「服装は?」「自分で考えるでしょう」
2009 年 9 月 11 日 by SIGN
今月末から始まる木工授業の最終打ち合わせで、師匠の永田さんと一緒に畿央大学へ行ってきた。
実習道具の段取り搬入その他の準備と、もうこの半年で何回足を運んだだろう。新しく始める授業の準備とはこんなにも大変だったろうか。
僕が専門学校の教員時代は、ほとんど準備は担任まかせの講師の先生がほとんどで、ガイダンスやオリエンテーションまで僕がやってたような気がする。結局この忙しさの原因は、僕が動き過ぎることにあるのかもしれない。
デザイン学科の准教授の先生との会話の中で、永田さんの印象的な言葉があった。
「なんにも教えずにやらせてみましょうか」
そう、永田一門の卒業生はこの言葉の意味がよく分かるだろう。この言葉に象徴される教育方針が永田さんのやり方なのだ。
手取り足取りは逆に身に付かず、懇切丁寧は自立心を妨げる。結果として、半年や一年の修業期間でほとんどの弟子たちが独立していることを思えば、技術教育とは何なのかと考えさせられる。
教えることを仕事にすると、ついその内容や質を上げることを目標にしてしまう。それは自分の評価を上げることであって、必ずしも学生の理解向上とシンクロしていない。
半年頑張って準備してきたのに、がつんときたなあ。これからの授業どうしよう。
卒業して5年経つのに、まだこうして教えられる。向こうはそんな教える気もなさそうな、たった一言で。あの時もそうだったけど。