メイプル家具、ありがたいは加工にあり
2012 年 3 月 30 日 by SIGN
メイプルという材は今そんなにめちゃくちゃ高い材ではないが、市場に潤沢に流通している材でもないみたいだ。
イメージとしては高級材の部類だけど、個人的な解釈からするとそれはその加工のし辛さにあるような気がする。
板に引いてある状態でも暴れやすく、切断ごとによく動くし、削れば逆目掘れしやすく、硬く、重く。それらは職人泣かせの要素ばっかりだ。
しかし、きれいに加工し磨き上げられたメイプルの木工品は非常に美しく、独特の杢と質感を生み出す。経年変化の色合いも美しい。それが魅力。
仕入れたばかりの状態から、平面を出し均一な厚みの板にするまでに非常に気を使い、手間がかかる。ましてや今回のような平面ばっかりの家具には、仕上がってみれば何のことはないのだろうけど、実は材の性質に反するような加工ではある。
今日はすべての部材の両面を平面に削りだすために、両面から0.数ミリずつ削っていって合計5ミリ削ったところで決着した。
片面から削っていくとだんだん反ってくる。大きく切削しても同じく。それは内部に働く応力のせいだ。
この木の生えている時の状態を考えれば、横に張り出す太くて大きな枝振りを優雅に支えるために、内部には複雑に絡みまた強力に引っ張り合う力が生じているのがわかる。まさかそんな木を家具に使おうなんて。
メイプルという材の美しさが、そんな障壁を越えてでも木工品の材料としてスタンダードになった理由だろうか。