。
今踏み出す一歩が、あの時ここで立ち止まった次の瞬間の一歩であるかのような錯覚、いやまさにそうなんだろう。
その用事というのは、僕がかつてここでしなかった、大学生としては当たり前の手続きをするためだったから。
その部屋に入るまでは演じきれていたものを、そこでは正体を明かさねばならず、きっと彼等も驚いていたに違いない。
僕だって今さらこんなことをするなんて思ってもみなかった。要求されて初めて気付いた。これが必要な手続きならば、えらく遠回りしたもんだ。
帰りに情報センターの地下でブレッソン展をやっていた。貴重なオリジナルコレクションも、こう何度も見せられるとありがたみがない。構成もおかしいし、多分キュレーターゼミの学生が研究課題でやってるんだろう。もっと大事にしてほしいね。
そしてその足でもうひとつの学校へ。そこは学校というより病院みたいなところだった。
ものすごく広くてきれいな建物なのに人がほとんどいない。駐車している車の台数分だとすると多分30人もいない。
大阪府の一番南の高等技術専門校。僕が卒業した学校が廃校になったので、過去の学籍情報などはここに移ったらしい。
なんにしても、スタートラインに立つまでにこんなに面倒だと、一緒に並ぶ人はどんな人か興味が湧いてくる。
過去に手続きを踏んでいる人は、そう苦にならないのかもしれないが。