埋もれる性分は師匠ゆずりでありたい
2009 年 9 月 24 日 by SIGN
今日は大学での1回目の授業だった。オリエンテーションということで、実習を始める前の、僕らの自己紹介を含めた木工に関する講義中心の内容だった。
師匠の永田さんと作品持参で教室に入る。最初の1時限は永田さんから話す予定だった。
永田さんは何を話すのだろう。いつも僕らには「かんたんかんたん、ええええこれで、てきとうてきとう」とかで、木工に対するメッセージを聞かされた覚えのある弟子はいないだろう。いつもの雰囲気からすれば、人前で講釈を語るような人柄でもない。
だから、実は少し心配していた。時間を半分ずつ使って話をしようと決めていたものの、永田さんの話が短くなって余った時間は僕がなんとか埋めようと、木材を解説するための資料や、実習のさわりをするための材料も用意していた。しかし、
なんと僕は師匠を見くびっていたのだろう。すばらしい講義だった。こんな授業を聴いた弟子は他にはいないだろうことを自慢したいくらい。
堅苦しくなく、親しみやすく、わかりやすく、まったく木工の経験のない18、19の学生たちが自然に興味を示していく目の色の変化。まるでこの歳まで初心を維持するベテランの先生の授業のようで、そんな経験はないはずなのに、なんなんだこの人は。
あっという間に前半が終わり、チャイムがなる前に永田さんが話しかけた木材に関する話を僕が引き継いで話す形になったのだが、話し始めて感じる引き潮感。あきらめて自己紹介をし、刺激的な言葉を選んでなんとかテンション保てた感じ。参りました。
こんなことなら永田さんがやればいいのに、後はお前がやれって、次に永田さんが来るのは15回目一番最後の日。
帰りの車の中で、なんで僕らにああいう話をしてくれなかったんですか、と聞くと、
「お前らにそんなん言うかよ!」