ローテーブル・楕円
W890×D503×H370
材質:楢柾目
塗装:天然オイル、ワックス
ストーリー
国産の木材で、昔から家具によく用いられてきた、ナラ。
かつては里山でよく採取できたため、薪や木炭にもなったり、あたりまえの木として扱われてきたが、針葉樹の植林、山林伐採開発、環境の変化により、今となっては高級材の部類である。
国内での生産地は限られ、今後の育成もあまり見込めないため、業界では国産のナラは今あるだけ、とも言われている。
僕はこのナラという木が好きだ。
家具をはじめた頃から憧れだった。
堅く、ずしりと重く、
叩くと金属音にも似た音が出るくらいしまっている。
木肌は不思議と日本の木の顔をしているような気がするのだ。
それは、外国の木にはない落ち着いた感じというか、ちゃんと日本語をしゃべってるような。
仕上げてワックスを塗ると黄色味を帯びている色は、使い込む程に濃くなっていく。
手に触れる部分は最後は真っ黒になるという。
デザイン的には、使い方によってはやぼったくなるが、その堅さから線の細い作り込みができる。
このテーブルには贅沢に柾目を使用した。
シャープなデザインにはすっきりした柾目が合っていた。
家具屋になってからのある日、
僕は信州の高原にある湿原でミズナラの林を見つけ、感激してしばし見上げたまま動けなかったことがあった。
きれいな水がある場所でしか生育しないミズナラ。
その植生はすなわち、この今の日本での育ちにくさを表している。
そこで出会えたことが、なんだか神聖な気すらした。
そういう経験があったからかどうか、
ナラを使う時にはなんとなく、きれいな家具にしなきゃと思う。