不安に感じている人を
2013 年 2 月 18 日 by SIGN
2回目の塗装も終わり明日納品することになった。
今使っている塗料にも慣れてきて使いこなしができるようになり、仕上がりの予想やコントロールができるようになった。塗料一つとっても手に馴染むまでは不安はある、道具であると言える。
ほかの道具と同じく自分がどんな加工をしたいのかが本来先にあるべきはずが、はじめの頃はとにかく性能にこだわったり色んなものを試してみたり数を集めてみたりして、道具からの発想があるかのごとく持つことが安心につながるような気がしていた。また様々な道具を使いこなせることが職人的で偉くなったような気もした。
しかしどんなに上手くなってもその不安が消えないのは、先にあるべき自分のスタイルとしてどんな加工がしたいのかという答えがそこからは生まれて来ず、仮にあったとしてもそれを吟味し磨きあげることは職人的な腕を磨くこととは別の次元であることに気付くからだと思う。
創作家具は伝統工芸とは違う。最初から答えのない不安を抱えたジャンルなんだ。答えが出たとしてもそれがスタンダードより優れているかという評価は作り手にとって予想外なところでされることだってある。
難関はやはりデザインだと思う。技術から入った人間にとってデザイン力は弱点だ。上手ければ人の真似はいくらでもできるが、的を外したものまねは痛々しいだけ。
だから僕は塗料一つにしても自分で工夫した使い方を考えようと思った。質感もスタイルのうち。オイルフィニッシュなのにしっとりもせず、カリッともせず、平滑でさらっとした感触はウレタンに近いかもしれない。ただ自分が好きだというだけの気を失いそうな手触りを目指して。
今回カウンターテーブルから始まり、この期間中にこちらの写真館とは家具製作以外にもつながりができた。
それは僕が写真という別の顔も持っているからだった。
明日は家具、写真どちらの話がメインになるだろうか。