一枚の絵、写真のとなり
2013 年 8 月 21 日 by SIGN
ジグザグチェアの打ち合わせが金曜日になり、あいた二日間でこれをすることにした。
以前カウンターテーブルを納めさせていただいた写真館から頼まれていたもので、いつでもいいとのことだったので随分お待たせしていた仕事だ。
その写真館に昔からあったという絵で、何十年も前の店の外観が描かれたものを額装してほしいという依頼。お話では描いたのが近所の小学生だったとか、先代のおじいちゃんだったとか、そのあたりがはっきりしないのだがとにかく確かにその写真館であることは間違いない。
ベニヤ板に絵の具で描かれており、タッチが油絵のような描き方なので見ようによっては大人っぽくもあり、その不思議な存在感がこの絵の魅力に感じる。
そして写真館に絵画を飾るということ。当時の店の外観など写真に撮ってしまえば簡単に、もっと鮮明に情報量も多く記録できるものを絵で残す意味、それはその絵の持ち主が写真に携わるが故に与えられた価値でもある。
記録性を重要視するお仕事である。そういう意味でその絵も自然と読まれ、肉筆で描かれたひとつひとつのものが記憶と結びついていくことは容易であった。
僕には絵を評価する眼はないが、この絵の良さは分かる気がする。
経年変化でベニヤ板はたわみ、ひび割れてきているので、額装といってもがっちりフレームにはめ込むことはできそうにない。額は脇役に徹し、むしろその年月の量感を展示するオブジェとして形にしようと思う。