やってみたらおいしかった
2013 年 6 月 26 日 by SIGN
雨が降る中、再塗装を依頼されたテーブルの古い塗装を剥がす作業をする。
固いウレタンの塗膜はサンダーではなかなか削れず、ペーパーやベルトがすぐに鈍ってしまう。いっそのこと電気鉋やグラインダーを使いたくなるが、それをやるとボロボロになるのは目に見えているし板も薄くなってしまう。やはり少しずつ塗膜だけを削らなければならない。
表面を削った後、アールのついた縁の塗装も剥がす。ここは下手にサンダーで削ると形が変わってしまうのでやすりを使うことにした。力を入れず塗膜だけをこりこりと。こんな作業があることを依頼者にも見てもらいたい。話によるとこの丸みが気に入っていたらしく、塗装前にはどうしても削らなくてはならないとは言え、ここは絶対に変えてはいけないところだ。いやむしろ僕としてはさらにこのアールを完成させたいと思う。
このテーブルを作った職人さんは丸く削るのが荒く、場所によってアールが違いかなり適当な感じ。その場所によって違うところがゆらいでいて好きなのかもしれないが、波打ったりデコボコしているのはゆるせない。ばらつきがあっても曲面は連続させておきたい。
というわけで結局最後は手でゴシゴシやっていた。
目が回るほどに。
以前アンティーク家具の修理もやっている僕の弟弟子に、塗装剥がしについて聞いたことがあった。
修理の行程には必ずそれがあり、再塗装をして完成となる。そんなプロのノウハウとはどんなものか。専用の道具があるのか、はたまた専用の薬品があるのか。
しかし聞くと、
「ほとんどペーパーですよ」
それが答えだ。やっぱり手磨きなんだ。
弟弟子の答えに安心した記憶がある。
どんなに時間がかかってもいいところだと、プロの世界でも認められているんだから、効率よりも手作業優先なのだ。
こんな作業でお金がもらえるなら、いくらでもやりたいな。修理もいいなとちょっとだけ思った。