近所にできた、へんこな珈琲屋さん
2012 年 10 月 3 日 by SIGN
今朝銀行へ行った帰りにちょっと気になっていた店をのぞいてみた。SIGNの近くでこの夏にオープンした「珈琲工場」という名前の珈琲豆の店。バイクでよく走る竹内峠の入り口にあり、いつか行ってみようと思っていた。
こだわるほどではないけれど、僕はコーヒーが好きで、SIGNに来るお客さんに出したり写真茶話会でもコーヒーはなくてはならない。しかし、なかなかいい豆が手に入らず自分でも納得のいくものを出せることは少なかった。
コーヒーに関して知識があるとか経験があるとかではないのだが、昔とあるコーヒー屋さんで飲んだ一杯がとてもおいしくて、それ以来その味を追い求めつつコーヒーにハマっているということなのだ。
その店は大阪の森ノ宮にあり行こうと思えば行ける距離ではあったが、大阪から奈良に引っ越して来てからは足が遠のいてしまった。
コーヒーのおいしさはやはり鮮度であって、豆の鮮度、焙煎してからの時間、挽いてからの時間も関係する。たとえ高級な豆やブレンドであっても、時間が経つとがっかりするような味になってしまう。だからいい豆だからとまとめ買いするのは間違いで、いつもおいしいコーヒーを飲むためには1〜2週間で飲みきる量の焙煎したての豆を買える環境が必要なんだと思う。
ずっとそんな自家焙煎の店が近くにあったらなあと思っていた。
と思っていたらすごく近くにできたのだ。
朝9時過ぎだったけど店は開いていたのでバイクを止めておそるおそる入ってみると、店の中は意外とすっきりした感じだった。入り口を入ってすぐに3種類のミル、最新式のロースター。そしてたくさんの種類の豆が樽に入って陳列してあり、それはどれも生の豆だった。これは望んでいたものではないか。
奥の方でご主人が仕事をしておられて、声をかけるとじろりと睨まれた。なに?怪しいものと思われた?
一応客だということを伝えると、開店は10時からでまだ釜が暖まってない、と言われた。僕は弁解っぽくこの店がずっと気になっていたこと、焙煎したての豆が買えるところを近所で探していたことを言うと、「あんた先生か?学生ではなさそうやけど」と唐突な切り返し。どこを見てそう思ったんだろう。作業服姿でバイクに乗ってコーヒー屋さんに来ているのに。この人、ただ者ではない感じ。
とにかく出直してくるということで、一旦工場に戻って午前中仕事をした。
午後からもう一度訪ねてみた。今度はちゃんと豆を買うぞ。さっき帰り際にこれ読んで勉強しておいでと渡されたパンフレットのようなものには、すべて注文があってから焙煎しますと書いてある。期待が膨らむ。
しかし店に入るとまずはかけなさいと椅子を勧められ、ご主人は立ったままで、まるで授業を受けるような態勢になり、自然に僕の思いを語らされる雰囲気に。
その後ご主人が「ぼくは誰にでも話をするわけではないが…」と60歳を過ぎてからここ奈良に来て店を開いた理由を聞かせてくれた。
「自分はコーヒーのことしかわからん」というご主人は、それまでもその関係の会社に勤めておられ、また個人のお店も大阪でされていたらしい。そのお話は一人の男の職業にまつわる身の上話ではあったが、ご主人が意識していたのかわからないけど、僕に向けられた、いや今の僕を見透かされたような言葉がいくつも含まれ、いったいコーヒーの話なのかなんなのか。振り返ればかなりハイレベルなコーヒーの話なんだけど。
そして偶然というか、その大阪のお店は僕が教員時代に住んでいた針中野にあったという。
そして気が付けばあっというまに2時間が過ぎていた。
とにかくコーヒーに関してはかなり、というか必要以上に信頼のおけるお店だということはわかったので、最後に注文させてもらうと、「明日取りにおいで、その時間に仕上げとくから。割り込みを入れられるほどまだまだそんな格じゃない。しかし、大変なやつが来たもんや。」みたいな言い種で、終止、何が見えてるんだろうと思うこともあり。
これが、僕が待ち望んでいたコーヒー屋さん?なんだろうか。
明日その豆をもらいにいきます。今度の写真茶話会で出すつもりです。
ああ、香ばしいにおいがしてきました。
焙煎したてのコーヒーのみたーい。
でもあしたも運動会です…
茶話会来れないんですね、残念です。
ラッキーさんなら森ノ宮に通えるのでは。今はそっちのほうがうらやましいです。
こちらで豆を買うには一筋縄ではいきませんから。
わかります。インターネットで田舎暮らしは都会並みに豊かになった気分になるけど、実際にはどうしてもハード不足。
センスのいい本屋さんや美味しいコーヒーの飲める喫茶店、旨いラーメン屋etc…がある田舎は幸せですね。こっちはその本屋が不在です。
こういう方と引き寄せられるように出会われますね(笑)。
また、ゆっくり聞かせてください。
wamon
俺はそこまで難しく考えてないけどねー。でも道の駅とかばんばん作る金があるなら美術館にしてくれないかなあ、とは思う。
で、そこで雇ってくれないかなとか。
銀じ郎さん
そうですね。こちらから動いた時に出会うことが多いです。向こうから来てくれたら楽なのにと思います。
また土曜日にお話しします。