今回の部材もやや多め。収納ベンチの300個ほどではないが、50個くらいにはなるだろうか。
形というのは不思議だ。多くの木工家が家具を作るのに任されている自由の領域ではある。しかし、思い付きにまかせて手の動くままに作れば、それは定まらない形になってしまい、どんなに複雑であっても稚拙に見えてしまい、どんなに情熱的であったとしても短命で終わる。
四角形、三角形、円。単純な形ほど安定していて、長く生きる。新しい形を生み出す事はできても、それを維持させるバランスが難しい。
家具における形とは、さらに過去に作られたバランスを踏襲していく作業でもある。それは家具が芸術ではなく使われるものであるがために、人の認知に受け入れられなければならないからだ。
ならばそこに冒険はないのか。いやある。あるある。
単純な形やスタンダードなバランスを、再構成したり順列を決める作業は自動的にはできない。むしろそこに美しさを求めていくのだ。
おそらく、完全安定の形と比べると、欠陥品とも言えるようなバランスしか生まれない。でもそこに挑戦するしか、物語を書き込む余地などない気がするから。
このシェルフも単純な形だけを使って、ふくらみを出せたらなと思っている。
でも部材が多いのは当分いいや。多いのばっかりやってると、ワンピースの椅子とかやりたくなってくる。
材木を届けてくれた乾さんがまた、「ちょくちょく来させてや」と言って笑ってた。
毎月来てもらうくらいスピード上げたいと常々思ってはいるんだ。