10月から始まる大学での授業の打ち合わせに行ってきた。
奈良県のとある私立大学で、家具製作の授業をさせていただくことになってから今年で4年目。初めて僕の授業を受けた学生も今は4年生になっている。
授業や課題の内容も毎年少しずつ良くしていこうと、担当の先生と話し合いながら進めてきた。
最初は世界的に有名なデザインのスツールをコピーするという内容だったのが、昨年からそれぞれの学生がアレンジを加えられる余地を作り、材料や加工、接合法は同じでありながら自分のオリジナル作品として作れるようにした。
そして今年はさらに一歩進めて、その発想にオーダーメイドの要素を盛り込んでみることにした。
課題は当初から一貫してスツールではあるのだが、今回はハイスツールというルールを決めた。
汎用性の高い高さに限定せず、「ハイ」とはいったいどれくらいの高さなのか。その答えに一般的な数値はなく、むしろ用途に合わせた「ハイ」がある。また使用する人の体型も関係するところなので、自分をモデルにして採寸からやってもらおうと考えている。そうすることで作ることに目的意識がうまれ、作品に愛着も湧くだろうと思う。
そんな打ち合わせが終わったあと、担当の准教授の先生の研究室で四方山話から高度なデザイン論についてまでいろいろお話を聞かせていただいた。とても参考になるお話だった。いったい誰がしゃべらせているんだろうと思うくらい今の僕にはタイムリーで勇気の出るお話だったが、それを先生に言うと「今の時代においては誰にでもタイムリーで、誰でも考えていることですよ」と言われた。
自分にとって自由なデザイン、デザインにおける自由とはなんだろう。よく考えてみようと思った。
大学という教育現場はその分野に特化した普遍的な知識と最先端を、現在を見据えた教え方で教育する場所だと思う。彼等にそんな授業を提供できるだろうか。久しぶりに知的な刺激を受けた。