こならくぬぎかしやまざくら、つばき
2012 年 3 月 8 日 by SIGN
朝モコの散歩をしていたら、山奥に続くちょっと気になった道があったので入ってみる。
ここは大阪府と奈良県の県境、二上山の登山口で、よく登山客が訪れる場所でもある。
山頂へはいくつかのルートがあるとは聞いていたが、ここに引越してきてからひとつのルートしか登ったことがなかった。
もちろんそれは一番メジャーなルートで、直登する最も急峻なルートだったが、迷うことがなく短時間で登れることから登頂を目的とする多くの人には人気がある。登り切ると雄岳と雌岳の谷間に出て、そこからそのどちらかへ向かうか、そのまま大阪側へ下ることもできるルートだった。
今日登ったのは雄岳山頂へ向かうルートだった。
その入り口はこの村からは2か所あり、それは以前から知ってはいたが、直登ではなく深い森の中に向かって道が続いていたため、登り下りしながらぐるぐる歩かされるような気がしてどのくらい時間がかかるか予想も着かず、入っていくことに躊躇していた。
それがなぜか今朝は、そんな無為に過ごす時間を求めたのか、山に入ってしまうと途中でやめることもできないという状況に束縛されたくなったのか、気が付けばずんずん登っていた。
モコはその入り口に入った時にリードを外した。まるで道案内をするかのように僕の先を歩き、喘いでいる僕を振り返っては立ち止まって見ていた。
とてもいい道だった。予想していたとおりの道だった。そして、直登ルートとは違い景色もよく、時々見晴しのいい場所に休憩所を誰かが作っていた。
結局1時間ほどかけて雄岳山頂に辿り着き、また下る。下りに別ルートへの別れ道があったのでそちらへ向かった。
多分来た道よりさらに遠回りだろうけど、もう時間のことなど気にならなくなっていた。
今日やるべき仕事はあったし、先を見れば個展に出展する作品づくりも、個展そのものの準備のことも。
そんな先のことを考え過ぎて憂鬱になる気持ちを整理したかったのかもしれない。
登山道を下り切ると大池に出た。さあ、図面を書くぞ。時刻は昼前になっていたが、この道に入る前より気持ちははっきりしていた。まずはお客さんの家具を作る。作品はそれ以後の話。それ以外の話。
帰ってから今日のノルマであった図面を仕上げ、お客さんに送った。