鉋を使わせてくれない仕事もある
2010 年 7 月 5 日 by SIGN
職業訓練校に行っていた時、木工科の仲間と一緒におそろいの鉋を買った。有名な鍛冶屋さんの別注もので、普通に買うとすごく高いものを、みんなで買うからと安くしてもらったのだ。
僕はその時調子に乗って寸六と寸八の二丁を買った。今考えると、それでも相当高い代物だったが、あの頃はプロの世界も仕事も何も知らなかったので、本職なんだからいいもの持たなくてはと、妙に気合いが入っていたのかもしれない。
しかし、買ってすぐのその鉋は全然切れず、調整も難しくて泣きそうになっていた。なにしろ、ひと月5,000円生活からやっと抜け出しかけたころの買い物だったから。
その鉋が最近すごく良く切れるようになってきた。何度か挑戦して台の調整が良くなってきたのか、刃の鉄の成分の関係か、研ぎの腕が上がったのか、ああそれはないね。
でもなんだか知らないけど良く切れる。もう切れて切れて切れまくり。どんなに薄くても食い付いてる抵抗を感じるし、研いですぐは逆目なんかぜんぜん怖くない。
それがこいつの実力なのだろうか。
ミーティング用テーブルの天板を鉋がけしながら、ずっと鉋を使うような仕事が入ってくるようにと願っていた。