暑くてのびる。「おねがい」します。
2013 年 7 月 11 日 by SIGN
SIGNは二上山の麓にあり、窓を開けていれば吹き下ろしの風が工場(こうば)を抜けていく。扇風機などいらないくらい腰のある風が吹くから、じっとしていればその揺らぐ風圧に身を任せ汗ばむこともなかった。
昨日までの図面との格闘においては。
注文した材料が届き、開封する。今回使用するのはタモの集成材フリー板だ。幅500長さ4200の板を移動したり引っくり返すだけで汗が吹き出す。やっぱり暑い。
お客さんの希望で集成材を使用することになったが、材木屋さんの乾さんによるとタモに関しては単価は無垢板材と変わらなくなってしまったそうだ。円安の影響?生産国である中国の値上げ?いろいろ推測はできるが、木材全体の傾向でもある。
それでも歩留まりの良さや製材加工の手間を考えると、強度や見た目を気にしなければコストを下げるために集成材の使用は有効なのだ。
強度に対する対策はこれもお客さんの希望で必要以上の補強を入れることになっている。見た目も着色を施すことによって、あのしましま模様を逆にデザインとする計画である。
午前中にこのテレビラックに入れるガラス扉の相談をしに、いつもお世話になっているガラス屋さんに行ってきた。
開業当時、まだ田原本に工場(こうば)があった頃に紹介されたガラス屋さんで、それ以来ずっと工場が今の場所に移転してからもガラスのことは米田さんにしか頼んだことがない。
駆け出しの頃にお世話になったからか、お付き合いというか親しみがあって、業者に「発注」というよりいつも「おねがい」という感じ。僕からの仕事なんかは小口で予算がなくて、しかもややこしいことが多く、それでも「よっしゃよっしゃ」と引き受けてくれる。
奈良で同じく米田さんにお世話になっている同年代の家具仲間たちに対しては甥っ子たちを見るような目で、話をしていると安心する。ベテランの職人さんなのだ。
こんな仕事をしていながら僕自身は「業者」扱いされるのがすごく嫌いで、取り引きする相手にもそんな関係は求めたくない。お客さんに対しても、取り引き先に対しても、いい仕事を気持ち良くする条件だと思っている。
ほんと、米田さんがいなくなったらガラスどうしようと思う。
紹介してくれた松村君ありがとうね。
米田さんに「おねがい」したあと金物の買い出しをして、帰って午後から木取りをした。
やっぱり暑いわ。
風は吹いてるか、吹いている。