脚を付け替えた老夫婦のローテーブル
2013 年 8 月 5 日 by SIGN
ご近所さんから預かったローテーブルは脚を幕板付きの角脚にし、元の高さより100ミリ高くした。材は松系の材を使った。
ご主人がご病気で要介護となられ、立ち上がるのが不自由となり食事に使っているというこのローテーブルでは低くて立ち上がる際に体重を掛け辛かったらしい。
元の折畳式の金物で固定された脚はそうして使っているうちにぐらつきはじめ、僕が預かった時には一本の脚はロックすら効いていなかった。
買い直すという選択もあっただろう。しかし、ちょうどいい高さや大きさのものを探す労力は奥さんにとっては過重であったのかもしれない。日常の生活の中で新しいものを増やすことが選択から外されていく年代でもあるのだろうか。使いにくさを我慢して使うか、使い慣れたものを直して使うか。生活の道具のなかでも特に家具はそうそう買い替えるものでもなく、長く家に居座るものでもある。それだけに愛着が生まれやすい。今回の依頼は高さと強度以外は「なんでもいい」と言われた。このテーブルを使い続けたいが、つまりお金もかけられないということだと思った。
挨拶を交わす程度のおつきあいだった老夫婦の生活を、言葉を交わすことなく家具を見るだけで垣間見る。
なぜかこんな時、スタンダードの強さを感じたりする。
さて、明日の夜出発でテレビラックを納品しに神奈川県まで。
サンバーのオイルを交換し、タイヤも空気圧を高めにした。