それを知って無視することはできないこと
2009 年 1 月 12 日 by SIGN
先日大阪で行われた、映画「闇の子供たち」の上映と講演に行ってきた。
プロップスフェスティバルで毎年、カンボジアでNGOとして活動している栗本英世さんの支援をしている関係上、実際の話をあらかじめ聞いていたことと、その流れで原作の小説を読んでいたので、映画の内容はだいたい予想はしていたものの、やはり映像で見せられる衝撃というのはある。
もちろん、劇場で公開される映画であるため、描ききれない部分はあるとしても、このテーマに挑んだ阪本順治監督の製作にかける想いは十分伝わってきた。ほんとになんという映画だろう。同じ一本の映画の中の時間に対して、こんなにも考え抜かなければできないということ、その心構えがどんな映画にも勝るような気がする。
人の犯した罪と、どこにも逃げ場がなく、救いもなく、誰もどうしようもなく良い人間が存在しない世界。その上に僕らの住む社会が乗っかっているという事実。
それを知ったとして、いったいどうすればいいのか分からなくなってしまう現実がそこにはある。
阪本監督も言っていたが、知ってしまった以上作ることしかできない映画だったのだろう。事実を伝えるために映像はあり、そしてそのテーマに対する阪本監督の想いが編集に刻み込まれた作品だと感じた。
そして、上映後の栗本さんの講演もまた、救いようのないものをなんとか救おうとしてこられた軌跡を語るものだった。
そういった事実、この世界と、僕は木工家としてどのように関わっていけるのか。認められたい、売れたい、ばっかりのこの世界で、いったい何ができるのか。
そんなことも、やはり知ってしまった以上考えながら作っていかなければならないだろう。
そうでなければ、自分を疑ってしまう。