もらいものを引き取りに
2013 年 6 月 11 日 by SIGN
大工の友人の紹介で、大阪の建具屋さんから超仕上げ鉋盤をもらった。新しい機械を購入されるらしく、古いものを誰か欲しい人にということだった。
超仕上げっていうと木工機械の中でも贅沢品という気がして、結構繁盛している人しか持ってないというイメージがあった。勝手な思い込みだけど。
実際買うとなるといい値段するし、刃物のランニングコストを考えるとはたして実用価値があるのかどうか。なくても手鉋やサンダーという応用の効く道具を駆使して仕事をする美学みたいなものもあったりする。そんな仕上げ削りだけのために何十万も出せないと思っていた。
だから欲しいなんて思ったことはなく、昨日大工の友人から電話があった時も申し訳なかったがあまり感激もなく、「タダやで!もらっとき!」と熱く言われても、タダだからもらっとくか、くらいの気持ちだった。いやそんなことより、うちの狭い工場(こうば)のどこに置けるかなとかそんなことが気になっていた。
僕より年下だけどしっかり者の大工の友人は電話口で畳み込むように集合時間と集合場所を決めていた。僕はその翌朝、言われた通りコンパネと足場板を車に積んでその集合場所へ向かった。
息子さんとは同じ現場に入ったこともある建具屋さんだった。初対面だけど友人のおかげでとても気さくにお話してくださった。
機械の使い方を実演しながら説明して下さり友人はその話にあいのてを入れながら、二人でこの機械のすごさというか重要性というか、マニアックな部分まで教えてくれて、いかにこの機械がよく働く機械かを教えてくれた。
うう〜んだんだんそんな気がしてきたぞ。これはすごくいいものをもらえる気がしてきた。考えたら師匠はじめ兄弟子も持ってる弟弟子も持ってる、で持ってないのは僕くらいだった。それは儲かってる順番に買ってるんだと思っていたが、儲かってないうちにまで君がやってくるとは!よーしこれでばりばり仕事するぞ。
と、機械を工場に持って帰ってみると作業台には組木の椅子。しまったこれもう仕口加工済み。ああ、こいつは手で仕上げないとだめなんだなあ。
超仕上げの出番は見送られ、今までなら当たり前に思ってたことが、目の前に便利な道具があるととたんにめんどくさくなってしまう。